なぜ政府は第4次産業革命に対応する必要があるのか

An automated drone flies over rice plants in Japan, spraying pesticide and assessing growth
An automated drone flies over rice plants in Japan, spraying pesticide and assessing growth.Image: REUTERS/Yuka Obayashi
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世界では、不穏な気象パターン、外国人排斥的な保護主義、大規模な移民、破綻国家、科学否定、サイバーテロ、制度への信頼の喪失、そして他の多くの要因によって特徴づけられる、不安を覚える変化の時期を私たちが駆け抜ける中、足元の地面が揺らいでいるように見えます。

さらに、世界のエネルギー市場は流動的です。サプライチェーンは途方もなく複雑です。そして、ほとんどの工業国では社会の高齢化が進んでおり、多くの人々の退職後の長期化した生活を誰が負担するのかという難しい問題が浮上しています。

同時に、データストレージ、処理能力、アルゴリズムによる分析の飛躍的な向上により、豊かな可能性を秘めたテクノロジーの力が加速しています。新しいシステム、アプリケーション、ビジネスモデルが月ごとに登場し、市場に一気に広がっています。そして医療や交通などの分野で急進的な新しい解決策を提供する一方で、長年確立されてきた企業を揺るがし、無数の人々を失業に追い込んでいます。

第4次産業革命と呼ばれるこの緊迫した時代において、政府、市民社会、民間セクターは、カナダのような国々がこの新たな世界とその目まぐしい課題に備えられるようにする責任を負っています。これほどの流動性の中で、一つだけ確かなことがあります。それは、私たちはこの競争の波に乗るか、それに飲み込まれるかのどちらかしかないということです。なぜなら、変化は起こるからです。

世界経済フォーラムの創設者兼会長であるクラウス・シュワブ教授によれば、最初の3つの産業革命が第4次の舞台を整えました。すなわち、19世紀初頭の鉄道、機械化、蒸気の時代、19世紀後半から20世紀初頭にかけての電力と大量生産の革命、そして1960年代以降の半導体、コンピューター、ネットワークの出現です。この段階を特徴づけるコンピューティング技術の指数関数的な加速は、政府の構造を含め、長年確立された産業、職業、制度に大規模な変化をもたらしています。

これらの変化を推し進めるテクノロジー(ビッグデータ、機械学習、ブロックチェーン、モノのインターネット、先端材料、量子コンピューティング、3Dプリンティング)は、複雑で難解であり、きわめて破壊的です。こうした革新によって作り変えられつつある分野で活動する私たちにとって、そのスピードは、急流の真ん中で滑りやすい石の上に立ち、渡る方法を探しているような感覚になりかねません。

変化は、定型的な工場現場の作業から、医師、弁護士、会計士などの専門職が担う業務に至るまで、あらゆる場所で起こるでしょう。大企業は、わずかな資本と乏しい物的資産しか持たないものの、高い技術力を備えた機敏なスタートアップ企業によって、今後も倒され続けるでしょう。

歴史的に見ると、テクノロジーによって引き起こされるこのような激動の時期は、生産性の向上、投資、成長、生活の質の改善、そして寿命と健康の増進をもたらしてきました。第4次産業革命も、その前の3つの革命と同様に、こうした長期的な恩恵をもたらさないと考える理由はありません。特に、今なお数十億人が電気を利用できない世界においてはなおさらです。

しかし、これらのテクノロジーの中には、特に定型業務を自動化するものがあり、失業を引き起こす可能性があります。実際、その未来はすぐそこまで来ています。マッキンゼー・アンド・カンパニーの最近の調査によれば、労働者が仕事に費やす時間のほぼ半分は、既存のテクノロジーですでに置き換え可能であるとされています。

私たちが今まさに迎えつつある移行期は、極めて流動的であり、率直に言って、不安を覚えるものです。誰もが次の給料、安心して眠れる場所、食料を買うための資金を必要としています。第4次産業革命のテクノロジーが慢性的な失業をもたらすなら、政治的・社会的不安が続くのでしょうか。失業者や不完全雇用のアメリカの現場労働者が社会から疎外されている状況を見れば、なぜ私たちが国家主義、外国人排斥、保護主義の高まる時代に生きているのかを理解するのに十分です。

