クラウス・シュワブ:グローバリゼーションに新たな物語が必要だ

General view as anti G20 demonstrators hold up signs near a sphere decorated as the planet with the message, "Hello, the G20?" as they take part in a protest march against globalisation in Nice, southeastern France, November 1, 2011. G20 leaders will gather in Cannes for the final Summit of France's presidency November 3-4. REUTERS/Eric Gaillard (FRANCE - Tags: POLITICS BUSINESS) - RTR2THI1
The backlash against globalization is risingImage: REUTERS/Eric Gaillard
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世界はいま、歴史的な岐路に立っている。過去30年間、国内外の政策を形づくってきた、市場原理主義(しばしば新自由主義と呼ばれる)は、停滞する世界経済成長のエンジンにとって有害な燃料となった。また、社会の大部分がもはや容認できない汚染を伴う副作用も生み出している。

それでも、市場主導型のグローバリゼーションは10億人を超える人々を貧困から救い出し、全体として生活水準の向上を後押ししてきた。しかし、現在の形では、いまの、そしてとりわけ未来の状況において、その目的に適合しなくなっている。

その理由は何だろうか。

第一に、世界経済システムは、不安定な状況に置かれていると感じる社会の重要な層のニーズや願いを満たすことから、システム自体の最適化へと焦点を移してきた。その結果、人々は生計を自らの手に取り戻し、物質的な満足以上のものを求めている。人々が人生に意味と目的を探しているのは、経済やビジネスだけで定義されるのではなく、社会的・文化的なつながりも含む人生である。グローバル化した世界で精神的な孤立を感じ、非人格的な規則よりも共有する価値観を再び重視する社会経済的な環境を切望する人は多い。

さらに、純粋に市場主導型の世界経済の正当性は、次のようなシステム上の課題が増えるにつれて損なわれてきた。

  • 一極集中型から多極型の世界への移行、そしてその結果として、「西洋」の考え方に異議を唱える、社会のあり方をめぐる概念が競合する世界への移行。

  • 市場支配力、腐敗行為、投機的な金融慣行が、市場の公正さと真の長期的価値創造の過程をゆがめていること。

  • 生産工程の変革において、手作業、そして間もなく知的労働よりも、自動化、資本、イノベーションが重視されていること。

  • 天然資源の過剰な利用と劣化によって、環境の保全と再生が深刻な脅威にさらされていること。

顧みられなかった警告

1980年代以来、私は新自由主義的なグローバリゼーションの欠陥について繰り返し注意を促してきた。たとえば、20年以上前、ある社説をインターナショナル・ヘラルド・トリビューン(現在のニューヨーク・タイムズ)に寄稿し、次のように書いた。

「経済のグローバリゼーションは重大な局面に入った。その影響への反発が高まっており、とりわけ先進工業民主主義諸国では、多くの国の経済活動と社会の安定に極めて大きな混乱をもたらす恐れがある……これは容易に反乱へと発展しかねない……」

世界経済フォーラムはダボスや世界各地のプログラムで社会的責任の重要性を強調していたにもかかわらず、こうした警告は十分に真剣に受け止められなかった。

今日、私たちはそのシステムと、一方的な受益者と見なされているエリート層への反発に直面している。この反発の危険性は、イノベーションと競争力の追求が、経済発展、ひいては社会の進歩を今なお牽引する主要な原動力であるという事実を見落としていることだ。問題は市場に基づくシステムそのものではなく、その運用の仕方にある。公正で豊かで健全な社会に欠かせない社会契約を、そのシステムの中で維持するための、適切で信頼できる原則が欠けているのだ。

さらに、国境や世界の相互接続性を妨げる障壁を復活させようとする傾向は、世界が責任を共有する共同体になったという事実を見落としている。世界的な協力を取り消せば、関係者すべてに大きな損害をもたらす。汚染、移住、宇宙探査、テロ、犯罪など、ほんの一例を挙げるだけでも、私たちは課題に立ち向かう際に互いを必要としている。

一部のエリート層がシステムの逸脱を生み出した一方で、権力の過度な乱用に対する人々の抗議を引き起こしたのも、別のエリート層だったのは事実である。しかし、活力を保とうとする社会には、政治と経済の成功にも失敗にも責任を負う人々が必要だ。アイデンティティという概念そのものが揺さぶられる急速に変化する世界では、イデオロギー上の選択はもはや左か右かではなく、開かれているか閉ざされているかであり、その結果の一つとして、人々は「コスモポリタン」なエリート層にますます反発している。

したがって、いま激化しているイデオロギー闘争は、「古い」システムを、非常に複雑な課題に単純な答えを提示する現在の勢力から守るためのものであってはならない。むしろ、この行き詰まりを早急に打開し、社会の大部分の不満や怒りに応えるだけでなく、前進しなければならない。そうしなければ、社会の分極化がさらに進み、社会的結束の根幹となる規範が崩壊するだけだ。

未来の課題:第四次産業革命

「既製品」のように手軽に取り入れられる新たな代替イデオロギーは存在しない。むしろ私たちが優先すべきなのは、世界の相互接続性と第四次産業革命の影響拡大によって人類がより洗練され、個人がより解放されつつあることを踏まえ、経済・社会システムを再設計することだ。

第四次産業革命は、生産、消費、コミュニケーション、そして暮らしのあり方を根本から変える。市民と国家の関係を再定義する。個人と社会の暮らしを向上させる大きな機会をもたらす。正しく進めれば、より人間を中心に据えたアプローチが可能となり、物質的な満足だけでなく、すべての人の個人的・社会的な真の幸福を促進できる。

現在の経済・政治論議の焦点は、的を完全に外しているように思われる。人工知能や遺伝子編集といった技術的突破を、人類に奉仕し、その利益となるよう形づくる歴史的な機会が、いま私たちの前に開かれている。選択肢は二つある。第四次産業革命の機会を最大限に活用して人類を新たな高みへと押し上げるか、技術の力に支配され、市民が自律性を失ったディストピアの世界に行き着くことを許すかだ。

第四次産業革命を巧みに導くことは、世界的な課題である。グローバリズムとナショナリズムの緊張は、人為的なものだ。責任とアイデンティティが重なり合う、地域・国家・世界の市民であるという事実を踏まえて、私たちは未来を切り開かなければならない。持続可能な未来を築く最善の方法は、私が40年以上前に提唱し、フォーラムの理念の基盤となっているマルチステークホルダーの考え方を通じて進めることだ。

マルチステークホルダーの考え方を成功させる基本原則は、対話に基づく長期的な解決策を見いだし、すべてのステークホルダーが共有する長期的利益にとって最善の結果を達成しようとする決意と意欲をもって、それを支持することだ。官民協力のための国際機関として、世界経済フォーラムは触媒かつ招集者として、この目的に貢献することを約束している。

より良い未来への希望は、テクノロジー主導の世界的な変革プロセスにおいて、ステークホルダーとして共に行動し、より近代的で包摂的、人間中心の世界を築くことにある。

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