民間衛星が増える中、宇宙の商業化にはどのようなリスクがあるのか?

Ocean clouds seen from space
The Global Risk Report says some governments “are encouraging private space activity to further national ‘territorial’ claims.Image: Unsplash/ NASA
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  • 既に約1万1,000基の衛星が地球を周回しており、大量の宇宙ゴミも存在しています。

  • 地球上の生活は、宇宙技術にますます依存しています。

  • 衝突のリスクが高まるなか、私たちが宇宙をどのように利用し、統治していくのかを改めて考えるべき時が来ているのでしょうか?

  • 『グローバルリスク報告書』はこちら。

宇宙は混雑し、商業化も進んでいます。その結果、衛星と宇宙ゴミとの衝突リスクが高まっており、宇宙利用に関する新たな規制が早急に必要とされています。

これらは、世界経済フォーラムの『グローバルリスク報告書2022』において示された結論です。同報告書は、衛星が故障した場合、自然災害によるものか人為的な事象によるものかを問わず、地球上の生命への影響が甚大になりうると警告しています。

同報告書によれば、世界の航法・通信システムは宇宙技術に大きく依存しており、エネルギーや水の供給、金融インフラ、ブロードバンドインターネット、テレビおよびラジオ放送も同様です。

しかし、宇宙ゴミが1基の衛星に衝突しただけでも、破片の雲が発生してさらに多くの衛星を破壊し、重要なサービスに「連鎖的影響」をもたらす可能性があります。これはケスラー効果と呼ばれる理論によるものです。

宇宙空間の混雑が進むことに内在するリスク。Image: 世界経済フォーラム

「そのような可能性が混雑した宇宙でますます現実味を帯びる中、宇宙活動に関する国際ルールが更新されていないことは、衝突の潜在的なリスクを高めている」と報告書は述べています。

混雑する宇宙

1957年に人類初の人工衛星スプートニク1号が地球周回軌道に投入されて以来、約1万1,000基の衛星が打ち上げられてきましたが、今後数十年でその約7倍の数の衛星が加わる計画があると、報告書は指摘しています。

また、軌道上には推定50万個の宇宙ゴミがあり、宇宙利用に対する脅威が高まっています。宇宙ゴミが国際宇宙ステーション(ISS)に2021年5月に衝突し、ロボットアームに穴を開けました。

グローバルリスク報告書の調査対象者のうち、宇宙における紛争を防ぐための緩和策が効果的だと答えたのはわずか3%で、59%は依然として初期段階にあると考え、17%は未だ着手さえしていないと考えています。

世界経済フォーラムのグローバルリスク報告書は、深刻度の高い上位10のリスクを示しています。Image: WEFグローバルリスク報告書2022

宇宙規制が遅れている

1967年以来、110カ国が国連宇宙条約を批准しており、同条約は宇宙への大量破壊兵器の配置を禁じています。しかし報告書は、宇宙規制が進化する技術や新たな軍事的脅威に追いついていないと指摘しています。

報告書は、衛星の打ち上げや運用を統括し、宇宙交通管制を確立し、それを裏付ける共通の執行原則を定めるための国際機関について「喫緊の必要性」があると述べています。

1972年宇宙損害責任条約は宇宙船のみを対象としていますが、報告書は、飛行機から発射され翼を使って着陸するリチャード・ブランソン卿のヴァージン・ギャラクティック社の機体のような事例をどう扱うかについて、明確化が必要だと述べています。

宇宙技術への民間投資の増加により、宇宙交通管制の必要性が高まっています。Image: ヴァージン・ギャラクティック

ヴァージン・ギャラクティックは、宇宙技術への民間投資が増加している傾向の一例にすぎません。イーロン・マスク氏のSpaceXのロケットは既にNASAなどの政府機関向けに衛星や物資の輸送を行っており、ISSの乗組員へのクリスマスプレゼントも含まれています。

宇宙探査は当初、政府の独占領域でした。しかし、グローバルリスク報告書によれば、一部の政府は「国家の『領土的』主張を強化するため、あるいは高付加価値の雇用の創出を促進するため……さらに軍事的または防衛志向の存在感を高めるため」に、民間の宇宙活動を奨励しているとされています。

米国では、SpaceXのStarshipロケットがNASAの宇宙飛行士を月へ運ぶ機体に選ばれており、これはアルテミス計画の一環です。同計画は人類の火星到達も目指しています。Starshipは、1972年12月のアポロ17号の月面着陸以来、米国初の有人月ミッションとなる予定です。

宇宙への民間投資の増加により、衛星の打ち上げコストが下がっています。Image: 世界経済フォーラム

報告書によれば、宇宙への民間投資の増加は、衛星を軌道に打ち上げるコストの低下も促しています。コストが下がることで、より多くの組織が小型衛星を打ち上げられるようになり、宇宙ベースのエネルギー生成や観光などの革新の可能性が開かれつつあります。

宇宙での軍拡競争

新たな宇宙技術の望ましくない側面の一つとして、極超音速兵器の開発があります。これは従来の防衛網を回避できるほど速く、機動性の高いミサイルです。報告書は、「極超音速の軍拡競争」が既に始まっていると述べています。

軌道上には推定50万個の宇宙ゴミがあります。Image: 世界経済フォーラム

「宇宙ガバナンスの欠如は、軍拡競争をさらに起こりやすくしている」と報告書は述べています。「境界線、宇宙物体の管理、デュアルユース(軍民両用)システムといった主要課題について合意がほとんどないため、近い将来に新たなルールが生まれる可能性は低い。宇宙ガバナンスにおける協力がさらに低下すれば、リスクは一層高まるだけだ」と付け加えています。

報告書は、宇宙ゴミ以外の危険にも重要な宇宙技術が脆弱であると警告し、宇宙大国が協力して紛争を回避し、宇宙活動の基準と規範に合意するよう求めています。

「決定的に重要なのは、技術が規制よりも速いペースで発展している他の分野と同様に、民間セクターの関係者を合意プロセスに参加させることが、そうした協定が商業的および技術的な現実の両方を反映することに役立つという点だ」と報告書は結論づけています。

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