かつてないほど難しくなった大きなアイデアの創出。その理由とは

Apple CEO Steve Jobs stands in front of an image of the new iPhone 4 during the Apple Worldwide Developers Conference in San Francisco, California, June 7, 2010. REUTERS/Robert Galraith (UNITED STATES - Tags: SCI TECH BUSINESS) - GM1E66805S701
While research efforts are rising substantially, research productivity is declining sharply, according to new research.Image: REUTERS/Robert Galraith
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新たな研究によると、大きなアイデアを見つけることはますます難しくなり、イノベーションはますます大規模で高コストな取り組みになっている。

その結果、今日の低い経済成長率を維持するだけでも、研究開発を大幅かつ継続的に拡大する必要がある。

つまり、スティーブ・ジョブズ級の現代の発明家でさえ、過去のトーマス・エジソンたちの生産性に肩を並べるのは難しい。

「成長をおおむね維持するためにできた唯一の方法は、研究者をますます多く投入することです」

スタンフォード経済政策研究所のシニアフェローで、論文の共著者でもあるニコラス・ブルーム氏は、全米経済研究所が今週発表したこの論文で、第二次世界大戦後、社会を一変させる発明が数多く登場したため、次の大きなアイデアを生み出すことがますます難しくなっていると論じている。

「今、誰かが機関車ほど革命的なものを独力で発明するという発想は、想像もできません」とブルーム氏は語る。

「1、2百年前、エジソンが電球を発明した頃にさかのぼれば、確かにそうでした」と同氏は言う。「それは巨大な技術で、基本的には一人の人物が発明しました。しかし、スティーブ・ジョブズとiPhoneを思い浮かべると、iPhoneを作ったのは何十人ものチームでした」

国の経済成長が停滞している理由をよりよく理解するため、ブルーム氏と3人の共著者、すなわちSIEPRシニアフェローのチャド・ジョーンズ氏、スタンフォード大学博士課程のマイケル・ウェブ氏、MIT教授のジョン・ヴァン・リーネン氏は、国全体の研究生産性に加え、テクノロジー、医学研究、農業という3つの産業分野の研究生産性を調べた。別の指標として、上場企業の研究活動も分析した。

この論文は、経済成長は人々がアイデアを生み出すことで生じるという、経済学で広く知られた考え方に基づいている。言い換えれば、より多くの研究者がより多くのアイデアを生み出せば、経済成長も大きくなる。

しかし、ブルーム氏のチームは、あまり喜ばしくない不均衡を見いだした。研究活動が大幅に増える一方で、研究生産性、つまり研究者一人当たりに生み出されるアイデアは急速に低下している。

「経済全体の成長率を同じ水準に保つだけでも、研究活動を13年ごとに倍増させなければなりません」

研究によると、米国経済が何とか成長してきたのは、研究開発の大幅な拡大が研究生産性の低下を上回って補ってきたためだ。

具体的には、研究開発に従事する米国人の数は1930年以降20倍を超えて増えた一方、全体としての生産性は41分の1に低下した。

「新しいアイデアを生み出すのはますます難しくなっており、経済はおおむねそれを補っているのです」とブルーム氏は語る。「成長をおおむね維持するためにできた唯一の方法は、研究者をますます多く投入することです」

論文は数字を挙げて明確に示している。「経済全体の成長率を同じ水準に保つだけでも、研究活動を13年ごとに倍増させなければならない」

薄れる楽観論

ブルーム氏は1年前にこの研究を始めた。SIEPR経済サミットのパネルで「生産性の減速は本当なのか」と題した議論に参加した後、さらに掘り下げたいと考えたという。同氏は、この論文と、やや悲観的な分析によって、以前のより楽観的な見方が弱まったと認めている。

