次回WTO閣僚会議で予想されること

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この記事は2021年11月24日に初めて掲載されました。

  • 世界貿易機関(WTO)第12回閣僚会議(MC12)は2021年11月30日から12月3日まで開催される予定でしたが、新型コロナウイルス感染症による渡航制限のため、無期限延期となりました

  • MC12は、WTO加盟国が今日の課題に貿易ルールを適合させるための議論の場となります。

  • 注目すべき多国間および複数国間の貿易協議がいくつかあります。

世界貿易機関(WTO)の加盟経済164か国・地域の貿易担当閣僚は、世界貿易の98%を占め、4年ぶりとなるWTO第12回閣僚会議(MC12)にジュネーブで出席する予定でした。しかし会議は、閣僚のスイス渡航を妨げる新たな渡航制限のため、無期限延期となりました。ジュネーブの各代表団には、以下で説明するさまざまな課題について合意形成に向けた作業を続けるよう求められています。

WTO閣僚会議(MC12)とは何か、なぜ重要なのか?

WTOは、貿易協定の交渉、貿易紛争の解決、貿易政策の監視、開発途上国への貿易に関する技術支援を行う政府間機関です。閣僚会議はWTOの最高意思決定機関です。

貿易担当閣僚は通常、2年ごとに閣僚会議に出席します。MC12は新型コロナウイルス感染症の影響で延期され、新たにWTO事務局長に任命されたンゴジ・オコンジョ=イウェアラ博士の就任後、初めての会議となります。

各国政府には、成果について合意することが求められています。貿易と投資は経済成長と発展を強く後押しし、世界経済の回復において重要な役割を担っています。モノの貿易は現在、パンデミック前の水準で安定し、サービス貿易も回復を続けていますが、世界のサプライチェーンは滞っています。パンデミック中も貿易は重要な役割を果たし、個人用防護具、ワクチン、治療薬の開発、生産、流通を支えました。

MC12の展望:パンデミックを通じて、貿易は比較的底堅く推移しました。Image: WTO『世界貿易報告書2021』

しかし各国政府の間では、新型コロナウイルス感染症やデジタル商取引から、気候変動、食料安全保障、公正な競争に至る現在の課題に対応できるよう、貿易ルールをどう更新するかについて意見が分かれています。こうした違いは、異なる枠組みで行われる交渉に表れています。すべての加盟国が参加する「多国間」交渉もあれば、共通の利益に基づいて一部の国が進める「複数国間」交渉もあります。

複数国間の枠組みでは合意に至る可能性が高い一方、具体的な進展には多国間の合意が必要な課題もあります。多くの専門家は、貿易と保健、農業貿易、有害な漁業補助金(後者は持続可能な開発目標でその撤廃が求められています)について多国間で成果を出すことが、WTOの妥当性と対応力を示すうえで不可欠だと考えていますが、合意形成は難航する可能性があります。

では、WTO閣僚会議では何が起きるのでしょうか?

WTO加盟国はMC12に向けて対話を重ねており、一部の交渉は会議中も続きます。注目すべき課題をいくつか紹介します。

MC12の多国間協議

ワクチンなどの重要物資

パンデミックへの貿易政策上の対応について交渉が続いており、ワクチンの配分、輸出制限、貿易円滑化、医療サプライチェーンの透明性向上などが検討される可能性があります。一時的な知的財産(IP)適用免除も議論されてきました。WTOには各国に国内でこれらのルールを採用し、執行することを求める協定があるため、IPの適用免除は貿易交渉の対象となります。

水産資源の保全

世界の水産資源の約34%が乱獲されており、1974年の10%から増加しています。有害な漁業補助金の撤廃に向けた交渉は2001年から続いています。MC12を前に、改訂文書が協議されていますが、先進国と開発途上国で異なる義務を設けることや、世界の漁獲量に占める割合が小さい開発途上国を例外とすることなど、課題が残っています。

食料をめぐる争点

各国は長年、農業貿易ルールの改革を議論してきました。開発途上国は、政府による食料購入計画が一定の貿易歪曲的な上限を超えた場合にも異議申し立てを受けない恒久的な解決策を求めています。農業補助金の削減を求める国もあれば、新たな市場アクセス交渉を求める国もあります。ここでの成果は限られる可能性がありますが、世界食糧計画による購入を、生産国の食料輸出制限の対象外とする合意が見込まれています。

電子送信への関税

電子送信に対する関税を一時的に禁止する措置は、これまで閣僚会議のたびに延長されてきましたが、再び議論の対象となっています。関税禁止の支持者はデジタル商取引を促進すると主張する一方、反対派は、政府が歳入を失い、国内のデジタルサービス事業者に悪影響を及ぼすと主張しています。

MC12の複数国間協議

サービス貿易

重要な進展として、WTO加盟国65か国が、世界のサービス貿易の90%を占めるなか、サービス規制の煩雑な手続きを削減することで合意しました。「サービスの国内規制に関する参照文書」には、サービス貿易に影響する認可・資格取得手続きや技術基準の合理化に向けた約束が盛り込まれています。これを実施すれば、G20経済圏で年間サービスの国内規制に関する参照文書の実施により、G20経済圏で年間1,400億ドルのコスト削減が見込まれ、中小企業は大企業と比べて、さらに2~3%のコスト削減の恩恵を受ける可能性があります。

持続可能な貿易

もう一つの大きな動きとして、持続可能な貿易に関する3つの連合が発足します。環境の持続可能性に関する連合では、米国、EU、中国を含むWTO加盟国53か国が、持続可能な貿易を促進する具体的な行動を特定し、貿易関連の気候対策について個別の協議を開始することを約束しています。40か国以上による別の取り組みでは化石燃料補助金の段階的廃止を約束し、約60か国が貿易ルールを通じたプラスチック汚染対策を検討します。

投資の促進

開発のための投資円滑化協定の交渉は2020年9月に始まり、現在はWTO加盟国100か国以上が参加しています。交渉では、ある国への投資に必要な行政手続きの簡素化などが検討されています。MC12では参加国の閣僚に協定案が提示され、交渉を2022年末までに妥結するよう委任することが期待されています。

デジタル化の推進

WTO加盟国86か国の間でデジタル貿易交渉が続いており、スパム、電子署名、電子契約、消費者保護、オープンガバメントデータについては、文案が確定しました。また、各国がオープンなインターネットアクセスやペーパーレス貿易で足並みをそろえることを示す前向きな兆候もあります。

中小企業の支援

宣言案は、WTO加盟国64か国が、零細・小規模・中規模企業(MSME)に関する情報収集、貿易手続き、資金調達、決済の改善を目指すものです。MSMEに貿易関連情報を提供する新たなプラットフォームが立ち上げられます。このグループは過去4年間、中小企業が国際貿易を行いやすくするために取り組んできました。

ジェンダー格差への対応

別のWTO加盟国グループ89か国は、共同宣言を発表し、より良い貿易政策の策定に向けた男女別データの改善と、WTOの開発事業におけるジェンダー主流化の徹底を目指します。MC12後には2年間の作業計画が続きます。

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