自動運転車の最も革新的な点は、あなたが思うこととは違う

Sensors are seen mounted to a self-driving Audi during a self-racing cars event in Willows, California, U.S., April 1, 2017. REUTERS/Stephen Lam - RTX33OQG
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自動運転車をめぐる熱狂は最高潮に達しており、多くの人々は運転手のいない車の目先の革新性や目新しさに注目している。

大手メディアの見出しも、この熱狂をあおっている。「無人運転車がカリフォルニアで新たなゴールドラッシュを巻き起こす」。

自動運転用のセンサーやソフトウェアを手がけるMobileyeをインテルが最近150億ドルで買収したことも、その可能性を裏付けている。

この買収が示すように、そして多くの人がまだ理解していないように、真の変革をもたらすのは車ではなく、その基盤となるデジタル技術だ。

ゴールドラッシュのたとえに沿えば、実際に働いているのは、つるはしとシャベルを手にする人々だ。

レーザーを使ったライダー(光検出・測距)技術を考えてみよう。ライダーセンサーは光のパルスを発射し、その反射光を測定して物体間の距離を割り出し、車の周囲を精密な3Dマップにする。

テラバイト単位のデータ

こうしたセンサーやGPSなどの必要なシステムから、自動運転車1台は走行8時間ごとに約4テラバイトのデータを生成し、消費すると推定されている。

4テラバイトは、120万枚を超える写真を保存できるデータ量だ。言い換えれば、膨大なデータ量である。

しかも、その4テラバイトの多くは、非常にすばやく処理する必要がある。

時速65マイルでは、お気に入りのアプリなら許容できるかもしれない1秒の遅延が、車が物体を検知して間に合うように反応できるか、あるいは死亡事故に遭うかの分かれ目になりうる。

ほぼリアルタイムで応答するには、各車のすぐ近くで利用できる膨大な計算能力が必要だ。

車載CPU

さまざまな意味で、車は車輪の付いた大型コンピューターになりつつある。

どれほどの規模だろうか。

自動運転機能がなくても、現在の一般的な車には25~50個の中央処理装置(CPU)が搭載される場合がある。死角や歩行者との衝突に関する警告、自動ブレーキ、スマートクルーズコントロールによる安全な車間距離の維持など、さまざまな機能を制御している。

こうしたCPUの多くはネットワークにつながり、車載ネットワークを介して互いに通信している。

つまり、自動運転車はそれぞれが強力なデータセンターになりつつある。

IHS Automotiveの報告書によると、世界の道路を走る自動運転車の台数は、2035年までに2,100万台に増えると予測されている。

2,100万台の車両が生成し、管理するデータ量は膨大だ。

各車とクラウドの間でデータを送受信する5Gなどのネットワーク技術が進歩しても、少なくとも現在の技術や近い将来に実用化される技術で、この量の情報をすばやく分析する方法を想像するのは難しい。

エッジへの移行

飛行機や船などのほか、風力タービンやスマートハウスのようにますます賢くなる無数のモノも考慮すれば、処理が必要となる膨大な情報量の一端が見えてくる。

こうした大量のデータに対応するため、今日、多くの企業がコンピューティングをクラウドに移している。しかし皮肉なことに、未来はますますエッジへと移っていく。

エッジコンピューティングの目的は、広域ネットワークを介した送信で生じる遅延を避け、データにすばやく対応することだ。

自動運転車では、接近する車両への対応など、車内で処理すべきデータは発生源で処理される。

遅延がそれほど問題にならないその他のデータ、たとえば特定地点の道路や気象状況、あるいはWazeの交通情報アプリのようなクラウドソーシングデータは、クラウドに送ることができる。

自動運転車とその他のエッジ要素の間でコンピューティングと通信を調整する必要が高まり、ハイブリッドクラウドやプライベートクラウド、さらにそれらの間の調整が求められる。そのためには、大幅な自動化が必要だ。

オープンソースの可能性

幸い、少数の企業はこうした事態に備えてきた。

たとえばGoogleは、日々の業務にほぼ100万台のサーバーを使っている。この膨大な複雑さを管理するため、同社は「Borg」と呼ばれる独自のソフトウェアを開発した。

Borgは、別のコンピューティング管理システムであるオープンソースのMesosプラットフォームの着想源となった。Mesosは現在、Twitter、Verizon、Bloombergをはじめとする多くの大手企業に利用されている。

いずれも大企業だが、さらに重要なのは、オープンソースソフトウェアであるため、かつては最も革新的なソフトウェア企業だけの領域だったものが、今では誰もが容易に利用でき、あらゆる規模の企業が世界を変える次のイノベーションを生み出せることだ。

こうした次世代プラットフォームは、巨大で分散したデータセンターやクラウドを管理でき、エッジの機器もその対象に加えられる。

動的な処理能力

さらに、こうしたシステムは必要に応じて処理能力を動的に割り当てることで、管理下にあるすべてのコンピューターの効率を高め、利用率を向上させる。

かつてはハードウェアの能力がソフトウェアを上回っていたが、その関係は変化した。

BorgやMesosのような分散コンピューティングプラットフォームによって、そうでなければ実現できないほど大きな処理能力と多様なアプリケーションが可能になる。

スマートフォン、PC、サーバー、そして近い将来には自動運転車においても、利用可能な計算資源を最大限に活用すれば、生産性が向上するだけでなく、新たな可能性が開かれる。

たとえば、地球外知的生命体探査(SETI)の取り組みのように、計算資源を社会全体の利益のために活用できる。

カリフォルニア大学バークレー校を拠点とするSETIは、インターネットに接続したコンピューターを利用している。その中には多くの家庭用PCも含まれ、電波望遠鏡のデータ分析を支援している。

あらゆる場所にクラウド

高度なコンピューティング管理プラットフォームを使って、どのようなアプリケーションを設計できるか想像してみよう。

あらゆる場所にクラウドがある世界も想像してみよう。私たちが使う機器はネットワークでつながるだけでなく、膨大なデータや瞬時の判断に伴う負荷を分担する。ソフトウェアは世界のどこにインフラがあっても、その全体を通じてシームレスに管理され、こうした技術はどの企業もオープンソースとして利用できる。

これは実に胸躍るイノベーションの波だ。

自動運転車の登場は、ハードウェアとソフトウェアの両面で、コンピューティングシステムや通信システムの設計に多くの変化をもたらす。

データ管理の進歩とエッジコンピューティングの組み合わせによって、無人運転車、スマートシティやスマートホーム、その他のコネクテッド技術が実現する。

こうした情報技術の基盤要素は、次の分野における飛躍的進歩の土台を築き、第4次産業革命を可能にする。人工知能、ロボティクス、モノのインターネット、自動運転車、3Dプリンティング、ナノテクノロジーなどの新興技術である。

2017年のテクノロジー・パイオニアについて詳しくは、ウェブサイトをご覧ください。

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