「考えが変わりました」とブルーム氏は言う。「主流派の経済学者はほぼ皆、生産性の伸びについてかなり悲観的になっています」

2016年のSIEPRサミットで、ブルーム氏は米国の生産性についてより前向きな見方を示し、その伸び率の低下は2008年の金融危機による一時的な影響にすぎないと述べた。また、米国の生産性水準の見方を風刺し、1950年から2010年にかけての上下動は、生産性の伸びが長期にわたって鈍化する傾向を必ずしも示すものではないと論じた。

1年前、ブルーム氏はこう考えていたという。「大規模な世界的景気後退から回復しつつあり、これから好転すると思っていました」

現在の同氏の見方には、経済成長の基礎をなす要素の一つである研究生産性が、数十年にわたって明らかに低下してきたという新たな知見が反映されている。

「この論文は、アイデアを見つけるのが難しくなっているため、生産性の伸びが鈍化していると述べています」とブルーム氏は語る。

この研究は、研究開発に関するジョーンズ氏らの先行研究を土台としながら、現実に起きていることを示す実証データと成長モデルを緊密に結び付けている。

アイデアの生産性が低下しているという確かな発見は、今後の経済研究に影響を及ぼすと論文は結論づけている。成長モデルでは従来、生産性は一定の率で伸びると仮定されてきたが、「提示した実証研究は、この仮定に明確に反するものだと考える」と述べている。

ムーアの法則

研究者らによると、調査したあらゆる分野で、研究開発への投資が指数関数的に増えたことで生産性の低下が覆い隠されてきた明確な証拠が見つかった。テクノロジー業界の象徴的な指標であり、4月に52年目を迎えたムーアの法則は、その代表例だ。

コンピューターチップ大手インテルの共同創業者、ゴードン・ムーア氏が1965年に提唱したこの法則は、集積回路上のトランジスタ密度が約2年ごとに倍増し、計算能力も倍増すると仮定している。

ムーアの法則は確かに実現してきた。今日のチップの計算能力は、わずか10年前と比べても驚くべきものだ。しかし研究によると、チップの技術革新を支える研究活動は1971年以降78倍に増加した。

言い換えれば、今日、その革新のペースを維持するために必要な研究者の数は、1970年代初頭に必要だった数の75倍を超える。

「ムーアの法則が示唆する指数関数的な成長が続いてきたのは、技術の限界を押し広げるために投入される資源が驚くほど増えたからにほかならない」と論文は述べている。

他の産業でも、アイデアの生産性低下が見られた。

例えば農業の生産性を測るため、研究の共著者らはトウモロコシ、大豆、小麦、綿花の収穫量を用い、品種間交配、バイオエンジニアリング、作物保護、維持管理など、収量向上を目的とした研究支出と比較した。

4作物すべての平均収量は、1960年から2015年の間におよそ2倍になった。しかし、この増加を実現するため、その期間に投じられた研究費は「大幅に」増加した。作物や具体的な研究指標によって、3倍から25倍超に及んだ。

研究によると、農業の研究生産性は平均して年率約4~6%低下した。

医学研究でも、投入が増える一方で成果が減るという同様の傾向が見られた。論文の著者らは、生産性の指標として、新薬の研究開発費を連邦政府の承認を受けた薬剤と平均余命の水準に照らして分析した。また、がん患者の死亡率の低下を、医学研究の論文数や臨床試験と比較した。

乳がんと心臓がんに関する実証結果は、少なくとも一部の分野では「新しいアイデアは、最初は見つけやすく、その後、見つけにくくなる可能性がある」ことを示唆していると、論文は述べている。

上場企業に焦点を移すと、1980年以降、売上高、時価総額、雇用、従業員一人当たりの収益生産性の伸びで測った研究生産性が、10年ごとに向上した企業は一部にとどまった。全体では、85%を超える企業で研究開発費が増える一方、生産性は着実かつ急速に低下していた。

分析によると、企業の研究生産性は平均して年率約10%低下した。同じ経済成長率を生み出すには、今日では30年前の15倍の研究者が必要になる。

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