データの管理、統制、共有のあり方を見直す時が来た。その方法とは

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  • データの利用、統制、共有のあり方を再構想する、官民の関係者が検討すべき5つの将来像。

  • 個人にとって、データユーティリティは、企業ごとに同意を管理することなく、利用者がより簡単にデータを管理できる方法となり得る。

  • データとその商業的可能性に対する統制強化を目指す政府は、この分野における世界的なイノベーションと事業の実効性の必要性を踏まえ、国の目標との均衡を図らなければならない。

第4次産業革命の第一章は、技術の驚異的な進歩とコネクテッドデバイスの普及によって活用可能になった、爆発的なデータの増加を原動力としてきた。その結果、世界で最も企業価値の高い8社のうち7社をテクノロジー企業が占めている。世界のデジタル変革の次の章が成功するかどうかは、より広い経済と社会全体に利益が行き渡る形でデータが利用されるよう、政府と企業が取り組めるかにかかっている。

データの利用をめぐる懸念の高まりに対処しながら、イノベーションの継続を可能にする規制やその他の枠組みを求める声が強まっている。政府は、フェイクニュースの拡散や、人身取引、テロリストの通信・勧誘活動など違法な目的でのデータ利用への対策を進めている。つながる世界において、企業はデータセキュリティと、イノベーション、パーソナライゼーション、相互運用性との均衡に取り組む一方、消費者のプライバシーへの懸念は高まっている。

データの管理、統制、共有をより良く行うにはどうすればよいのだろうか。

私たちは、官民の関係者が検討すべき5つの将来像を特定した。

将来像1:巨大プラットフォームがデータを統制する

大部分において、これが現在の状況だ。企業は今や、生活のほぼあらゆる側面に付加価値をもたらすためにデータを活用し、人々の社会生活を豊かにし、事業コストを削減するとともに、日々のさまざまなやり取りを円滑にするサービスや情報を提供している。

これを実現するため、多くの企業はクッキーや端末追跡技術を用いてオンライン上の活動を追跡し、好みなどの情報を推測している。そして、それらを自社サービスの改善だけでなく、通知やターゲティング広告の配信にも利用する。プラットフォームとして、データ活動の固有の側面にアクセスできることに加え、データと分析を蓄積してきたことで、強力なネットワーク効果が生まれている。また各プラットフォームは、データをどの程度共有するか、消費者がどの程度の統制権を持つかについて、それぞれ独自の方針を持っている。

デジタル技術が他の産業にも広がるなか、こうした手法がもたらす影響を問う声が上がっている。現在の規制状況が続けば、大手テクノロジー企業の影響力はさらに強まる可能性がある。各社はデータと人材を引き続き集積し、研究開発に数十億ドルを投じるとともに、人工知能(AI)のスタートアップや、小売・医療など伝統的な業界の企業を買収する可能性がある。

将来像2:保護措置によって利用者が統制権を持つ

企業がより多くのデータを集積するなか、一部の政府はデジタル分野の保護措置を導入している。こうしたルールは、データセキュリティ要件と個人情報に関する統制を強化し、プライバシーの権利を優先事項かつ人権として位置づける。オンライン利用の安全性が高まったと人々が感じれば、商用・行政を問わず、つながるデジタルサービスを活用する意欲がさらに高まる可能性がある。

最も顕著な例は欧州連合(EU)の一般データ保護規則(GDPR)で、利用者は企業に対して、自分のデータの消去や別の企業への移転を要求できる。また、個人データが収集される理由や利用方法、保存期間について尋ねることもできる。

世界各地のデータプライバシーと保護

こうした規制の進展に伴い、二次・三次的な影響と、それによって生じるトレードオフが問われている。例えば、運用費用や制約の増加は事業コストを押し上げ、新規参入障壁を高め、新たな競合企業が足場を築く能力を制限する可能性がある。第三者とのデータ共有に対する制限も、データ主導のイノベーションに向けた企業間の協業を難しくしかねない。

将来像3:データユーティリティがデータ共有を促す

データユーティリティは、利用者が関わる企業ごとに同意を管理することなく、より簡単にデータを管理できる方法となり得る。企業が消費者データを取引できる市場を設ければ、個人は自分に関する情報の利用・共有方法を一元的に統制できる。

消費者中心のデータユーティリティが、基本的なデータ保護の必要性を完全に置き換えるわけではないかもしれないが、消費者が現在担っている複雑なデータ管理の負担を軽減できる可能性がある。個人がデータを統制するだけでなく、データを収益化できるモデルも登場し得る。すでに少なくとも1社が、個人が手数料と引き換えに調査などの目的で自分のデータを提供できる仕組みを実現している。

