小規模農家の暮らしを変える5つのイノベーション

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人工知能から精密農業、モノのインターネットまで、新興技術は食料の消費、取扱い、生産のあり方を一変させる可能性を秘めています。しかし、小規模農家の暮らしを大きく変える可能性がある技術とは何でしょうか。そもそも小規模農家は、開発途上地域の一部で消費される食料の最大80%を生産している一方、世界の栄養不足人口の大半を占めています。。

私は南部アフリカ農業組合連合(SACAU)のCEOとして、限られた資産で2ヘクタール未満の土地から食料を生産する小規模農家、とりわけその声を届けることに努めています。ここアフリカでは、農家の80%以上が小規模農家であり、大陸の食料の70%を生産しています。

これら5つの技術は、小規模農家を新たな資源、情報、知識、市場につなげる可能性を秘めています。多くのイノベーションはすでに実用化されており、明るい兆しが見えます。課題は、導入に伴う避けられない困難に対処しながら、誰もが恩恵を受けられる形で普及を拡大することです。

1. 電力へのアクセス向上で効率を高め、食料ロスを減らす

電力は決して新しいイノベーションではありませんが、依然として利用できない人々が大勢います。例えば、サハラ以南アフリカでは人口のほぼ3分の2が電力を利用できません。エネルギーインフラが整っている地域でも、費用が障壁になることは少なくありません。

手頃で信頼性が高く、持続可能なエネルギーを利用できれば、小規模農家は土地の準備、植え付け、灌漑、収穫の効率を高められます。また、農産物の保管、冷却、保存に特定の方法を使うこともできます。小規模農家が世界の食料システムに参加できるかどうかは、電力へのアクセスにかかっています。

2. インターネット接続の拡大で情報や知識を得て、農場の生産性を高める

多くの人にとって、インターネットは日常生活に欠かせないものです。しかし、世界人口の55%を超える40億人以上が、依然としてインターネットに接続できていません。

小規模農家の大多数は遠隔地に暮らしており、良質で高速なインターネット接続が届くのは人口の30%未満です。開発途上国では農業労働力のほぼ半数を女性が占めていますが、同じ地域の男性と比べ、インターネットを利用する可能性は低くなっています。

この「デジタル格差」が解消されれば、小規模農家は天候、降雨、市場の需要に関する情報や知識を得て、より効率的に作物を育て、収穫できるようになります。タイミングは競争力を左右する重要な要素となっており、リアルタイム情報へのアクセスが欠かせません。インターネット接続が真の変革をもたらすには、信頼性が高く、手頃で、安全でなければなりません。

3. モバイル端末とプラットフォームで小規模農家を市場につなぐ

接続性は情報へのアクセスだけでなく、サービスへのアクセスにも関わります。例えば、モバイルバンキングを利用すれば、小規模農家が往々にして利用できない銀行口座や融資などの正式な金融サービスを利用できるようになります。Trringoを例に挙げましょう。このスマートフォンアプリは、インドの農機具レンタルの仕組みを一変させたことから、「トラクター版Uber」と呼ばれています。

もう一つの例は、私が所属するSACAUで試験導入に成功した、「バーチャル協同組合」に似たデジタル集約プラットフォームです。農家はこのモバイルプラットフォームで共同出荷などの集約を行い、その取扱量を生かして供給業者とより有利な価格を交渉できます。農家が設計し、農家のためにつくられたこのプラットフォームには、ほかにもさまざまな機能があります。現在は、供給業者と農家の間でサービスや製品が行き交うデジタルの基盤へと発展しています。

共に活動する小規模農家の声から、これが彼らにとってどれほど重要かを知っています。携帯電話を農業の道具として購入することは、小規模農家にとっておそらく最も戦略的な決断となっており、こうした賢明な投資を後押しするために、できる限りのことをする必要があります。

4. 固有識別子で、農家のための農家データを充実させる

固有識別子は先進国で広く使われています。AmazonやNetflixにログインすると、サイトは利用者を識別し、過去の購入や閲覧内容に基づいて個別のおすすめを提示します。一方、開発途上国の小規模農家に関するデータは、主にサンプル調査や推計に基づいているため、信頼性に欠けたり、不完全だったりします。

固有識別子があれば、企業は個々に合わせたサービスを提供でき、政策立案者はより多くの情報に基づいて判断でき、知識機関は農家の状況をより適切に評価できます。

例えば、ナイジェリアのeWalletシステムにより政府は、小規模農家から提供された個人情報や生体情報に基づいて農家を特定し、農業投入財への補助金を直接届けられるようになりました。あらゆるイノベーションと同様、この技術も万能ではありません。固有識別子が農家の暮らしを改善するには、個人のプライバシーと安全を守るため、データが匿名のままであることをデータシステムが保証できなければなりません。

5. 地理空間分析で農家の情報に基づく意思決定を支援する

地理空間技術は、政策立案者と個々の農家の双方が天然資源の利用状況を評価、監視し、計画するのに役立ちます。小規模農家が電力、インターネット、携帯電話などの基盤技術を利用できれば、地理空間分析を活用し、農場やその他の資産の管理について判断できるようになります。この分野では、FAOとGoogleが連携し、地理空間の追跡・地図作成製品をより利用しやすくする取り組みを進めています。

地理空間技術を簡単にダウンロードして使えるようになれば、コロンビアの小規模農家は最寄りの川までの距離を調べたり、マラウイの農家はセンサーを使って農場をより効率的に管理したりできます。

ここで取り上げた技術の中には決して新しくないものもあり、小規模農家の暮らしを変えるイノベーションの一覧に含まれていることを不思議に思うかもしれません。しかし、こうした農家にとって、技術へのアクセスや導入は自動的に実現するものではありません。

だからこそ、小規模農家を第4次産業革命から取り残さないことが私たちの責務です。小規模農家が農場や事業について自ら判断する力を与えるツールを利用し、開発するには、強固なデジタルインフラが欠かせません。イノベーションが進化するなか、技術の恩恵がどのように分配されているのか、そして世界を養う小規模農家をその恩恵がどのように支えられるのか、問い続けましょう。

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