米国の新たな関税は世界貿易を一変させ、金融市場に大きな変動をもたらしました。
4月初旬、ドナルド・トランプ米大統領が新たな関税制度を発表すると、世界の株式市場は急落しました。
「この過度な変動は世界経済に大きな影響を及ぼします」と、ある専門家は述べました。
米国による広範な関税の導入は国際貿易を大きく混乱させ、世界経済に衝撃を与えました。
関税に加え、さらなる関税引き上げが相次いで脅かされたことも、金融市場に変動をもたらしました。4月初旬、ドナルド・トランプ米大統領が新たな関税制度を発表すると、世界の株式市場は急落しました。たとえばS&P 500は、5,000ポイントを下回り、ほぼ1年ぶりの水準となり、数兆ドルが失われました。
その後、トランプ氏が約80カ国に影響する予定だった追加関税の引き上げを90日間停止すると発表し、株価は反発しました。
現在も貿易摩擦は続いており、各国政府や企業幹部が関税率や適用除外の方針を交渉する中、不確実性が高まり、金融市場は不安定化しています。
混乱が続く中、関税がなぜ金融市場にこれほどの変動をもたらすのか、またその不安定さが近い将来、世界経済にどのような影響を及ぼす可能性があるのか、3人の専門家に尋ねました。
専門家の見解を紹介します。
張暁燕(清華大学PBC金融学院、金融学卓越教授・副院長)
「関税と貿易摩擦は暗雲のように世界の金融市場に立ち込め、大きな変動を引き起こすとともに、世界経済に対する見通しを揺るがしています。市場は本質的に先を見越して動くため、主要経済国が貿易紛争に入ると、投資家はリスクや成長見通しをすばやく見直し、その結果、資産価格が変動します。関税の導入や報復措置の脅威は、サプライチェーンの信頼性、生産コスト、市場アクセスをめぐる不確実性を幾重にも生み出します。市場が分断化の長期的な影響を織り込もうとする中、その不確実性はさまざまな資産クラスに波及します。」
「貿易摩擦の影響は金融市場の価格変動にとどまらず、世界経済にも重大な結果をもたらします。貿易をめぐる不確実性は世界の成長にブレーキをかけ、投資とイノベーションの原動力を抑えます。関税の拡大を懸念する多国籍企業は、生産能力の拡大や新技術への投資を先送りする可能性があります。一方、関税によって財やサービスのコストが上昇し、インフレ圧力が強まります。物価上昇と市場の不安定さに直面した消費者は支出を抑え、需要がさらに弱まるおそれがあります。」
「このような状況では、安定を取り戻し、経済成長を促し、より強靱で相互につながった世界経済を築くために、国際協力と開かれた対話が不可欠です。」
サンティアゴ・フェルナンデス・デ・リス(BBVA、規制担当責任者)
「貿易摩擦が世界市場に及ぼす主な影響は、不確実性を通じたものです。米国や中国のような主要経済国が関税戦争に突入すると、投資家は世界貿易の減速、サプライチェーンの混乱、企業利益の減少を懸念します。この不安が市場の変動につながります。企業は投資判断を先送りし、消費者の信頼は失われ、通貨は大きく変動します。」
「市場の混乱が長引けば、経済の基礎条件が損なわれる可能性があります。株式市場の不安定さは家計や年金基金の資産に影響し、それが消費支出を抑えることもあります。企業が予測困難な貿易環境に直面すれば、雇用を削減したり、生産を縮小したりするかもしれません。こうした摩擦の巻き添えになりがちな新興市場では、資本逃避や通貨危機が起きるおそれがあります。」
「最近の市場動向で最も懸念されるのは、ドル安と同時にドルの長期利回りが上昇していることです。米ドルは安全資産としての地位を失いつつあるように見えます。米政権が自国の経済や金融市場に与えた自ら招いた損害によって、世界金融システムの中心にあるドルの役割が弱まっているようです。世界金融システムにおける主導権は、大きなショックの後にきわめてゆっくりとしか変化しませんが、米政権の行動はそうした変化が起こる条件を生み出す可能性があります。」
グベンガ・イビクンレ(エディンバラ大学、金融学教授・学科長、エディンバラ金融イノベーションセンター所長)
「最近金融市場で観察される変動の大きさは、関税が直接引き起こしたものではありません。関税の導入は情報イベントであり、その意味が明らかになれば、通常は資産評価に速やかに反映されます。市場が反応するのは既知の情報ではありません。既知の情報はすでに資産価格に織り込まれており、市場が反応するのは投資家の信念に生じた変化です。したがって、世界の関税や貿易環境について現在抱かれている見方が頻繁に試され、導入から数日以内に米国の貿易政策が大幅に反転すると発表されている今、金融市場で取引される資産の評価は、より急速に変化すると考えられます。」
「この過度な変動は世界経済に大きな影響を及ぼします。市場が流動性と情報効率の高い価格を提供できることは、資産配分、ヘッジ、分散投資など、世界経済が円滑に機能するために欠かせない活動を可能にします。」
「したがって、市場の質は現代社会における経済主体の経済的な安定にとって極めて重要です。雇用の拡大、所得、退職後の所得、生活水準は企業投資に左右され、その資金調達は機能する金融市場に大きく依存しています。現在の状況を踏まえると、政策の不確実性の深刻さに応じて、近い将来、世界経済の成長は鈍化または縮小することになります。世界の貿易政策がごく近いうちに大幅に安定化しない限り、そうなるでしょう。」