第4次産業革命に対して、世界経済フォーラムはどのような取り組みを行っているのか。

フロンティア技術・イノベーションセンターは、科学者、政策立案者、ビジネスリーダーを結集し、新興技術とその現実社会への影響を理解するための取り組みを進めている。

協業と実験を可能にすることで、同センターはパートナーが研究におけるイノベーションを、共通の地球規模課題に取り組む実用的な応用へと結びつける支援をしている。

センターの取り組みを見る

あるいは、企業連合が運営するデータユーティリティであれば、個人データではなく集計データを企業間で交換できる。集計データを共有すれば、個人単位のデータ共有に伴うプライバシーへの懸念を和らげ、公衆衛生など、より広範な課題の解決に役立つ「データから得られる知見」の共有を促進できる可能性がある。

こうした仕組みを誰が、何の目的で作り運営するのかという疑問が当然生じる。営利目的で企業が運営するのか。それとも公共の利益のために政府が運営するのか。ほかにも多くの詳細を詰める必要がある。

将来像4:プロトコルがデータの共有と交換を可能にする

データ交換に関するルールやプロトコルを通じて、データに関する権利と義務の世界共通基準をインターネットの根幹に組み込める可能性がある。

インターネットは先例となり得る。初期のインターネットは利用が制限され、非商業的な情報交換に重点が置かれていた。1990年にワールド・ワイド・ウェブ(WWW)の標準が採用され、サーバー接続に関する重要な原則が組み込まれた。その中には、誰もがどこにいる誰とでも情報を共有できるという原則も含まれていた。1990年代半ばにインターネットの商用利用が認められると、こうした共通のプロトコルと原則が大きなイノベーションを可能にした。

関係者の複雑さや数、そして新たなプロトコルが彼らに及ぼし得る影響を踏まえ、人々のデータを扱う際にこのアプローチを採用すべきか(あるいは実際に採用できるか)が問われる。インターネットのプロトコルが確立された当時、危機にさらされていたものは比較的少なかった。ソブリン財団は、民間部門の国際的な非営利団体として、現在このアプローチの利点を検討する第一歩を踏み出している。同財団は、オープンソースの自己主権型アイデンティティを通じて、個人がオンラインでデジタルIDを管理できるシステムを開発している。この将来像の実現には大規模な国際協力が必要だ。インターネットのような先例はあるものの、その数は多くない。

将来像5:政府がデータを統制する

すでに多くのデータが国境を越えているが、各国政府はデータとデジタルインフラを、国家安全保障と経済競争力に不可欠なものとみなす傾向を強めている。その結果、かつて新興国が国内の自動車生産を育成しようとしたように、今日では自国のテクノロジー産業の発展を望む国が多い。

一部の政府は、データインフラや技術の所在に関するルールを定め始めている。これにより、外国企業や外国勢力による技術投資に国内レベルの制約が生まれ、社会統制の手段が強まる可能性がある一方、地域経済の発展を促し、AI革命の恩恵を得る能力も高まり得る。

例えば、ロシアの個人データ保護法は、事業者に対し、国内に置かれたデータベースで個人データを保存・処理するよう義務づけている。インドの2018年の法律は、特定の種類のデータを物理的にインド国内に置くよう求めている。中国には広範なデータ国内保存ルールがある。これらのルールはデータの海外移転を制限し、データ輸入を抑制する。中国はまた、多額の投資を通じてデータインフラとコンピューティング能力の整備を目指してきた。ドイツとフランスは最近、Gaia-Xと呼ばれる独自の構想を発表した。その目的は、外国のデータインフラへの依存を減らすことだ。

こうした障壁や制約は、世界的なイノベーションや事業の実効性よりも、国の目標を優先させる可能性がある。複数の目標の間で適切な均衡を見いだすことが極めて重要となる。

次の章

第4次産業革命の第二章は、世界中の人々に大きな恩恵をもたらす可能性がある。費用と介入を最小限に抑えながら最大の効果を得る個別化医療、サービスを効率的に利用できる電子政府、そして事故をほとんど起こさない自動車などだ。

デジタル技術の可能性を実現するには、データ管理への新たなアプローチが必要であり、場合によっては新たな規制も求められる。政府と企業は、個人のデータを保護することと、イノベーターが歩みを進め続けられるようにすることとの間で、適切な均衡を見いだす必要がある。

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