最近の山火事により、気候変動がもたらす危険への注目が高まっている。
新しいテクノロジーは、最前線で働く消防士の健康状態の監視に役立つ可能性がある。
この装置には、二酸化炭素濃度、温度、湿度を監視するセンサーが搭載されている。
燃える藪から炎と煙が吹き寄せるなか、カタルーニャの消防士たちは、森林に覆われた丘陵地で計画的に行われる火入れの進行を落ち着いて管理していた。これは、夏の暑さで後に火災が発生する危険を減らすための訓練だった。
燃えやすい下草を間引くこのような計画的な森林火災は、よく知られた方法で、山火事のリスクを低減する。地球温暖化に伴い、そのリスクは高まっている。
こうした森林火災の予防や消火に当たる人々の健康への影響は、あまり理解されていない。
2月の穏やかな朝、バルセロナ南方の田園地帯で、低コストの監視装置が初めて実地試験された。その目的は、消防隊をよりよく守ること、そして長期的には火災が起きやすい地域の住民を守ることだ。
「この種の仕事を20年間続けるなかで……有害物質を扱っているという認識が強まりました」と、ベテラン消防士のジョアン・エレーラは語った。頭痛や呼吸器の問題に悩まされたことをきっかけに、彼は煙の吸入による影響を特定する取り組みを始めた。
彼は救急看護師とともに、バルセロナを拠点とするIT開発者とデータサイエンティストのボランティア3人からなるチームと協力し、「Prometeo」の装置とソフトウェアを開発した。これは、テクノロジー大手IBMが主導する毎年恒例の「Call for Code Global Challenge」で2019年に優勝した。
IBMは、オープンソースのソリューションをスペインからオーストラリア、カリフォルニアまで、世界各地の火災が起きやすい地域に導入できるよう、コンピューティングサービスと専門知識を提供している。
「まずは……自分たちに何が起きているのかを理解し、煙の濃度を検知し、それが一酸化炭素濃度にどう影響しているかを把握する必要があります。そしてソフトウェアを通じて……消防士の状態を時間の経過とともに判断し、活動を続けてもらうか、休ませるために現場から下げるべきかを決められます」とエレーラは語った。
オリベラ村近くで火入れを行っていた約30人の消防士のうち10人は、制服の胸元に小さな3Dプリント製の緑色の箱を装着していた。箱には、一酸化炭素濃度、温度、湿度を検知するセンサーが入っていた。
モノのインターネット、クラウドコンピューティング、人工知能を活用し、データをアプリに送信して処理した。丘の下方に設置されたテントの画面で、そのアプリを監視した。
消防士ごとに表示されるコンピューター上のアイコンは、周囲の一酸化炭素濃度が急上昇すると、緑から黄色または赤に変わった。
「今日、3番の隊員が一日中(一酸化炭素に)かなりさらされていたと分かれば、明日は出動させるべきではないとコンピューターが判断できるようになります」と、Prometeoチームのメンバー、ジョゼップ・ラフォルスは説明した。
救急隊員は「気分が悪いとか、めまいがするとか、決して言いません……でも、これはデータです」と彼は付け加えた。
今後は、医学的に意義のある結果を得るのに十分なデータを集め、再利用可能な装置を改良し、より広く展開するための事業パートナーを見つける計画だ。ラフォルスによると、装置は10ユーロ(11ドル)未満で製造できるという。
Prometeoの開発者サロメ・バレロは、カタルーニャでこのテクノロジーがうまく機能すれば、他の地域にも展開できることを期待していると語った。まずは、Prometeoのようなハイテク機器を持たないボランティア消防士が多いオーストラリアから始めたいという。
「消防士は国境を越えた大きな家族です」と彼女は語った。「オーストラリア、ギリシャ、ポルトガル、ここスペイン、あるいはアメリカで大規模な火災が起きると、皆が互いに学び合う仕組みがあります。」

「スーパーヒーローではない」
カタルーニャ州政府の消防機関で山火事を分析するマルク・カステルヌーは、臨床的に信頼できる結果を得るため、Prometeoの装置を国際的な約1,000人の消防士に5年間使用するのが理想だと語った。
建物火災の消火に当たる人々は、がんのリスクが高いことが研究で示されていると、彼は指摘した。
今後の目標は、森林火災の煙に累積的にさらされることが同様の脅威となるのか、また心血管疾患を悪化させる可能性があるのかを明らかにすることだと、彼は付け加えた。
「分かりさえすれば、どう解決するかを考えられます」と、彼はトムソン・ロイター財団に語った。
オーストラリア連邦科学産業研究機構の研究者ファビエンヌ・ライゼンは、10年前に同国の消防士を煙への曝露から守るための指針を作成した。
同国で最近起きた森林火災危機と長期化する火災シーズンを受け、脅威をよりよく理解するための需要が高まるだろうと、彼女は述べた。
特に、都市部を守る役割を担うことが増えている山火事の消防士のリスクを分析するには、さらなる取り組みが必要だという。彼らは燃える建物や車から出る有毒化学物質を吸い込む可能性があると、彼女は述べた。
「都市と自然が接する地域で消火に当たる人々を見ると、呼吸器の保護はかなり不十分です」と彼女は語った。
カステルヌーによると、気候変動によって火災シーズンが長期化し、火災がより激しく、さらに遠くまで延焼するようになり、より多くの財産が危険にさらされている。
「カリフォルニアやヨーロッパ、オーストラリアのような豊かな社会では、火災の脅威にさらされる資産が各地にたくさんあり、それらを守らなければなりません」と彼は語った。
「火災が大規模化し、危険にさらされる人が大幅に増える。この組み合わせによって、消防士は有毒かもしれない煙に本当にさらされることになるのです」と彼は付け加えた。
こうした状況で消防士が直面する健康リスクについて、より正確なデータと医学的分析があれば、現場に派遣しない判断につながる可能性がある。また、その判断を納税者に説明するための根拠にもなると、彼は指摘した。
「私たちは仲間を守らなければなりません。スーパーヒーローではないのです」と彼は語った。

気候変動への解決策
水曜日、IBMと「Call for Code」チャレンジのパートナーは、新たに始まる2020年のコンペティションで、気候変動に対処するオープンソース技術に基づく革新的なアイデアを募集すると発表した。
国連やLinux Foundationを含むパートナーによると、応募作品は水やエネルギーの持続可能性、または災害へのレジリエンスに焦点を当てるべきだという。IBMが委託した国際オンライン調査では、テクノロジー開発者、緊急対応要員、気候変動活動家ら約3,200人のうち79%が、気候変動はテクノロジーによって影響を軽減したり、対処したりできる問題だと回答したと同社は述べた。
「気候変動は、私たちの時代における最大かつ最も差し迫った課題です。世界各地の開発者や多くの国の政治家と話をして、(気候変動には)直ちに行動する必要があると分かりました」と、受賞者との取り組みを率いるIBMのソフトウェアエンジニア、ダニエル・クルークは語った。


