企業が習得すべき新たなスキル――イノベーション

A visitor takes photos of Sheikh Zayed Mosque with their smart phone in Abu Dhabi, United Arab Emirates, December 25, 2018. Picture taken December 25, 2018. REUTERS/ Hamad I Mohammed - RC17408E37F0
Smartphones rendered a large part of the amateur photography industry irrelevant.Image: REUTERS/ Hamad I Mohammed
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多くの企業は、業務を全面的に作り変えることになるデジタルトランスフォーメーションの入り口に立っています。この変革は、これまでの産業化の波を上回るほど大きな影響をもたらす可能性があります。デジタル化は、一度きりの出来事ではなく、絶え間ない革命です。

企業は、最新技術を事業に取り入れることだけを考えていればよいわけではありません。イノベーションのプロセス全体も再設計する必要があります。

かつて勝者となるのは、特定の技術、ツール、あるいはプロセスを使いこなす人々でした。明日の勝者となるのは、イノベーションを理解し、変化する力を自らの文化や業務プロセスに組み込んだ人々です。

言い換えれば、イノベーションは新たな中核的能力になりつつあります。

イノベーションを理解する

この能力をどうすれば身につけられるでしょうか。まず、目指すものの本質を理解する必要があります。イノベーションは多くの場合、漸進的、破壊的、革新的の3つの主要なカテゴリーに分けられます。

漸進的イノベーションは、最もリスクの低いタイプです。小さな改善を積み重ね、時間をかけて大きな成果につなげます。研究における定期配当のようなものです。

破壊的イノベーションとは、市場における従来の価値の源泉を捉え直す新たな製品やサービスを投入することです。従来の競合企業が対抗できない新しいビジネスモデルもその一例です。こうしたイノベーションは、市場における従来の価値の源泉を捉え直すことに焦点を当てます。たとえば、NetflixやAirbnbがエンターテインメント業界や宿泊業界をどのように変えたかを考えてみてください。

既存の業界にとって、破壊的イノベーションとは市場参加者のもとに突如として壊滅的な新たな競争相手が現れることです。それが時間とともに業界全体の再編につながります。

一方、革新的イノベーションは発明から始まり、市場へと逆算して進められます。たとえば、Liliumをはじめとする複数のスタートアップが現在開発している、空を飛ぶ自律飛行型電動航空機を考えてみてください。既存のバリューチェーンを変え、その一部を不要にし、これまで存在しなかった新たなバリューチェーンを生み出す可能性があります。

スマートフォンはGPS業界全体と、アマチュア写真業界の大部分を不要にし、デジタルバンキングや、Uberのようなリアルタイムの資産追跡といった新たな業界を生み出しました。

世界のスマートフォン普及率。

破壊的イノベーションや革新的イノベーションといった言葉は、曖昧なまま使われがちです。しかし、アーヘン工科大学の研究チームが最近のハーバード・ビジネス・レビューの記事で警告しているように、企業は破壊的イノベーションと革新的イノベーションを明確に理解し、それぞれに対する戦略を持つことが重要です。いずれも異なる種類の経営上の対応が求められるからです。

過去40年間に発表されたイノベーションに関する1,000本超の研究論文を検討した結果、破壊的イノベーションの脅威に直面した企業にとって最善策は、その脅威に正面から対処できる新たな事業部門やビジネスモデルで対応することだと示唆されています。一方、革新的イノベーションには、大胆な新しいアイデアをすばやく取り込む能力が必要です。そのために、発想力のある従業員を採用し、社内にある種の「反企業」をつくることもよくあります。

洞察に富む分析ですが、イノベーションが競争のあり方をどれほど変えているかを認識するには至っていません。今日、ビッグデータ、人工知能、クラウドコンピューティングがもたらす可能性を考えると、競争優位の源泉が相当な期間にわたって持続することはほとんどありません。

グローバルなブロードバンド、モバイル通信ネットワーク、そして必要なときに利用できる計算能力によって、顧客やサプライヤーとの協働がますます容易になり、組織そのものの境界もかつてほど固定的ではなくなっています。

新たなパラダイム

20世紀の大半から2000年代に入っても、企業は競争優位を、どこか軍事的で中世的ですらある表現で語っていました。壁や堀が数多く登場し、ときには投石機まで持ち出されました。そうした時代はまだ完全に終わったわけではありませんが、確実に過去のものとなりつつあります。

イノベーション・プロジェクトの種類を選び、その力をすばやく取り込む能力は、競争優位を生み出す手段にとどまらず、唯一持続可能な競争優位となる可能性が高まっています。

企業のリーダーには、イノベーションが必要なだけでなく、イノベーション戦略とプロセスも必要です。これまで財務戦略やM&A戦略を常に持ってきたのと同じように、今後はイノベーションのポートフォリオを検討し、各業界の動向、自社の業界に応用できる技術の進歩、そして事業に大きな変革をもたらす可能性のある研究に細心の注意を払う必要があります。

取り組みの大半を漸進的な進歩に集中させる企業もあるでしょう。一方、ポートフォリオ投資家が資産の大部分を優良株に置きながら、より投機的な投資機会にも多額の資金を振り向けるように、より大きな賭けに出る必要がある企業もあります。

デジタル時代に求められるのは、創造的で即興的な思考を必要とする、新たな戦略的思考と事業運営の方法を組織に根付かせることです。企業の価値提案と、それを実現するバリューチェーンのあり方を常に捉え直す意欲を持ち、新たなパートナー、新たな市場、新たな製品の可能性に常に開かれた方法です。

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