世界各地の言語はどのように進化してきたのか

A asylum seekers from Eritrea makes notice during a German language instruction by a volunteer at an emergency reception centre for asylum seekers in Berlin's district Moabit, Germany, August 3, 2015. REUTERS/Fabrizio Bensch - GF20000012140
Linguists are increasingly connecting with the field of evolutionary biology.Image: REUTERS/Fabrizio Bensch
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言語学者として、私は「何をしているのですか」と聞かれるのが苦手です。「言語学者です」と答えると、決まって「何か国語を話せるのですか」と続けて聞かれるからです。もちろん、そこが要点ではありません。言語を学ぶことは素晴らしいことですが、学術としての言語学は、言語を科学的に研究する学問です。

私の研究では、言語がなぜ、どのように今の姿になったのかを理解しようとしています。ある地域にはなぜ多くの言語があり、別の地域には少ないのでしょうか。同じ種類の伝達上の課題を満たすために、言語はどのようにしてこれほど多様な方法を発達させたのでしょうか。言語において人間に固有のものは何であり、人間の心と言語は互いにどのような影響を与えているのでしょうか。これは言語学における新しい方向性の一つです。従来の言語史研究は、言語そのものを対象とし、言語の構造を理解して系統関係を再構築することに、より重点を置いていました。

今日の言語学で起きている興味深い動きの一つは、言語学者が進化生物学の分野との連携を深めていることです。進化生物学者が種について問うことは、私や同僚が言語について問いたいこととよく似ています。たとえば、なぜ特定の分布をしているのか、あるいは言語間の違いや共通点をどう説明できるのか、といった問いです。

こうした見方の共通点により、進化生物学の現代的な計算手法を言語学の問いに応用できます。それによって、言語変化の過程に関する根本的な問い、さらには言語一般の本質について、新たな知見が得られます。

進化する言語

私は最近、学際的な同僚たちと共に新しい論文を共同執筆しました。進化生物学から応用した手法を使い、大規模な言語群が何千年もの間にどのように変化してきたかを調べています。

私たちがオーストロネシア語族(台湾からイースター島にかけての広い弧状の地域を中心に分布する、非常に大きな語族)に焦点を当てたのは、その広がり方についてかなり多くのことが分かっているからです。語族の歴史を適切にモデル化できれば、その言語群で起きた変化の過程を明らかにできます。これは、グレゴール・メンデルが植物の形態に見られる変異のパターンが祖先によってどのように決まるかを観察し、遺伝の法則を推論したときと、基本的に同じ考え方です。言語を形づくる要素の働きを理解すれば、人間の心を理解する道をさらに進むことができます。

Image: The Conversation

言語は単なる単語の集まりではありません。単語を組み合わせて意味のある発話を作るための原則、つまり文法も含まれます。そして単語と同じように、文法も時とともに変化します。私たちは、文法が単語と同じように進化するのかを明らかにしたいと考えました。

言語の語彙体系(それぞれの言語が持つ単語の集合)は、歴史の中で二つの形で変化します。個々の言語の音体系が変わり、単語の音が異なるようになること、そして意味変化や他言語からの借用などを通じて、単語が別の単語に置き換わることです。文法も同じような形で変化します。規則が徐々に新しい規則へと変わっていきます(たとえば、以前の世代には認められなかった表現が許容されるようになります。who/whomの区別を考えてみてください。この区別は、自然な会話からほぼ消えています)。また、再分析や借用などの過程を通じて言語がまったく新しい構造を獲得し、大きく一気に変化することもあります。

単語と文法

では、単語の進化と文法の進化には、どれほど密接な類似性があるのでしょうか。この問いに答えることは、言語の多様性と人間の多様性の本質に関する大きな問いへの答えに近づく一歩となります。進化生物学の手法を用いて、語族内の各言語がどのような速度と様式で進化したかを推定する計算モデルを開発しました。特にこのモデルは、単語や文法要素が速い、中程度、遅いのいずれの速度で変化していたかを判別しました。

図は、オーストロネシア語族の歴史を通じて、語彙要素と文法要素がそれぞれ異なる形で進化した様子を示しています。系統樹の赤い枝ほど変化が速く、青い枝ほど遅く変化したことを示します。十字印は、変化の速度が大きく転じた箇所を示しています。

Image: The Conversation

これらの結果から明らかなのは、これらの言語における単語と文法の進化の仕方が大きく異なることです。興味深いことに、測定結果によると、系統樹の枝分かれ、つまり新たな言語が生まれる時点では、文法よりも語彙において、はるかに大きな変化の急増が伴います。

今後の研究で重要な問いとなるのは、文法のさまざまな特徴で変化の速度が異なる要因は何か、ということです。データからは、話者が意識的に認識している文法的特徴は比較的速く変化する一方、より抽象的で意識的に考察しにくい特徴は、変化が遅い傾向にあることがうかがえます。

次に何が起こるのか

人類という種の年齢についての推定がますます古い時代へとさかのぼるにつれて、人間の言語は最近になって付け加わったものではないと分かってきました。むしろ、人間(および人間以外)の意識には、深い進化の根があるものです。これは人間の認知をめぐる科学全般にとって重要であり、とりわけ心理学と言語学に大きな意味を持ちます。

言語の多様性を対象とするこうした大規模研究が可能になったのは、ごく最近のことです。利用できるデータの質と、それを分析する手法の質が並行して向上したおかげです。多くの言語学者が、オープンデータと再現可能な科学への移行を進めています。さまざまな分野で、公開され相互運用可能なデータセットを公開する大規模な学際的取り組みが進んでおり、進化研究に用いる計算ツールも、より充実し柔軟になっています。

しかし、ツールや手法が進歩する一方で、世界の言語の多様性は失われつつあります。現在、世界人口のほぼ半数が、北京語、ヒンディー語、スペイン語、英語、アラビア語のうち少なくとも一つを話しており、数千の小規模言語が消滅の危機に直面しています。

そのため、言語の比較研究は、人間の心の多様性を知る窓として、ますます急を要するものとなっています。

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