ミドル・コリドーを利用して中国と欧州の間で貨物を輸送すると、平均で2,500キロメートルの距離を短縮できます。
中央アジア、カスピ海、南コーカサスを通るミドル・コリドーは、中国の太平洋岸から欧州への最短ルートです。
2022年、このルートの貨物輸送量は過去最高の伸びを記録し、2.5倍の150万トンに達しました。
2,500キロメートル。アスタナからアルマトイまで往復する(あるいはマドリードからコペンハーゲンまで移動する)のに相当する距離が、ロシアを通る北部回廊と比べて、中国と欧州の間でミドル・コリドーを使って貨物を輸送することで平均して短縮できます。ミドル・コリドーは何千年にもわたりユーラシアの重要な経済動脈として、商業を支え、文化交流を促してきました。
回廊沿いの国々や、欧州とアジア間の貿易に携わる企業には、ミドル・コリドーがもたらす機会に期待する理由があります。何しろ、中国と欧州の貿易額は年間6,000億ドルに上ります。中央アジア、カスピ海(地球上で最大の大陸の陸地にある最大の湖)、南コーカサスを通るミドル・コリドーは、中国の太平洋岸から欧州への最短ルートです。
このルートを利用すれば、輸送日数を数日短縮できる可能性があります。上海から欧州への貨物輸送は、ミドル・コリドー経由なら10日で済む一方、北部回廊では最長20日、海上輸送では45~60日かかる可能性があります。時間短縮に加え、ミドル・コリドーは通過国間の貿易を拡大し、地域統合を強化し、経済の多角化を促進する可能性もあります。
人気が高まるミドル・コリドー
数字がその成果を物語っています。2022年、このルートの貨物輸送量は過去最高の伸びを記録し、2.5倍の150万トンに達しました。今年第1四半期には、鉄道貨物輸送量が60%超増加し、43万3,000トンとなりました。こうした数字や進展は大いに期待を抱かせるものですが、ミドル・コリドー経由の貿易は現在、北部回廊で輸送される貨物総量の10%未満にとどまる点を強調する必要があります。
ミドル・コリドーの貿易の潜在力を最大限に引き出すには、既存区間を改修し、将来にわたって利用できる輸送ルートの実現に向けて新たな投資を行う必要があります。官民のリーダーが連携し、ソフト・ハード両面のインフラの制約に対処するとともに、グリーン化とデジタル化への移行に特に注力する必要があります。
世界経済フォーラムは貿易円滑化にどのように取り組んでいるのでしょうか?
高まる投資意欲
回廊沿いの国々には、こうした投資への意欲が明らかにあり、ルートの潜在力を引き出すための重要な措置も講じられてきました。2022年11月、アクタウで開催されたカスピ海横断連結性に関する閣僚会合では、参加者がロードマップに署名し、2025年までにミドル・コリドーの年間輸送能力を1,000万トンに引き上げることを目指しました。同時に、デンマークのMærsk、オーストリアのRail Cargo Group、フィンランドのNurminen Logistics、オランダのRail Bridge Cargoなど、欧州の物流企業との効果的な官民連携が進み、各社はルート沿いの貨物取扱量を増やすための取り組みを行っています。
回廊の物理インフラの計画された改良に、デジタル化とグリーン化への移行を生かすことが不可欠です。
ミドル・コリドーの輸送区間のうち最長の区間では、鉄道が主な輸送手段です。官民双方が鉄道インフラの拡充と改修を目指すなか、ネットゼロの鉄道網を実現するため、鉄道路線を電化することが極めて重要です。カスピ海を通じた貨物輸送の脱炭素化には、クリーンエネルギー技術と関連インフラへの投資拡大が欠かせません。世界経済フォーラムは、ゼロ・エミッション連合を通じて、海運と燃料のバリューチェーン全体から約200のステークホルダーと連携し、海運のネットゼロ実現を目指しています。
ソフトインフラにも対処する必要があります。新たなパートナーにとってルートをより魅力的にするには、税関手続きを調和させ、簡素化する必要があります。ここではデジタル化への移行を生かすことが鍵となります。国境での待ち時間を減らすため、検問所や港湾に電子式の待ち行列システムを導入することや、電子通過書類を導入することは、非関税障壁の撤廃につながる例です。ミドル・コリドー沿いの国々の代表者が、すでにこうした貿易障壁の緩和を目指していることは明るい兆しです。
機会は非常に大きく、官民の関係者の意欲も明らかです。ミドル・コリドーを小道から幹線道路へと変える時が来ています。





