貿易と労働の結びつき:うまく機能しているのか?

A worker walks in a shipping container area at the Port of Shanghai April 10, 2012. China returned to an export-led trade surplus of $5.35 billion in March, heralding the prospect that a rebound in the global economy is lifting overseas orders just in time to compensate for a slowdown in domestic demand. REUTERS/Aly Song (CHINA - Tags: BUSINESS TRANSPORT) - RTR30JOK
The idea that trade liberalisation negatively affects employment standards in domestic markets is one that holds a particular resonance with the public.Image: REUTERS/Aly Song
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貿易と労働の交差点は、過去12か月にわたり大きな注目を集めてきたテーマだ。ブレグジットから米国の大統領選挙に至るまで、政治家たちは、貿易、特に貿易自由化が労働基準や労働条件に悪影響を及ぼすという見方を利用しようとしてきた。

もちろん、貿易自由化には勝者と敗者が生まれる。国内産業の中には、打撃を受けてきたものもある。これは世界的な競争の激化によるものだ。また、モノ、サービス、資本の国際的な移動が活発になるにつれ、輸出国の低い労働基準が輸入国のより高い労働基準を損ない、最終的には「底辺への競争」につながるのではないかという懸念もある。

実際のところ、「底辺への競争」説を裏付ける実証的証拠は、よく見ても曖昧なままだ。低い労働コストが輸出実績や外国投資を大幅に高めるという明確な証拠はない。労働コストは、労働生産性や政治的安定性など他の要因と比べると、海外直接投資の意思決定における決定的な要因にはなりにくい。

しかし、この主張には強い訴求力がある。貿易自由化が国内市場の雇用基準に悪影響を及ぼすという考えは、世論に強く響く。政治家が繰り返し持ち出すのも不思議ではない。貿易協定と労働の相互作用が、過去30年の大半にわたり、貿易交渉担当者、政策アナリスト、学者の関心を集めてきたのも当然だ。

改善しているのか?

ここでの中心的な論点は、貿易協定を世界各地の労働者の権利や社会的条件の改善に活用できるのか、また活用すべきなのかということだ。賛成する人々――主に豊かな先進国――は、反対の証拠があるにもかかわらず、貿易を通じて労働基準を促進すれば「底辺への競争」への懸念に対処できると主張する。その理論では、企業は労働コストの低い国に事業を移す可能性が高く、それが国内の雇用喪失を招き、雇用を維持するために労働基準を引き下げる誘惑につながる。

同様に、一部の人々は、海外の労働者の苦境を改善するために貿易協定を活用する道義的責任があると主張してきた。しかし、貿易において低い労働基準が競争上の優位性をもたらし得るという考えを受け入れてきた多くの発展途上国は、歴史的にこれを拒んできた。そうした国々は、貿易と労働を結びつける動きを、世界市場で発展途上国が持つ数少ない優位性の一つを取り除くための保護主義的な仕組みと見なしている。

労働基準を世界貿易機関のルールに導入する試みは、こうして一貫して退けられてきた。しかし、貿易と労働の結びつきは、EUや米国など主要経済圏が推進する二国間・地域貿易協定には盛り込まれている。

EUと米国はいずれも、価値に基づく主張を掲げて労働条項を正当化しようとしている。米国は、自由貿易協定(FTA)における労働者の権利保護は中核的価値だと述べる一方、EUはこうした条項が価値に基づく政策課題の重要な要素だとしている。

執行

EUと米国が交渉した協定は、かなり似たアプローチをとっている。いずれも協定を通じ、各国に中核的な国際労働機関(ILO)の基準の順守を求める。これにより、コロンビア、ペルー、韓国などの国々が、貿易や投資で競争上の優位性を得るために国内の労働基準を改正したり、その執行を怠ったりすることを防ぐ。

では、こうした協定は、EUや米国の貿易相手国の領域における労働者の権利や労働条件の改善につながっているのだろうか。米国は、FTAの発効前に貿易相手国に大幅な国内労働法改革を実施させることに、一定の成果を上げてきた。

米国・コロンビアFTAはその好例だ。米国は、コロンビアが労働法の執行改善から労働組合幹部の保護、反組合的行為の犯罪化まで、複数の改革を採択したと確認するまで、協定の批准を見送った。

世界最大の経済大国とのFTA締結は強力な誘因となるが、批准後のFTAの実績ははるかに見劣りする。米国政府説明責任局は、次のように指摘している。米国のFTAに盛り込まれた労働基準要件の実施は不十分だった。これは一部には執行不足によるもので、米国のFTAに基づく労働違反に関して下された仲裁判断はわずか1件にとどまる。また、監視に割り当てられた資金や資源も不足していた。

少なくとも米国の協定では、貿易制裁を科すことができる。欧州連合(EU)のFTAでは労働条項が紛争解決の対象から除外されており、貿易相手国が順守を拒んだ場合に強制力のある執行手段は使えない。

これが、EUのFTAが労働基準に与えた影響は、さらに限定的だったとも言える理由かもしれない。EUは、貿易相手国に労働条項を順守させるため、監視と友好的な協力に頼らざるを得なかった。

入手可能な証拠は、 次のことを示唆している。影響が限定的だったのは、現地の関係当局や市民社会組織に対するEUの監視や関与が非効率だったためだ。

こうした批判はEUに響いた。EUは最近、実効性を高めるための提案を打ち出したが、現時点で浮かび上がるのは、言葉と行動の隔たりだ。EUと米国はいずれも、労働基準を促進し労働者を保護する手段としてFTAを位置づけてきた。しかし、両者ともそれを実現する能力を築けていない。

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