カリフォルニア州、世界第6位の経済圏に

The California-China Office of Trade and Investment helped Tesla establish a factory in China. The state needs more offices like it
The California-China Office of Trade and Investment was instrumental in helping Tesla establish a factory in China.Image: REUTERS/Fabian Bimmer
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第二次世界大戦後、米国のハリー・トルーマン大統領は、米国に世界大国の役割を担うよう呼びかけた。「出来事が急速に進展するなか、重大な責任が私たちに課せられた」と、トルーマンは1947年3月、米国議会で述べた。

それから70年がたち、世界は大きく様変わりした。都市、州、地域など、地方政府単位と呼ばれる主体が、自律的な国際的権限を強めている。地域住民の福祉に貢献し、気候変動、移住、テロといった地球規模の課題に取り組んでいる。

こうした主体は独自の外交政策を持ち、それはパラディプロマシーと呼ばれる。市長や州知事にとって、今や当たり前のことだ。国際協定を結び、貿易使節団を組織し、国際機関に参加して、地域の課題に対する世界規模の解決策を求めている。先ごろボンで開催されたCOP23では、地方・地域リーダー気候サミットが「パリ協定をあらゆるレベルで実現する」というボン・フィジー誓約を採択した。

米国ではすべての州と、人口100万人を超える都市の大半が、効果や資源の水準に差はあるものの、対外活動を行っている。およそ40州が、合計で約250の海外拠点を持つ。海外事務所が最も多いのはペンシルベニア州とミズーリ州で各15か所、次いでフロリダ州が13か所、ジョージア州が11か所だ。

地方政府単位の権限は拡大したが、リーダーシップは追いついていない。国家には明確な指導者がおり、経済力、軍事力、技術力、社会的な力によって、その影響力の構図がはっきりと示される。しかし、地方政府単位の市長や州知事には、同じような意欲が見られない。リーダーシップは分散し、欠けていることも多い。その結果、活動は断片化し、試行錯誤が重なり、しばしば重複する。都市や州が加盟する国際ネットワークや組織は150を超えるが、その約3分の1は議題が重複し、実績にも疑問がある。これは統治の不備を示している。

カリフォルニア州は世界で最も豊かな地方政府単位であり、英国とフランスの間に位置する世界第6位の経済圏でもある。今こそ前に出る絶好の機会だ。トルーマンの言葉を借りれば、カリフォルニア州は「直ちに断固たる行動を取らなければならない」。この10年間、国際舞台で一定の前進を遂げてきた。しかし、その実力に見合う役割を果たしていない。カリフォルニア州は、毎年6か月戦い、残りの6か月は眠るよう呪いをかけられたヒンドゥー教の巨人、クンバカルナの現代版だ。

カリフォルニア州はリーダーシップを発揮する運命にある

カリフォルニア州は、外交に取り組む実験の発祥地だ。州の最初の憲法は1849年に批准され、カリフォルニア州が1850年に連邦へ加盟する前に成立した。その署名者の多くは国際的な背景を持ち、ミゲル・ペドロレナやピエール・サンセヴェインのように、メキシコ、フランス、スペイン生まれだった。しかし、憲法は国際問題を顧みなかった。一方、別の場所ではその取り組みが芽生え始めていた。1857年、オーストラリアのビクトリア州が、ロンドンに海外拠点を設置した最初の州となった。

歴史を通じて、カリフォルニア州には世界中から人々が集まってきた。しかし、国際的な課題設定の重要性を認識するまでには、1959年から1967年のパット・ブラウン知事政権を待たねばならなかった。国際貿易の強化を目的にロンドンと東京に事務所を開設したが、現在はいずれも閉鎖されている。その後、1977年に州内に国際貿易局を設置した。1999年には、国際的なパートナーとの政治・経済関係を強化するため、外交担当長官を任命した。アーノルド・シュワルツェネッガー知事(2003~2011年)とジェリー・ブラウン知事(2011年~現在)のもとで、貿易や気候変動をめぐる重要な成果も挙げた。

2017年6月、ブラウン知事は中国の習近平国家主席と会談し、排出削減に向けて協力する合意に署名した。ボンで開催されたCOP23では、ブラウン知事とニューヨーク市の元市長マイケル・ブルームバーグが、気候変動対策に取り組む米国の決意を改めて表明した。

しかし、世界はカリフォルニア州にさらなる取り組みを期待している。

最近、私はカリフォルニア州立大学の会議で、「カリフォルニア州は独自の貿易政策を持つべきか」と題する討論に参加した。ロサンゼルス市長のエリック・ガーセッティや複数のビジネスリーダーも出席していた。そこで、サンフランシスコを拠点とするビジネス・経済政策団体ベイエリア・カウンシルが運営するカリフォルニア・中国貿易投資事務所が、予算上の制約から閉鎖の危機にあることが明らかになった。ベイエリア・カウンシルは、事務所の年間経費50万ドル全額を負担している。2013年に「中国におけるカリフォルニア州貿易事務所」と名付けられる以前から、負担を続けている。

カリフォルニア州政府の外交体制は、予算、人員、法的能力、運営基盤の強さなどの点で、カナダや中国の各省、ドイツの州よりも弱い。そのため、他の有力な地域経済と比べて脆弱な立場にある。たとえばドイツのバイエルン州は、自州の予算で海外に28の事務所を運営している。中国の江蘇省は18か国に貿易事務所のネットワークを持つ。

