メンタルヘルスをめぐる議論は大きく進展したが、男性のウェルビーイングへの対応は依然として不十分だ。
社会的な圧力や、男性らしさをめぐる支配的な文化的言説が、男性が感情面の苦悩に向き合う妨げとなることが多い。
男性のメンタルヘルスを支え、認知を高めるための5つの主要な方策を紹介する。
メンタルヘルスについて真剣に語る機会は増えてきたが、依然として十分に対応されていない重要な側面がある。それは男性の精神的なウェルビーイングだ。男性らしさをめぐる支配的な社会的言説は、男性が感情面の課題を認め、それに向き合うことをしばしば妨げる。強さ、感情的な回復力、冷静沈着さといった特性は一般に男性らしさと結び付けられており、意図せず男性が助けを求めることを阻み、メンタルヘルスに悪影響を及ぼす可能性がある。
実証データは厳しい現実を示している。世界保健機関(WHO)によると、うつ病は世界で障害の主な原因となっている。男女ともに影響を受けるが、男性はメンタルヘルスの問題について助けを求めることに特に消極的だ。米国自殺予防財団によると、米国では男性が女性に比べ、自殺で死亡する可能性が3.56倍高い。この衝撃的な数字は、直ちに行動を起こす必要性を浮き彫りにしている。
男性のメンタルヘルスに対処するには、治療を求めることにまつわる固定観念を打ち破ることが不可欠だ。男性は助けを求めると弱さの表れだと言われ、社会規範によって「男性は弱さを決して見せてはならない」という考えが強められているため、助けを求めることをためらう。報告が少ないと偏見はさらに強まり、社会的圧力のなかで強さを示そうとして、感情や症状を隠す男性もいる。
さらに男性は、メンタルヘルスの問題に対処するため、物質の不適切な使用など、健康に良くない対処法を用いることが多い。これによって症状が悪化し、専門家の支援を受けるうえでの障壁も増える。メンタルヘルスの問題と物質乱用は併存することが多く、自力では抜け出すのが難しい悪循環を生み出す。
利用できる支援策についての認知不足や経済的な障壁も、男性がメンタルヘルスサービスを利用する妨げとなっている。さらに、周縁化されたコミュニティーに属する男性が、人種、民族、社会経済的地位をめぐって直面する複合的な課題は、メンタルヘルスの経験に大きな影響を及ぼす。こうした複雑なニーズに適切に応えるため、メンタルヘルス分野では交差性を踏まえたアプローチを取り入れる必要がある。
責任の重圧:金銭的なストレス
男性は家族の主な稼ぎ手として、経済的な安定をもたらすことを期待される場合が多い。その責任は、特に経済の先行きが不透明な時期に、メンタルヘルスへ深刻な影響を及ぼす可能性がある。男性にとって大きなストレス源の一つはお金であり、不安やうつ病、その他のメンタルヘルスの問題につながることがある。さらに、社会は男性にこの責任を黙って背負うよう求め、それが苦痛を深めている。
感情面のウェルビーイングと孤独への取り組み
男性のメンタルヘルスを構成する重要な要素の一つが感情面のウェルビーイングであり、孤独は見過ごされがちだが、重大な問題だ。冷静沈着さや感情の抑制を重視する社会では、男性が孤立感を覚え、本当の気持ちを表せなくなることがある。伝統的な男性規範に従うよう求める圧力は、心からの感情的なつながりを妨げ、孤独感につながりかねない。また、恋愛関係や家族関係で成功していると見なされる基準を満たすのに苦労する人にとっては、関係性をめぐる社会的な期待がさらなるストレスとなる可能性がある。男性の総合的なメンタルヘルスを促進するには、感情面のウェルビーイングと孤独に取り組むことが不可欠だ。率直なコミュニケーションを促し、支え合える関係を育み、感情表現や人間関係にまつわる固定観念に異議を唱えることは、男性の精神的なウェルビーイングを高め、孤立感や孤独感を和らげるうえで重要な一歩となる。
沈黙を破る:メンタルヘルス支援と認知向上を進める
男性のメンタルヘルスをめぐる問題の深刻化に対し、早急な対策が必要だ。支援を提供し、認知を高めるために、次の方策が有効だ。
1. 助けを求めることを当たり前にする
率直なコミュニケーションを促すことで、助けを求めることを当たり前にできる。男性のメンタルヘルスが重要であるという議論を広げるうえで、一般向けの啓発も重要な役割を果たす。
2. 男性らしさを捉え直す
弱さを見せること、共感力、感情を表現する力といった特性を備えたロールモデルを示すことで、固定観念を打ち破り、男性が自分のメンタルヘルスを優先するよう促せる。
3. 早期介入と利用しやすい支援策
男性の健康問題について、治療と早期発見は不可欠だ。文化的背景に配慮した治療を利用できるようにし、選択肢をより広く周知すれば、男性は適切な時期に支援を受けられる。
4. 相互のつながりを重視する
男性がメンタルヘルスをめぐって経験するさまざまな事柄の関連性を理解することが重要だ。多様な背景を持つ男性それぞれのニーズに応える介入策は、ケアの格差を縮小し、メンタルヘルス治療への公平なアクセスを促進する。
5. 複合的なアプローチを取る
偏見を減らし、ケアへのアクセスを広げ、支え合える環境をつくるには、男性のメンタルヘルスに対する包括的な戦略の一環として、法的措置、教育プログラム、一般向けの啓発キャンペーンがいずれも必要だ。
男性のメンタルヘルスに関する国際協力
男性のメンタルヘルスに関する認知向上は、協力を必要とする世界的な課題だ。ケアへの障壁を取り除き、男性が直面する課題を認識し、力強い男性のロールモデルを広めることで、誰もが自分の精神的なウェルビーイングを優先する社会を築ける。男性のメンタルヘルスには、それにふさわしい配慮と支援が必要であり、それを実現する唯一の方法は、協力し、揺るぎない取り組みを示すことだ。