こうした憂慮すべき雇用喪失のシナリオは、是正のための政策を求める警告や呼びかけも引き起こしています。テスラの創設者であるイーロン・マスク氏は、政府と市民社会の関係者が機械学習システムを倫理的に導入することを望んでいます。マイクロソフトの創設者であるビル・ゲイツ氏は、大規模な労働者の代替を補うため、政府がロボットに課税することを望んでいます。

カナダは、第4次産業革命がもたらす嵐を乗り越える上でより適した立場にあるかもしれません。カナダの天然資源に対する需要と、農業や大規模製造業における卓越性が、経済を強調に保ってきました。同国の金融機関は安定しています。債務対GDP比率は国際基準で見て低水準です。国民は依然として移民を受け入れ、不平等を減らす必要性と、富を築く手段としての貿易の両方を信じています。米国や英国とは異なり、カナダの政治と公共機関は攻撃にさらされていません。

しかし、別の面では、カナダは脆弱かもしれません。生産性が頑なに低く、イノベーションでも他の工業国に後れを取っています。現在、カナダの新興企業のグループが世界水準のテクノロジーを開発していますが、国際的に事業を拡大するために必要な人材と資本の確保に苦戦しています。第4次産業革命を生き抜くためには、カナダは適切な種類の人材をより多く育成し、保持し、誘致する必要があります。また、カナダ企業が、長年天然資源に対して行ってきたのと同じように、テクノロジーへの投資を行うよう奨励し、これらの企業が世界で競争力のある事業へと拡大するのを支援する必要があります。国が世界に通用する競争力のある国内の有力企業を生み出し、維持できるかどうかが、迫りくる変化を乗り越える能力の中心となるでしょう。

一方で、政府は、企業がこうしたイノベーションを顧客に届けられるよう環境を整える必要があります。同時に、自らの限界と、この新たな世界のダイナミズムとの間にある大きな隔たりを認めることで、変化から得られる教訓を内面化しなければなりません。

変化を意識する政策立案者は、イノベーション志向の企業からアイデアやテクノロジーを取り入れ、政府サービスを民間セクターが提供するサービスと同じくらい柔軟で、迅速かつ競争力のあるものにすべきです。また、変化による混乱に巻き込まれた人々を支えるためのセーフティネットについても、新たな発想を生み出す必要があります。

これまでのところ、カナダ政府はイノベーションのレトリックを受け入れ、その目的のために税金を投資しています。しかし、政策立案者が運営の仕方を変え、市民によりよいサービスを提供できるようにするには、さらなる取り組みが必要です。

その変革は、信頼の確立から始まります。現在、多くの工業国が公的な信頼の低下を経験しています。反政府的なポピュリズムは、世界中で沸き上がる激動の力に根ざしています。このような状況において、政府は、変化が主導する世界でイノベーターが競争できるような政策を提案する前に、自らの信頼性を再構築しなければなりません。

規制当局が妨げるのではなく後押しする方法を模索する一方で、公共機関は調達予算を活用してイノベーション・エコシステムを強化すべきです。政府は、住民がデジタル主導の経済を反映した形で公共サービスと関われるよう、業務を近代化すべきです。私たちは、市場で消費者が得られるものと、政府に対して消費者が期待するものとの間の隔たりを埋めるため、革新的な知見を総動員することが切実に求められています。

イノベーターと投資家が、この世界的な激変の中心に立つことは極めて重要です。同様に、政府がこれらの主体が競争し富を創出できる条件を整えることも同じくらい重要です。そうすれば、全員が恩恵を受けるでしょう。その恩恵は、生産性と成長の向上という形だけでなく、グローバル志向のテクノロジー企業の育成を通じても得られます。こうした企業は、変化の中で自らの道を探し続ける社会を支えるため、新たな雇用、サービス、富の源泉を生み出すよう解き放たれるのです。

本稿は、2018年10月に刊行予定の『Government Digital: The Quest to Regain Public Trust』に収録されたIain Klugman氏の章を翻案したものです。Government Digital: The Quest to Regain Public Trust(2018年10月刊行予定)。

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