この古代技術が、再生可能エネルギーの最大の課題の一つを解決するかもしれない

Wind turbines used to generate electricity are seen in El Palo summit near Pola de Allande, northern Spain, August 9, 2017. REUTERS/Paul Hanna - RC14F49C4240
Heat retained in firebricks could be converted into electricity.Image: REUTERS/Paul Hanna
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高熱に耐えるよう設計された耐火れんがは、ヒッタイトの時代から少なくとも3千年にわたり、技術の道具立ての一部となってきた。MITの研究者たちが今回提案したのは、この古代の発明が、世界が化石燃料から脱却し、代わりに炭素を排出しないエネルギー源に頼るうえで、重要な役割を果たし得るというものだ。

研究者たちの着想は、需要が低いときに生み出される余剰電力を活用することだ。たとえば、夜間に強風が吹くときの風力発電所の電力を、電気を熱に変換する電気抵抗式ヒーターで利用する。これらの装置で余剰電力を使って大量の耐火れんがを加熱する。断熱性のある覆いで囲えば、れんがは熱を長時間保つことができる。その熱は後に、工業プロセスで直接利用したり、発電機に供給して、電力が必要なときに電気へ戻したりできる。

この技術自体は古いが、その有用性が注目されるようになったのは、変動する再生可能エネルギー源が急速に拡大し、電力価格の決まり方に特有の事情があるためだ。技術的には「1920年代に開発できたかもしれないが、当時は市場がなかった」と、MIT原子力科学・工学部門の研究員で、この構想を説明する論文の筆頭著者であるチャールズ・フォースバーグは話す。論文は今週、Electricity Journal誌に掲載される。

フォースバーグによると、米国や大半の工業地域では、工業用熱の需要は実際、電力の総需要を上回る。大きく、しばしば予測不能に変動する電力需要と異なり、工業用熱の需要は安定しており、熱源が利用可能になればいつでも追加の熱を使える。そのため、耐火れんがを基盤とするこのシステムが供給する熱には、ほぼ無限の市場が見込める。

Image: MIT

フォースバーグがFIRES(FIrebrick Resistance-heated Energy Storage、耐火れんが抵抗加熱式エネルギー貯蔵)と呼ぶこのシステムは、実質的に電力市場の最低価格を引き上げる。現在は、晴天日の真昼に太陽光発電所の出力がピークに達する場合のように、発電量が多いと電力価格がほぼゼロまで急落することがある。

電力価格は前日に決められ、1日の各1時間枠に個別の価格が設定される。これは、発電事業者と電力の配電事業者の間で行われる入札によって決まる。配電事業者は各時間帯に必要と見込む電力量を定め、供給事業者はその電力の発電にかかると予想される費用に基づいて入札する。時点ごとの需要に応じて、たとえばベースロード電源として天然ガス発電所だけが必要なら価格は低くなり、需要を満たすために、はるかに高価なピーク発電所を使う必要があれば、価格は大幅に高くなる。各入札の終了時に、配電事業者は予測需要を満たすために必要な入札を選び、その時間帯に受け入れた入札のうち最も高い価格が、すべての供給事業者に支払われる価格となる。

しかし、発電コストが非常に低い電源、つまり太陽光、風力、原子力の電力(実際の運転コストはごくわずか)が需要を満たせる場合、この仕組みは奇妙な結果を招くことがある。その場合、供給事業者が受け取る電力価格はほぼゼロとなり、発電所の採算が取れなくなる。

しかし、余剰電力の多くを大量の耐火れんがの加熱に使って熱として貯蔵し、その熱を直接販売するか、タービンを動かして必要なときに発電するために使えば、FIRESは電力市場価格の下限を実質的に設定できる。その価格はおそらく天然ガスの価格に近い。ひいては、太陽光、風力、原子力など、炭素を排出しない電源の収益性を高め、普及を促すことにつながる。

非化石エネルギーの拡大による電力価格の下落はすでに起きており、再生可能エネルギー設備の増加とともに、さらに進むだろう。「アイオワ州、カリフォルニア州、ドイツなどの電力市場では、風力や太陽光の発電量が多いと、電力価格がほぼゼロまで下がる」とフォースバーグは言う。太陽光発電が総発電設備容量の約15%、あるいは風力発電がその30%に達すると、余剰電力を後で使うために吸収できる十分な貯蔵容量がなければ、こうした設備の建設は採算が取れなくなる可能性がある。

