グリーンリカバリー投資シナリオによると、世界GDPの1%を投資すれば、2030年までに世界のCO2排出量を6~8.5%削減できる可能性があります。
研究者らによると、復興パッケージでは、低炭素型エネルギー生産への移行を加速し、エネルギー効率を高めることに重点を置くべきです。
パリ協定の目標を達成する唯一の方法は、化石燃料を抑制する強力な気候政策と組み合わせて、低炭素分野への投資プログラムを継続し、意欲的に進めることだと研究者らは述べています。
新たなグリーンリカバリー投資シナリオにより、世界GDPの1%を投資すれば、2030年までに世界のCO2排出量を6~8.5%削減できる可能性が示されました。研究者らは、一時的な景気刺激策であっても、エネルギー生産や産業プロセスからのCO2排出量を長期的に削減できる可能性があることを示しました。
新型コロナウイルス感染症のパンデミックは、世界的な健康危機と経済危機を引き起こしただけでなく、2020年の世界のCO2排出量を2019年比で6~7%大幅に減少させました。経済を回復させるため、世界各国の多くの政府が、景気を刺激し雇用を支える復興計画に投資してきました。しかし、復興策は今後何年にもわたり排出量に影響を及ぼす可能性があります。
次の研究でFrontiers in Climateに掲載された論文で、オランダ環境評価庁の研究者らは、復興パッケージが低炭素型エネルギー生産への移行加速と産業のエネルギー効率向上に重点を置けば、パリ協定の目標達成を大きく後押しできると示しました。筆頭著者のイオアニス・ダフノミリス博士は次のように説明しています。
「以前のモデリング研究でパンデミックが世界の排出量に及ぼした影響を分析できたことを受けて、グリーンな対策や政策に重点を置いた、的を絞った経済復興がもたらす可能性のある効果を調べるのは興味深い試みだと考えました。当時、各国政府は数多くの復興策を発表していましたが、その大半は経済全般の回復に重点を置いていました。」
「私たちの知る限り、複数のモデルを用いて新型コロナウイルス感染症からのグリーンリカバリーを調査している科学チームは、今も私たちだけです。」
世界経済フォーラムは気候危機にどう取り組んでいるのでしょうか?
CO2排出量の削減
研究者らは、定評のあるモデルを用いて、新型コロナウイルス感染症のパンデミックと、想定されるグリーンリカバリー・パッケージの双方について、エネルギー利用、経済、排出量への影響を考慮した包括的な分析を行い、先行研究を超えることを目指しました。そのため、ダフノミリス氏とチームは、エネルギー生産と産業プロセスにおける排出削減を直接支える分野への投資に焦点を当て、3年間の投資計画をモデル化しました。
結果は、一時的な景気刺激策であっても、エネルギー、運輸、産業の重要分野で低炭素への移行を進めることで、CO2排出量を長期的に削減できる可能性を示しています。
「総発電量に占める再生可能エネルギーの割合は増加すると予測され、電気自動車の普及は加速し、産業部門や建築部門での省エネルギーはさらなる排出削減につながります。私たちの研究結果は、エネルギー生産や産業からのCO2排出量の最小化と低炭素技術の普及拡大という点で、グリーンリカバリーの景気刺激策がもたらし得る複数の利点を示しています」とダフノミリス氏は述べました。
力強いグリーンリカバリー・プログラム
ただし研究者らは、低炭素技術への投資を増やす期間がわずか3年では、それだけで世界の排出量の動向を変えるには不十分であることに留意すべきだと強調しました。
「パリ協定の目標を達成する唯一の方法は、化石燃料の消費と生産を抑制する強力な気候政策と組み合わせて、低炭素分野への投資プログラムを継続し、意欲的に進めることです。持続可能性と社会経済的な便益を最大化するため、こうしたグリーンリカバリー・パッケージを各国の開発計画に組み込む必要があります。」
ダフノミリス氏は、グリーンリカバリーのモデルに関するさらなる研究が、各国政府による国ごとの提言づくりに役立ち、低炭素への移行を支える政策立案の推進につながることを期待しています。





