未来の働き方には大きな可能性が広がっています。人間の知力と人工知能、仮想現実、自動化を組み合わせることで、私たちの働き方は一変します。すでにロボットによる能力拡張は、人間が生来の能力を超えることを助けています。AIは、無駄を削減し成果を最大化する、リアルタイムで個人に合わせたインテリジェントなサービスへの扉を開いています。また、仮想現実と拡張現実は、リアルタイムの学習、人間とロボットの協働、より安全な職場環境を可能にしています。
破壊的イノベーションは、現代に限ったものではありません。農業は手作業から機械化へと移行し、自動車製造は職人的な産業から組立ライン生産へと変わりました。しかし、デジタル化による変革の課題と機会に直面する企業や労働者にとって、大きな問題が浮上しています。
高齢化や人口減少といった課題に対応するうえで、技術革新は最大の希望です。しかし、それが恐怖を引き起こす可能性も認めなければなりません。失業者の増加を支えるため、国が保障するユニバーサル・ベーシックインカムなど、急進的な対応を求める声が高まっているのも、そのためかもしれません。いずれにせよ、デジタル化は人々の自己価値や人間性の感覚をめぐる大きな問いを投げかけています。

こうした機会にどう対応し、必要であれば課題にどう備えるべきでしょうか。私は楽観的です。私たちの業界である人材ソリューションでは、自動化によって、すでに付加価値の高い業務に充てる時間が生まれています。つまり、対面での会議や研修、コーチング、人間味のある対応、さらには戦略策定やプロセスの最適化に、より多くの時間を使えるのです。
たとえば、エラ。これは、キャリア移行と人材開発の世界的リーダーであるリー・ヘクト・ハリソンが開発した、チャットボット型のデジタル・キャリアエージェントです。エラは、一般公開されている求人と同社の顧客企業の求人をすべて確認し、候補者の経歴やニーズに合う求人を見つけます。これにより、人事担当者はほかの業務に専念できます。
デジタル化とテクノロジーは、包摂的な成長を促す重要な原動力になると確信しています。中国企業のWoWooHRを見てみましょう。同社はオンライン人事プラットフォームを通じた社会保険管理サービスから事業を始め、効率と品質の高い「インターネット・プラス」人事サービスを企業に提供しています。今後は給与計算や従業員福利厚生の管理にも事業を広げる計画です。モバイルオンライン技術、ビッグデータ管理、クラウドプラットフォームを活用し、中国の最も遠隔地にある企業で働く従業員にも、専門的で効率と品質の高い人事サービスを提供することを目指しています。
教育分野でも、テクノロジーの影響は明らかです。教材の作成、コンテンツの配信(大規模公開オンライン講座、いわゆるMOOCを思い浮かべてください)、ビッグデータを活用した学習成果の評価など、学びのあり方が変わりつつあります。とりわけ発展途上国には大きな機会があります。若い世代が教育を受け、スキルを高める機会を、これまで以上に確保できるからです。
もちろん、デジタル化によって持続可能性を高める機会は、さらに広がっています。労働者にとっては、場所や時間を問わず働ける現実的な可能性が生まれています。優れた人材は、地元や地域の市場にとどまる必要はなく、世界規模で競争できるようになりました。
テクノロジーは、包摂の可能性も広げています。親など、柔軟な働き方を必要とする人々が働きに参加できる機会は大幅に増えています。障害のある人や遠隔地で働く人にも、同じことが当てはまります。
新たな技術環境を最大限に生かすには、政府、企業、労働者のすべてが適応しなければなりません。政府と企業が議題に掲げるべき優先事項の一部を紹介します。
研究とイノベーションに投資する。進歩を止めることはできませんが、その力を生かすことはできます。
学校教育を改革する。STEM教育とデジタルスキルは不可欠です。しかし、新しい働き方に必要な対人スキルも忘れてはなりません。柔軟性、「学び方を学ぶ」力と継続的な変化に適応する力、そして地理的に離れたチームの協働と成果を促すコミュニケーション能力や協働スキルが求められます。
急速な変化に対応できるよう、生涯学習とスキル向上に投資する。複数のキャリアを歩む時代を迎えた労働者にとって、不可欠です。
柔軟性と機動性を受け入れ、国際的な経験やネットワーク、異文化対応力を育む。
デジタル変革は、雇用と社会に大きな影響を及ぼしています。今行動を起こし、適切なスキルの育成と形成に投資すれば、「デジタル」人材が21世紀の持続可能で包摂的な成長を実現する真の原動力となるでしょう。