現在、余剰電力の貯蔵手段は、基本的に蓄電池か揚水発電に限られている。これに対し、技術的に簡素な耐火れんが蓄熱システムの費用は、いずれの選択肢と比べても10分の1から40分の1程度で済むとフォースバーグは言う。

耐火れんがは、通常のれんがの一種で、摂氏1,600度以上にも達するはるかに高い温度に耐えられる粘土から作られる。粘土は結局のところ特定の種類の土にすぎず、製造費はほとんどただ同然だ。こうした高温用れんがは、約3,500年前にさかのぼる遺跡から見つかっている。たとえば、現在のトルコにあたる地域でヒッタイト人が築いた製鉄用の窯などだ。これらのれんがが現在まで残っていることは、その耐久性を物語っている。

現在では、粘土の化学組成を変えることで、さまざまな特性を持つ耐火れんがを作ることができる。たとえば、構造体の中心部に置くれんがは熱伝導率を高くし、抵抗ヒーターから熱を容易に取り込めるようにできる。これらのれんがは、構造体の中に送り込まれる冷気に熱を渡し、その熱を工業用途へ運ぶことも容易だ。一方、構造体の外側に使うれんがは熱伝導率を非常に低くし、中心部のれんがの山が熱を保てるよう、断熱層を形成できる。

現在、FIRESの制約となっているのは抵抗ヒーターだ。既存の安価で信頼性の高いヒーターが対応できる温度は、約850℃までにとどまる。最終的には、れんが自体を導電性にして、それ自体が安価な抵抗ヒーターとして働き、熱を生み出すと同時に貯蔵できるようになる可能性があると、フォースバーグは示唆する。耐火れんがの有望な材料は炭化ケイ素で、サンドペーパーなどの用途向けにすでに大規模生産されている。フォースバーグによると、中国では現在、年間約100万トンが生産されている。

その熱を電力に戻すことは、より大きな技術的課題であり、FIRESシステムの次世代型で実現することになるだろうと彼は言う。天然ガス発電所で使われる従来型タービンで発電するには、はるかに高い温度が必要だからだ。工業プロセス用の熱は約800℃で利用できる一方、タービンには少なくとも1,600℃に加熱した圧縮空気が必要だという。通常の抵抗ヒーターではそこまで温度を上げられず、こうしたシステムには必要な空気圧に耐える圧力容器も必要となる。しかし、その利点は大きい。運転温度を2倍にすれば、生成する熱のコストを半分にできるとフォースバーグは言う。

次の段階は、実環境で原理を実証するため、実物大の試作装置をいくつか設置することだとフォースバーグは言う。彼は、それが2020年までに実現すると見込んでいる。「最初の装置を導入する適切な顧客を探しています」と彼は話す。顧客は、大量の熱を使うエタノール精製所のような企業で、大規模な風力発電設備の近くに立地する可能性が高い。

「FIRESは、電力網が抱える現実の問題を解決する革新的なアプローチだと思います」と、今回の研究には関与していない、ウェスチングハウス・エレクトリックの元最高技術責任者で、現在は退職しているレジス・マッツィーは言う。この国の電力価格の決まり方は、「電力網の電力のかなりの割合を再生可能エネルギーが供給すると、市場価格が低くなり、時にはマイナスになるという、ゆがんだ電力市場」を生み出すと彼は述べる。「この傾向を是正する非常に有効な方法は、電力市場価格が低いとき、たとえば再生可能エネルギーが大量の電力を発電しているときに生じたエネルギーを、経済的な方法で貯蔵し、市場価格が高いときに放出することです。FIRESはこれを実現する経済的な方法となる可能性がありますが、運用可能性と経済性を確認する実証が必要でしょう。」

研究チームには、MITの大学院生ダニエル・スタック、ダニエル・カーティス、ジェフリー・ハラティクと、修士課程を2014年に修了したネストル・セプルベダが参加していた。

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