世界各国の貿易担当相が、アブダビで開催された世界貿易機関(WTO)第13回閣僚会議(MC13)に集まりました。
会合は、WTO加盟国が機関の改革議題を示す閣僚宣言を採択して終了しました。
今年の会合で、貿易の未来について分かったことを紹介します。
先週、世界各国の貿易担当相がアブダビに集まり、世界貿易機関(WTO)の世界貿易システムの機能と今後の活動について議論し、検討しました。
WTOの第13回閣僚会議(MC13)は、加盟国が閣僚宣言を採択して終了しましたが、その対象範囲は限定的でした。
アブダビでのMC13で分かったことを紹介します。
1. WTO加盟国が166か国に
より難航が予想される課題の交渉が始まる前に、後発開発途上国(LDC)のコモロと東ティモールの加盟条件を受け入れる決定という、比較的容易な成果が得られました。両国は、2016年7月にリベリアとアフガニスタンが加盟して以来、初めてWTOに加わる国々です。これにより、WTO加盟国は計166か国となりました。
2. サービス貿易が後押しされ、投資円滑化も進展
早期に得られたもう一つの成果は、WTO加盟国72か国による共同イニシアチブ「サービス国内規制」の発効発表でした。これは、各国政府によるサービス貿易の規制に関する透明性と手続き上の公正さの向上を目的とし、世界全体で貿易コストを約1,250億ドル削減する可能性があると推計されています。
前向きな成果と言えるのは、WTO加盟国123か国が「開発のための投資円滑化協定」の最終文書を採択する決定を下したことです。この分野では、各国が協定を採択、批准、実施し、新協定がもたらす多くの変化から恩恵を受けられるよう、世界経済フォーラムが力を入れて支援しています。しかし、加盟国はこの協定をWTOの法文書に正式に組み込むことができず、今後の対応には疑問が残りました。
3. 後発開発途上国に移行の猶予を
重要な成果の一つは、国連が定めるLDCの地位から卒業する国の移行を円滑にする措置について、加盟国が合意したことです。この移行は、特恵的な市場アクセスやその他の恩恵を失うことが多く、困難を伴う場合があります。
アブダビで採択された宣言は、こうした国々が特定の恩恵を最長3年間維持できるようにし、移行を容易にすることを目指しています。これには、「WTO紛争解決了解」に基づく規定の延長や、LDCに特化した貿易関連支援および能力構築への適格性が含まれます。
4. 有害な漁業補助金と農業問題、先送りに
幅広い農業議題で進展がなく、有害な漁業補助金を対象とする合意にも至らなかったことは残念でした。特に後者は合意が近いとみられていただけに、失望が大きいものでした。
加盟国は基本的に、ジュネーブに戻って複数の課題について協議を続けることで合意しました。会合の終了時点で、WTO加盟国は各課題でこれまでに得られた進展を認め、近い将来に成果を実現する重要性を再確認しました。紛争解決については、実際に2024年を目標としました。
5. 多くの議題が多国間交渉で停滞
一方、他の多くの議題については、閣僚全員の間で成果文書への盛り込みに合意できませんでした。例えば、重要な議題である産業政策と、それが引き起こす可能性のある多くの貿易歪曲、さらに変化し複雑さを増す貿易と環境の関係が含まれます。
6. 電子商取引への関税、ひとまず再び保留
MC13を前に、国境を越える電子送信に対する関税の一時停止措置をWTO加盟国が延長できないのではないかとの懸念が高まっていました。延長されなければ、メールやストリーミングコンテンツに関税が課される可能性がありました。会議終盤の決定により、一時停止措置はさらに2年間、またはMC14まで延長されました。
7. WTO加盟国、テーマ別の小グループで環境問題に取り組む
WTO加盟国78か国のグループは、「プラスチック汚染に対処するための貿易措置」に関する閣僚声明と協議の次の段階に向けた計画を発表しました。また、別の加盟国76か国のグループは、貿易と環境に関する協議の成果をまとめた一連の措置と、「MC14までにさらなる成果を得るためのロードマップ」を公表しました。
さらにWTO加盟国48か国が計画を提示し、有害な化石燃料補助金の削減に向けて取り組むことを表明しました。最後に、閣僚61人で構成される気候変動に関する貿易担当相連合がMC13に合わせて会合を開き、貿易を気候変動対策に沿わせるベストプラクティスとして「一連の自主的な行動」を発表しました。
8. 貿易テクノロジーに注目集まる
世界経済フォーラムの貿易・投資コミュニティは、アブダビで複数の関連イベントを開催し、活発に活動しました。「2024年TradeTechフォーラム」は、UAE経済省およびアブダビ経済開発局との共催で、400を超える多様な関係者を集めました。
参加者は新技術を通じて貿易コストを削減する方法を議論し、テクノロジー系スタートアップやイノベーターは専用スペースでアイデアを披露しました。
9. 関係者は議論を求めている
国際持続可能開発研究所(IISD)が主催する「貿易と持続可能性ハブ」では、コミュニティの代表者が投資円滑化、貿易と気候変動、重要鉱物、地政学的競争に関するパネル討論に参加しました。世界経済フォーラムはまた、米国の全米外国貿易評議会と共に、MC13後の進め方について朝食会で議論しました。
10. 貿易は短距離走ではなくマラソン
MC13は失望だったと主張する人も間違いなくいるでしょう。しかし、WTOへの理解がより深い人々は、これは短距離走ではなくマラソンであり、成果は協力と妥協を要する、長く、困難で、技術的にも複雑な交渉を経て初めて生まれると知っています。
世界経済フォーラムは、WTO加盟国、ジュネーブおよび各国首都を拠点とする代表者、そして世界のビジネスコミュニティのパートナーと協力し、閣僚会議の開催中も会議の合間もWTOで行われる重要な取り組みを支援していくことを楽しみにしています。
私たちは、この取り組みが、信頼の再構築、ルールに基づく秩序の維持、国際協力の促進、そして一段と分断が進む世界経済における緊張の建設的な管理にとって極めて重要だと考えています。それにより、経済成長と繁栄が今後も続くことで得られる恩恵を、すべての人が享受できるようになります。