他の米国各州と比べても、カリフォルニア州の外交体制は弱い。経済力も人口密度もカリフォルニア州を大きく下回るモンタナ州を考えてみよう。カリフォルニア州には適切な海外拠点がない一方、モンタナ州は1988年以来、日本に海外貿易事務所を維持している。

都市レベルで見ると、カリフォルニア州の成果はまちまちだ。ロサンゼルス市は北京、上海、広州、成都に観光事務所を設置してきた。一方、貿易振興や海外直接投資(FDI)の誘致に関しては、ロサンゼルス、サンフランシスコ、サンディエゴ、サンノゼなどの都市で、国際活動を率いる人員はごくわずかだ。ロサンゼルス市長のエリック・ガーセッティは、自都市を「環太平洋地域の東の首都であり、ラテンアメリカの北の首都であり、米国の西の首都」と表現している。しかし、およそ8,000の地方政府単位の貿易振興・FDI機関が世界に存在するなか、ロサンゼルスとカリフォルニア州は、世界的な競争にどう立ち向かうのだろうか。

5つの提言

1. カリフォルニア州の国際関係戦略を策定し、最大規模の都市を参画させる

「行動計画」や「ビジョン」は、政府の政策方針や優先事項を示す戦略文書だ。ケベック州、フランデレン地域、サンパウロ、ニューサウスウェールズ州、西ケープ州は、国際的な目標について明確な指針を採択している。カリフォルニア州は、UAEビジョン2021、サウジ・ビジョン2030、あるいは新しい東京、新しい明日:2020年行動計画を参考にできるだろう。こうした戦略によって、カリフォルニア州の優先事項を定めるべきだ。貿易とFDIか。気候変動の緩和か。インフラか。干ばつ対策か。

州のビジョンには、都市の戦略も組み込むべきだ。互いに協力してきた実績のない主体をまとめる正当性を持つのは、州そのものだけだ。たとえば、ロサンゼルス広域圏に統一的な対外貿易政策を設けることには意味があるかもしれない。だが、誰が主導するのか。ロサンゼルス市は、ロサンゼルス郡にある88市の一つだ。ロサンゼルス郡は、ロサンゼルス広域圏を構成する5郡の一つだ。明確な戦略があれば、こうした点を決められるうえ、ある市幹部から聞いた「待ち時間が長すぎる」という常套句の不満にも対処できる。

2. 民間団体の資源を活用する

サンフランシスコを拠点とするベイエリア・カウンシルは、成果を上げている団体の一例だ。11月には、州の気候変動への強靱性を高める大規模な取り組み「カリフォルニア気候チャレンジ」を開始した。

ロサンゼルスでは、会員企業が1,650社を超えるロサンゼルス地域商工会議所と、ロサンゼルス郡経済開発公社(LAEDC)が、ロサンゼルス地域の国際戦略を策定できるよう後押しすべきだ。市長室と、ロサンゼルスへの進出や事業拡大を目指す海外企業にビジネス支援を提供する非営利団体、ワールド・トレード・センターが主導できるだろう。2028年に市がオリンピックを開催することを踏まえ、州と最大規模の都市を支えるために民間部門を活用することは、極めて重要だ。

3. ワシントンとの関係を慎重に扱う

カリフォルニア州は、トランプ政権に反対することだけを目的に外交を強化すべきではない。対外関係は、長期的でより確かな基盤の上に築くべきだ。国務省の最新の「外交・開発に関する4か年レビュー」は、「権力が分散し、ネットワーク化する時代」において、同省が地方政府単位との関係を強化する必要性を強調している。トランプ政権下であっても、カリフォルニア州が国際舞台で大胆な行動に出る際、連邦政府の体制は有力な味方になり得る。実際、気候変動をめぐって知事とロサンゼルス市長がトランプ大統領を公然と非難しているにもかかわらず、ロサンゼルス・ワールド・トレード・センターと市長室は、商務省や米国通商代表部と良好な非公式関係を築いている。

4. 外交の中心に人間的な視点を据える

地方政府単位の外交は、より住民のニーズを重視する。医療、教育、住宅など、人々に直接利益をもたらす政策を実施できるよう、地方自治体の手段を充実させることを目指す。目に見える測定可能な利益を住民にもたらさない国際活動は、行政当局者が優先度を下げるべきだ。規範や議定書に従う傾向が強い国家外交に比べ、パラディプロマシーはより実務的で、住民が主導する。新たに任命されたロサンゼルス市の国際問題担当副市長、ニーナ・ハチジアン大使は、外交がロサンゼルス市民の利益となるようにすることを優先すると表明した。これは正しい方向性だ。

5. 資源をより充実させる

カリフォルニア州の2017~2018年度予算は1,830億ドルだ。そのごく一部を、州の海外での存在感を高めるために充てるべきだ。貿易事務所は自らの費用を回収できる。たとえば、カリフォルニア・中国貿易投資事務所は、テスラの中国工場設立を支援するうえで重要な役割を果たした。これにより同社の企業価値が高まり、州に多額の税収がもたらされた。ベイエリア・カウンシルの関係者によれば、フロリダ州は海外事務所のネットワーク運営に1,500万ドルを投じ、1億400万ドルの見返りを得ている。

デジタル化が進む今日、より良い政策の実施には職員の増員が必要だという考え方は時代遅れに思える。それでも、カリフォルニア州政府と最大規模の都市では人員が不足している。この問題に対処しなければならない。

1947年に米国が世界の主導権を握って間もなく、適切な組織体制と資源を整えた。1947年にCIAが創設され、1949年にはNATOが続いた。カリフォルニア州も同様に、州政府と都市がリーダーシップを発揮するために必要なものを整えなければならない。

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