臓器を再生できる可能性を秘めた、生体活性「ティッシュペーパー」

Origami birds hang from a tree in memory of victims of the magnitude 9.0 earthquake and tsunami which struck Japan last week, in the centre of Sofia, March 17, 2011. REUTERS/Oleg Popov (BULGARIA - Tags: DISASTER SOCIETY ENVIRONMENT) - RTR2K053
The bioactive "tissue paper" could support cancer patients and aid the healing of wounds.Image: REUTERS/Oleg Popov
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新しい生体活性「ティッシュペーパー」は、臓器由来の素材で作られており、折り紙の鳥に折れるほど薄く、柔軟です。

この技術は、若年のがん患者の自然なホルモン産生を支えたり、創傷治癒を助けたりする用途に使える可能性があります。

「用途の幅が広く、外科手術にも使いやすい素材です。」

このティッシュペーパーは、臓器の形や構造を形づくる細胞分泌性の構造タンパク質を、素材を柔軟にするポリマーと組み合わせて作られています。

この研究では、ブタやウシの臓器を加工して得た卵巣、子宮、腎臓、肝臓、筋肉、心臓のタンパク質から、それぞれのティッシュペーパーを作製しました。各ティッシュペーパーは、原料となった臓器に固有の細胞特性を備えていました。

「この新しい種類の生体材料は、組織工学や再生医療に加え、創薬や治療法の開発にも活用できる可能性があります」と、責任著者であるノースウェスタン大学のラム・シャー氏は述べます。同氏は外科学と材料科学・工学の助教授です。「用途の幅が広く、外科手術にも使いやすい素材です。」

創傷治癒において、このティッシュペーパーは足場となり、細胞シグナル伝達を促すことで組織の再生を助け、瘢痕を防ぎ、治癒を早める可能性があるとシャー氏は述べます。

ティッシュペーパーは天然の臓器や組織から作られます。細胞を取り除いて天然の構造タンパク質を残し、それを乾燥させて粉末にした後、加工してティッシュペーパーにします。この構造タンパク質は細胞外マトリックスとして知られています。各種のペーパーには、元の臓器に由来する生化学物質の残留物とタンパク質構造が含まれており、細胞を特定のふるまいへと促すことができます。

生殖科学者テレサ・ウッドラフ氏の研究室では、ウシの卵巣から作ったティッシュペーパーを用い、卵胞を試験管内で培養しました。ペーパー上で育った卵胞(卵子とホルモン産生細胞)は、正常な機能と成熟に必要なホルモンを産生しました。

「これは、化学療法や放射線治療の結果、ホルモン機能を失うことの多い若年のがん患者に、正常なホルモン機能を取り戻すための新たな選択肢となる可能性があります」と、研究の共著者であるウッドラフ氏は述べます。この研究はAdvanced Functional Materials誌に掲載されました。

卵胞を含む卵巣由来ペーパーを細長く切り、腕の下に移植すれば、がん患者や更年期の女性のホルモン産生を回復できる可能性があります。

さらに、さまざまな臓器から作ったティッシュペーパーは、それぞれ成人ヒト幹細胞の増殖を支えました。研究者らがヒト骨髄幹細胞をペーパー上に置くと、すべての幹細胞が付着し、4週間にわたって増殖しました。

「その時、ほかの臓器からも生体活性材料を大量に作れると確信しました。」

「このペーパーがヒト幹細胞の増殖を支えるのは、よい兆候です」と、ティッシュペーパーを開発した筆頭著者のアダム・ジェイカス氏は述べます。「動物モデルで使い始めたときに、生体適合性があることを示す指標になります。」

乾燥したティッシュペーパーは、一般的な事務用紙によく似た手触りで、同じように扱えるとジェイカス氏は言います。冷蔵庫や冷凍庫に重ねて保管するだけです。折り紙の鳥に折ることもできます。
「濡れていても、ティッシュペーパーは機械的特性を保ち、丸めたり、折ったり、切ったり、組織に縫い付けたりできます」と同氏は述べます。

3Dプリント用インクを偶然こぼしたことが、ティッシュペーパーの発明につながりました。ジェイカス氏は、骨、筋肉、神経組織の修復・再生用に以前開発したほかの3Dプリント可能な材料と同様の、卵巣用の3Dプリントインクを作ろうとしていました。こぼれたインクを拭き取ろうとしたときには、すでに乾いたシート状になっていました。

「拾い上げようとしたとき、丈夫だと感じました」と同氏は言います。「その時、ほかの臓器からも生体活性材料を大量に作れると確信しました。頭の中でひらめいたのです。ほかの臓器でもできる、と。」

「腎臓、肝臓、心臓、子宮などの肉や動物の副産物を、組織や臓器を再生し、その機能を回復させる可能性のある紙状の生体材料に変えられるとは、本当に驚くべきことです。これからはステーキや豚ヒレ肉を見る目が変わるでしょう。」

ジェイカス氏はこの研究において、シャー氏の研究室でハートウェル博士研究員を務めました。現在は、シャー氏も共同創業したスタートアップ企業、ディメンション・インクス社(Dimension Inx, LLC)の最高技術責任者兼共同創業者です。同社は主に医療用途向けの3Dプリント可能な材料を開発、製造、販売する予定です。知的財産権はノースウェスタン大学が所有し、ディメンション・インクス社にライセンス供与されます。

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