ドローン配送の黄金時代が目前に――その理由とは

A drone demonstrates delivery capabilities from the top of a UPS truck during testing in Lithia, Florida, U.S. February 20, 2017. REUTERS/Scott Audette - RC19E3A71430
As drones have become an important tool in fighting COVID-19, policy is starting to catch up with the technologyImage: REUTERS/Scott Audette
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  • ドローンは新型コロナウイルス感染症のパンデミックと闘う上で重要な手段となり、より強靭なサプライチェーンと、社会的距離を保った配送サービスの実現に役立っています。

  • 社会がドローンの有用性が潜在的なリスクを上回ることを認識し始めたことで、この危機がドローン政策の革新を後押ししています。

  • ドローンをサプライチェーンに本格的に組み込むには、協働と推進力が必要です。

世界がドローンを見る目は変わりつつあります。かつては頭上を飛び回る厄介な存在でしたが、今やドローンは新型コロナウイルスとの闘いで人命を救う手段となっています。

ドローンは、厄介なものや物珍しいものではなく、必要不可欠なものになりつつあります。

ドローンは、あらゆる課題を解決できる誇大に持ち上げられた万能技術から、特定のニーズに応えるための手段へと移行しつつあります。この転換により、最大の見返りをもたらす具体的な導入に集中できるようになります。一部の分野では設備投資が成果を上げ始めており、これらの用途を中心に市場も成熟しつつあります。新しい航空技術は、コロナウイルス危機の要求に応え、さらに世界的な再構築を目指す経済において、重要な役割を果たすことが期待されています。

しかし、ドローンをサプライチェーンに統合するには、技術だけでははるかに足りません。エコシステム全体にわたる専門知識が必要です。職位の上下を問わず、リスクを恐れず挑戦する人や先見性を持つ人材も必要です。何より、航空に対する考え方を根本から改める必要があります。

危機は革新を促します。今回の革新は技術ではなく、政策の分野にあります。ドローン技術は大規模な運用を任せられるほど成熟していないと主張する人もいれば、プライバシー、騒音、迷惑といった社会的な懸念が飛行の拡大を妨げてきたという指摘もあります。しかし、許容できるリスクを評価する社会と政府の姿勢の転換が、より広範な導入を後押ししています。航空旅客数はほぼ90%減少し、外出規制によって道路を走る車も大幅に減少したことで、空中と地上の両方でドローンがもたらしうるリスクは大きく低減しています。一方で、生活必需品の配送、社会的距離の確保、そして必須業務に従事する人々の効率と有効性の向上のために、ドローンの利用を合理化すべきだという圧力も高まっています。

今の時代は、孤立した地域をつなぎ、リスクにさらされたサプライチェーンに強靭性をもたらし、ラストマイル配送における社会的距離の確保を促進する新しい技術を必要としています。ドローンがどのように重要な役割を果たせるのか、そしてこの危機がなぜドローン配送の黄金時代の到来を告げうるのかをご紹介します。

先行導入者が優位に立っています

いくつかの先行導入者は、意欲的にドローンに取り組んできました。ルワンダは、ドローンによる配送を通じて血液サプライチェーンにおける命を救い、無駄を防ぐ好機を捉えました。その結果、ドローン飛行数が従来型の飛行数を上回った世界初の国となりました。スイスは他国に先駆けてドローンを積極的に導入し、小規模な段階で効果を実感しながら、欧州で主導的な地位を確立しました。オーストラリアでは、消費財のドローン配送が試みられ、結果はまちまちでしたが、その過程で重要な教訓が得られました。中国のeコマース大手であるJD.comは、中国の地方都市で複数のプロジェクトを開始し、新型コロナウイルスの感染が広がると同時に利用を拡大しました。過去3年間の飛行運用で最も多くを学んできたのは、人命を救い、ドローンによって最も大きな成果を上げている企業や国々なのです。

第一次世界大戦が初期の商用飛行機の革新と普及を促したように、新型コロナウイルスも商品配送におけるドローンの利用を加速させました。世界中の人々が食料、医薬品その他の物資を配送に頼っており、ドローンがその支援を始めています。

まずスイスで運用を開始した米国の配送会社UPSとドローンメーカーMatternetの協業は、2020年4月27日に、米国で初めて承認されたドローンによる処方薬配送サービスとなりました。一方でUPSはWingcopterとの新たな提携を発表し、ドローンによる荷物配送のラインアップに加えました。また、Alphabet傘下のWingは、パンデミック中に配備数を倍増させより多くの顧客にサービスを届けられるようにし、地域の企業にとって命綱となっています。Wingのパートナー企業は、危機の間のドローン配送により、特定商品の売上が50%増加したと主張しています。

何が変わるのか

ドローンの導入拡大の根底にあるのは、技術が大きく成熟したことではなく、航空機との衝突や悪意ある者による利用といった潜在的なリスクを、ドローンの有用性が上回るという認識の広がりです。社会はドローンから利益を得られることに気づき始めています。リスクの方程式そのものは変わっていませんが、存亡の危機(新型コロナウイルス)への対応を迫られていることと、リーダーシップを発揮すべきという要請が相まって、意思決定者の考え方が開かれ、リスクだけでなく便益も検討するよう促されています。言い換えれば、一部の先進国では、政府の意思決定者が危機への対応として、可能性の範囲を広げるよう初めて求められているのです。

米国では、この拡大により、危険な状況から人間を遠ざける手段として、また新型コロナウイルスのパンデミック中の人と人との接触を減らす手段として、手続きを迅速化するための規制免除が行われています。石油・ガスの点検などがその例です。ルワンダで得られた豊富な知見と、より最近ではガーナで新型コロナウイルス検査キットの配送と回収を試験的に行った経験を活かし、Zipline社は、ノースカロライナ州シャーロット近郊のNovant Healthと提携し、米国での事業を拡大して個人用防護具(PPE)を配送すると発表しました。

黄金時代には協働と推進力が必要です

米国におけるドローンサービスの拡大は歓迎すべきことですが、必ずしも長期的な考え方の転換を示すものではありません。最新の規制免除では、承認を早める要因として新型コロナウイルスが明記されています。これらの免除は6月30日に失効するか、「連邦、州、または地方の新型コロナウイルスに関する勧告または要件の期限切れ」をもって失効します。このような方針転換に対しては、ドローン業界の一部から懐疑的な見方も出ています。UAS国際パイロットプログラム(IPP)などの取り組みで当局と協力してきた大手企業やつながりの強い企業だけが、目下の危機が終わった後も事業を続けられるだろうという見方です。業界全体として協力し、便益と最良の成果を達成する方法を明らかにすることが、今後1年間の鍵となるでしょう。世界中の成功事例から学ぶことも同様に重要です。

長年にわたり、私たちはドローンサービスの承認について、社会への便益とリスクのバランスを取る総合的なアプローチを導入しなければならないと認識してきました。世界中の規制当局を啓発し、意欲を引き出すためにも、企業、人道支援組織、市民社会と連携し続け、実際のデータを用いてドローンの最良の活用事例を示し、取り組みを後押しし、ギャップを埋め、業界の発展を進める必要があります。同時に、専門家が運用する今日のプロフェッショナルな物流ドローンは信頼できるものであり、その実績を裏付けるデータがあることを認識しなければなりません。

技術は整っており、監督のための仕組みも、必要に迫られる形で追いつきつつあります。社会がドローンを最も必要としている今、ドローンの黄金時代がついに到来しつつあります。

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