グローバル化が崩壊しつつあると考えるのは簡単だ。しかし、本当にそうだろうか。
世界の交易は歴史的な高水準に近い状態を保っている。サプライチェーンは短くなっておらず、これまで以上に長く伸びている。
グローバル化が消え去ることはない。再編され、世界貿易は新たなルートを見いだし、新たなハブを生み出す。その変化はすでに始まっている。
今日のニュースの見出しは、貿易戦争、制裁、保護主義の高まりに占められている。対立は深まり、多国間主義は弱まり、同盟関係は変化している。グローバル化が崩壊しつつあると考えるのも無理はない。しかし、本当にそうだろうか。
国際的な貿易の流れに関する最近の分析は、意外な事実を明らかにしている。世界貿易は変化しているが、世界全体のつながりは驚くほど強靱であることが分かった。世界の交易は歴史的な高水準に近い状態を保っている。サプライチェーンは短くなっておらず、平均貿易距離が過去最高を記録するなど、これまで以上に長く伸びている。アジア、中東、アフリカで貿易が拡大し、米国の貿易縮小を上回っている。
世界貿易の流れは変化し、拡大する
最新版のDHLグローバル・コネクテッドネス・トラッカーは、ニューヨーク大学スターン経営大学院との協力で開発され、現在入手可能な最も包括的な世界のつながりの指標を提供する。2025年10月に発表されたこのレポートは、圧力下で貿易がどのように適応するかについて独自の知見を示す。180を超える国々におけるモノだけでなく、資本、情報、人の流れも追跡し、グローバル化の進化を包括的に捉えている。
調査結果は明確だ。地政学的な混乱にもかかわらず、世界の流れは歴史的な高水準に近い状態を保っている。実際、世界貿易は2025年初頭に異例の力強いスタートを切った。予想される関税変更を前にした前倒しの動きが背景にあり、政策の不確実性が取引のタイミングに影響しうることを改めて示している。
こうした一時的な影響を超えて、長期的な傾向も安定している。貿易距離は約5,000キロメートルという新記録に達し、サプライチェーンが短くなるどころか、さらに長く伸びていることを示している。分断は存在するものの、その程度は限られている。米国はモノの貿易における依存と純赤字の削減を目指す一方、サービス貿易、とりわけデジタルサービスでは黒字の恩恵を受け続けている。
主要な地政学的ブロックに属さない国々は、世界貿易における役割を拡大してきた。これらの国々の合計シェアは、2016年の42%から現在は47%に上昇しており、インド、メキシコ、ベトナム、ブラジル、アラブ首長国連邦(UAE)などが特に活発なハブとなっている。この変化は、グローバル化が縮小するのではなく、影響力を再分配し、世界貿易の新たな重心を生み出していることを示している。
一方、対立するブロック間の直接貿易の減少はわずかであり、地域化がグローバル化を上回る勢いで進んでいるわけではない。企業は世界のサプライチェーンを放棄するのではなく、再編し、拡大している。今後、世界貿易は2029年まで年平均2.5%成長すると予測されており、前の10年間とおおむね同じペースだ。つまり、グローバル化は終わるのではなく、適応している。
これは朗報だ。開かれた貿易は単なる経済原則ではなく、イノベーションと繁栄を支える生命線だからだ。世界のつながりがなければ、世界の一部の場所でしか生産されていない製品や機器へのアクセスは縮小し、コストは急騰し、競争力も損なわれるだろう。歴史が示すように、制限は富を生み出さず、生活費を押し上げ、輸出を弱める。関税は一部の国内生産を促すかもしれないが、消費者価格を上げ、輸出の競争力を低下させる。サプライチェーンが深く絡み合う世界では、孤立は強靱性への道ではなく、非効率を招く。
DHLでは、貿易の力を日々目の当たりにしている。安全で効率的かつ多様なサプライチェーンは世界商業の基盤を成し、企業が変動に対応し、国境を越えてモノの流れを維持することを可能にしている。再生可能エネルギー事業に不可欠な部品の配送から、命を救う医薬品を患者に時間どおり届けることまで、世界貿易は進歩と豊かさを支えるインフラである。
世界をつなぎ続ける
グローバル化が消え去ることはない。再編され、新たなルートを見いだし、新たなハブを生み出す。その変化はすでに始まっている。課題であり機会でもあるのは、つながりが強靱性と共通の成長の源であり続けるよう、この変革を形づくることだ。
企業、政策立案者、そして社会全体にとって、なすべきことは明らかだ。世界を開かれた交易の場として保ち、私たちを結びつけるネットワークを強化し、進歩が滞りなく広がる仕組みに投資することである。結局のところ、つながりは貿易だけの問題ではない。不確実な世界で、信頼と協力を育み、共通の繁栄に向けた条件を整えることでもある。
フォーラムは、地域、貿易、地政学の変化を理解するうえで、リーダーをどのように支援しているのか
地域・貿易・地政学センター は、変化する貿易の動向、地域の情勢、地政学的な分断を理解するための、リーダーに信頼される場を提供している。
分野や地域を越えた対話を促すことで、同センターはパートナーが不確実性に対処し、共通の課題に対する協力的なアプローチを探る手助けをしている。






