これが「ブライト・フライト」――若者が都市を離れる理由

An aerial view of Sydney's Opera House and Circular Quay in the cities central business district August 18, 2000. Sydney is hosting the Olympic Games which will begin on September 15.MDB/CC - RTRZUGR
Unlike the US, which has a multitude of cities for talent to spill into, Australia has only a handful of cities.Image: REUTERS
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20世紀の都市の成長を特徴づけたのが「ホワイト・フライト」だとすれば、21世紀は「ブライト・フライト」の時代になりつつある。若く、高学歴で、現状に満足しない人々は、世界の主要都市の多くで住宅価格の高騰により住み続けられなくなっている。

その代わりに、より小規模な地方都市に生活の拠点を移している。そうした都市では、より安価な住宅や、手頃な価格のワークスペースを豊富に利用できる。就職や起業への障壁も低い。

急速な都市化による「大都市圏の圧力」は、人材の流出効果を生み出し、都市の勝者と敗者が分かれる新たな時代の幕開けにつながっている。流出する人材の多くは「忘れられた人々」だ。公営住宅の入居資格を得られない一方、市場価格の住宅を借りる余裕もない人々である。

超都市化に伴う人口移動の時代には、人材の行くところに資本が流れる。都市はこの人口移動の傾向に対応し、人材をつなぎとめるために十分な住宅の選択肢を提供する必要がある。そうでなければ、デジタル時代への移行を担う知識集約型産業やテクノロジー分野の労働者に多くを頼る都市にとって、深刻な経済課題となりかねない。

Image: 国連『世界都市報告書』

郊外の発展から得られる教訓

20世紀半ばの都市の物語、あるいはむしろ郊外の物語を知る人は多いだろう。そこは「ホワイト・フライト」に特徴づけられた時代だった。この言葉は、主に中流・上流階級の白人が都市中心部を離れ、郊外に移り住む現象を指す。

一部の人々にとって、それは白い柵に囲まれた文化的・思想的に均質な地域に夢のマイホームを持つ機会だった。安価な借入れや有利な税制優遇措置も、それを後押しした。

都市の側から見れば、この人口移動は壊滅的だった。高所得者層が郊外へ流出し、都市の税収は減少した。同時に、主に選択の余地なく都市中心部にとどまった低所得者層のため、社会サービス、住宅、教育への投資を増やす必要があった。

数十年にわたり続いたこの流出は、世界の多くの都市に深刻な経済的・社会的荒廃をもたらした。1970年代半ばには、ニューヨークでさえ財政破綻の瀬戸際にあった。

逆流が都市の再生を促す

しかし、20世紀後半には新世代の都市生活者が世界各地の都市に押し寄せ、「ホワイト・フライト」の時代は終わり始めた。

いま私たちが目の当たりにしているのは、まさに現代の都市ルネサンスだ。若者から高齢者まで、単身者から家族連れまで、人々は大挙して都市へ移り住んでいる。都市生活がもたらす活気、文化の多様性、折衷性、そして幅広い雇用機会に引きつけられているのだ。

ロンドンやニューヨークのような世界都市は、都市の荒廃した時代から、予想をはるかに上回る回復を遂げた。しかし、多くの面で成功しすぎたともいえる。都市への人口の逆流が、大都市圏に大きな圧力をかけている。

都市人口が増えるにつれ、都市が円滑に機能するために必要な投資も増加する。老朽化したインフラの改善、大量輸送機関の拡充、住宅供給の増加、行政サービスの対応力の強化に投資が必要だ。

しかし、都市を改善し、持続可能な形で成長させるためのこうした整備は、別の課題も生む。空間をめぐる競争が激しくなるのだ。都市の密度を高めるほど、土地は高くなる。土地が高くなるほど住宅も高くなり、人々は住みたい都市に住めなくなって、別の場所へ移っていく。

第二層の都市への波及

米国では、こうした傾向がしばらく前から続いている。ニューヨーク、シカゴ、ロサンゼルス、サンフランシスコといった最上位の都市から流出した人材は、シアトル、ポートランド、オースティン、フィラデルフィア、デンバーなど、より地方色の強い都市へ流れている。

オーストラリアには、米国のミネアポリスのように、優秀な労働者が国内で移住できる場所となる地方都市はあまりない。

こうした第二層の都市は、テクノロジーに精通した知識集約型産業の労働者という新たな波の恩恵を受けてきた。優秀な労働者が集まると、Google、Facebook、Apple、Amazonといった企業もすぐに進出した。

その結果、これらの都市には今や世界でも特に活況を呈する不動産市場がいくつもある。住宅価格が急騰し、次の人材の波が住宅を手に入れられなくなるなか、これらの都市も成長に伴う痛みに直面している。

こうして同じ傾向が続き、人材はシャーロット、チャタヌーガ、ミネアポリスなど、さらに多くの地方都市へと流れていく。

これはオーストラリアにとって何を意味するのか?

今日、自治体のリーダーや都市計画機関は、密度と成長を高める必要性と、暮らしやすさ、手頃な価格、地域らしさを保つこととの間で、難しい舵取りを迫られている。

残念ながら、多くの都市ではこの締め付けが強くなりすぎている。都市を機能させる人々(バス運転手、ソーシャルワーカー、教師)、都市文化を形づくる人々(芸術家、デザイナー、作家、音楽家)、そして都市の未来を担う人々(データサイエンティスト、ソフトウェア開発者、クリーンテックの専門家)を、私たちは追い出している。

オーストラリアでは、この問題はさらに深刻だ。人材の流入先となる都市が多数ある米国とは異なり、オーストラリアには都市がわずかしかない。メルボルンとシドニーに圧力が高まるなか、パラマタ、ジーロング、ニューカッスルなどは人材を取り込む恩恵を受ける可能性が高い。一方で、さらに多くの「優秀な人々」が海外で成功を求め、国を離れることになりそうだ。

企業まで同じように流出すれば、私たちはその日を悔やむことになるだろう。しかし都市も、住宅価格の圧力を和らげるために行動できる。多くの都市が、革新的な住宅モデルを後押ししている。たとえば、ベルリンのバウグルッペンや、ロンドンのポケット・リビングがある。シアトル、オースティン、ポートランドなど米国の都市は、多世代型の都市型共同居住モデルを先導している。

オーストラリアでは、The Commonsとナイチンゲール 住宅モデルの発祥地であるモアランド市議会が、優秀な芸術家、デザイナー、エッセンシャルワーカー、若い家族、そしてより小さな住まいへの住み替えを望む人々がメルボルン都市圏に住み続けられるよう取り組んでいる。メルボルンのベース・コモンズのようなコリビング型の住まいも、ミレニアル世代が主導する新たな都市型共同居住の形として、オーストラリアに広がり始めている。

今後の動向に注目してほしい。そして都市には、住宅の革新を引き続き後押ししてほしい。

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