自動運転車。3Dプリントされた臓器。自ら学習するコンピューター。まるでSF小説のようだが、これが第4次産業革命の現実であり、醍醐味でもある。しかし、この革命が進展するなか、対処すべき課題が一つある。かなり魅力に欠けるもの、つまり規制だ。
革新的な技術の利用と規制との緊張関係は、目新しいものではない。過去には、新技術が革新的なビジネスモデルと結び付き、規制が追いつかなくなった典型例がいくつもある。音楽共有サービスのナップスターを例に挙げよう。デジタル技術によって音楽のダウンロードが可能になると、ナップスター独自の共有機能は音楽業界から非難を浴びた。ナップスター自体は著作権法に違反していなかったが、そのデジタルプラットフォームの仕組みは、著作権侵害を助長することだけを目的としていると裁判所に判断された。ナップスターは音楽業界に敗れた(そして、ナップスターに何が起きたかは誰もが知っているナップスターに何が起きたか)。
この事例はとりわけ、規制の導入時期と新しいビジネスモデルの立ち上げをめぐる根本的な難題を示している。今日もナップスターの時代と同じように、デジタル技術によって新たなプラットフォームやビジネスモデルが可能になっているが、それらは規制当局がこれまで直面したことのないものかもしれない。さらに、こうしたプラットフォームがデジタル革命の急速に進展する指数関数的技術を活用することで、規制とのずれが生じる可能性は高まっている。
ドローンはその一例かもしれない。高度なデジタル技術とモバイル技術によって、ドローンは次世代の主要な配送手段の一つとなる可能性がある。道路などの交通インフラがほとんど存在しない、あるいは通行不能な地域、たとえばアフリカの一部では、ドローンで医療用品やその他の必需品を届けられる。地上輸送が費用、所要時間、物流の面で難しい場合、荷物配送の新たな手段としてドローンが提案されている。
ドローンが飛び交う空域には現実的な危険が伴い、何らかの監督が必要なのは明らかだ。しかし、ドローン規制は、業界が模索する革新的なビジネスモデルの進展に追いついていない可能性がある。米国では昨年、ドローン規制が承認されると、業界は実際に急成長した。規則が、それまでのように航空機規制を単に拡張したものではなく、ドローンに特化して設計されたためだ。規制の枠組みが明確になると、ドローン事業者はより確かな見通しを持って事業を進められるようになった。しかし、規制には依然として柔軟性があまりない。たとえば、ドローンは操縦者の視界内にとどまらなければならない。そのため、従来の輸送手段より優れ、速く、安価かもしれない新たな荷物配送ビジネスモデルの実現が妨げられている。

もう一つの潜在的なグレーゾーンは、人工知能や3Dプリンティングなど、新技術の利用を可能にするデジタルプラットフォームが引き起こした損害について、誰が責任を負うのかという問題だ。「機械学習」(コンピューターが過去のやり取りに基づいて学習し、適応する能力)の登場により、責任の所在をめぐる問題が厄介になりうることは明らかだ。コンピューターがやり取りから学習するなら、製造業者は将来そのコンピューターが何をするか、どうすれば分かるのだろうか。また、製造したコンピューターが人に危害を与える行動を「学習」した場合、その企業は責任を負うのだろうか。同様に、3Dプリンティングでは、製造物責任法はどのように適用されるのだろうか。3Dプリントされた配管部品が故障した場合、消費者は誰に損害賠償を請求するのだろうか。部品を印刷した店舗か。設計データを提供した企業か。それとも、3Dプリンターの製造業者だろうか。
指数関数的技術を用いた新たなビジネスモデルが立ち上がるにつれ、規制をめぐる疑問が次々と浮上している。そのなかで、先を見越して行動する事業者もいる。たとえば、テクノロジー企業はEUと協力し、データマイニング型のビジネスモデルに影響を与えるプライバシー規則の見直しに取り組んでいる。ドローン業界は、EUの規則をリスクベースの制度へ移行させることに成功した。つまり、個々の状況ごとに新たな規制が制定されるのを待つのではなく、個別の審査に基づいて適用除外を認める制度だ。
指数関数的技術を活用して革新的なビジネスモデルを生み出そうとする企業は、この取り組みを参考にすべきだ。官民の新たな協働モデルを活用し、政府や関係者と連携して、柔軟で透明性が高く、参加型の規制を策定する必要がある。世界経済フォーラムの言葉を借りれば、革新的な官民パートナーシップとは、国家が民間セクターと協力し、「成果、影響、持続可能性の最適化を目指す」ものだ。これを規制の分野にも適用できれば、イノベーターは、昨日の規制に妨げられることなく、明日の技術を活用できるようになる。


