デジタル・イノベーション促進の重要性を認識するアゼルバイジャンは、強固なデジタル・エコシステムとインフラの整備を優先している。
世界各地で導入されているデジタル経済戦略は、イノベーション、競争力、経済成長を促進するとともに、国々のつながりを強化する。
デジタル分野への海外直接投資は、資本、技術、専門知識をもたらし、アゼルバイジャンの戦略において重要な役割を果たす。
急速に変化する今日の状況において、自動化とデジタル化の統合は多くの産業で極めて重要になっている。インターナショナル・データ・コーポレーション(IDC)の報告書によると、デジタル・トランスフォーメーションへの世界的な支出は2027年には3.9兆ドルに達すると予測されている。各国政府、国際機関、多国籍企業は、プロセスの合理化と経済圏間の障壁の撤廃に向けた取り組みを主導している。世界経済フォーラムは、さまざまな産業のデジタル化によって、2025年までに世界のGDPが最大45兆ドル押し上げられる可能性があると推計しており、デジタル技術を取り入れることの経済的可能性を浮き彫りにしている。つながりの強化に向けたこの一丸となった取り組みは、世界のGDPを大きく押し上げる可能性を秘めており、私たちが共に歩む経済の道のりにおける重要な前進となる。
世界のGDPの急激な拡大が、潜在的な課題の緩和に役立つ強力な手段となり得ることを認識することが重要だ。国際労働機関(ILO)は、2030年までに世界で最大3億7,500万人の労働者が、自動化とデジタル化の結果、職業カテゴリーの変更を余儀なくされる可能性があると報告しており、労働力の備えを整えるためのリスキリングやスキルアップのプログラムの重要性を示している。力強い経済成長を促すことで、イノベーションや雇用創出の新たな機会を生み出せる。
前述の世界規模でのプロセス合理化と国境を越えたつながりを実現するため、各国政府は管轄地域内で強固なデジタル・エコシステムの構築に着実に取り組んでいる。その中心となるのは、イノベーションと協働を促す環境を育むことだ。そこには、デジタル技術に対応した物理的インフラや規制インフラも含まれる。
経済協力開発機構(OECD)の調査によると、デジタル技術に対応した規制環境を備える国では、イノベーションと経済成長の水準が高い傾向にあり、デジタル・イノベーションの促進における規制枠組みの重要性が示されている。さらに、各国政府は国際機関と協力し、デジタル環境の複雑さを乗り越え、シームレスにつながる世界経済を実現するための戦略的ロードマップを積極的に練り直している。自動化、デジタル化、戦略的取り組みが世界経済にもたらす変革の影響を踏まえると、経済成長と社会の発展に向けてデジタル技術の可能性を引き出すには、協働が欠かせない。
アゼルバイジャンの取り組み
アゼルバイジャン経済省傘下の第4次産業革命分析・調整センターは、世界経済フォーラムの第4次産業革命センター・ネットワークに属するアゼルバイジャン第4次産業革命センター(C4IR Azerbaijan)の拠点でもあり、同国の2024~2030年デジタル経済戦略の改善に着手した。
先端技術の進展と世界的な課題、そしてアゼルバイジャンの発展の動向を踏まえて策定されたこの戦略は、ビジネス、社会、政府の各領域にわたって経済を包括的に変革することを目指す。その使命は、協働的かつ柔軟な意思決定を通じて各分野固有の課題に対処し、企業、市民社会、政府機関のつながりを促進することだ。さらに、デジタル経済への移行の中で、アゼルバイジャンの地域的・国際的な地位の強化を目指している。
この戦略には、デジタル経済のエコシステムを評価し、継続的に強化するための調査・分析も含まれる。デジタル化を促す環境づくりと、新たなビジネスの創出を優先する。既存企業のデジタル・トランスフォーメーションを支援するとともに、デジタル経済分野におけるデータに基づく意思決定を促進する。9つの主要プロジェクトと60を超える取り組みを盛り込んだこの戦略は、アゼルバイジャン経済のデジタル・トランスフォーメーションを推進するうえで重要な役割を果たす見込みだ。
デジタル化を促す海外直接投資
戦略に掲げられた目標に沿って、C4IR Azerbaijanは世界経済フォーラムの投資・実践プラットフォームと協力し、次のプロジェクトを主導している。デジタルFDI(アゼルバイジャンのデジタル経済への投資、IDEA)プロジェクト。この取り組みの第1段階は無事に終了し、約100社を対象とした包括的な調査と、アゼルバイジャンのデジタル経済に投資する15の組織への聞き取りが行われた。これらを通じて、政府の対応が必要な13の主要な政策方針が特定された。
調査結果をさらに検証し、実行可能な措置の優先順位を定めるため、2023年6月に官民両部門の代表者を集めたワークショップが開催された。この協働の取り組みにより、プロジェクトの第2段階で優先される3つの具体的な行動分野が特定された。
この段階では、デジタル分野で活動するスタートアップや中小企業を対象としたワークショップを実施し、事業拡大や投資誘致に役立つ貴重な知見と戦略を提供する。さらに、アゼルバイジャン企業はSIRI(スマート産業レディネス・インデックス)の評価ツールを紹介され、事業運営の有効性を16の重要な側面から評価できるようになる。これらの取り組みにより、企業がデジタル環境で成長するために必要なツールと知識を提供し、変化するアゼルバイジャン経済におけるイノベーション、成長、競争力を促進することが期待される。
企業と投資家の双方にとって有益な投資計算ツールも、第2段階の重要な要素だ。このツールは、投資収益の可能性を正確に予測することで、関係者が十分な情報に基づいて意思決定できるようにし、戦略立案、リスク評価、資源配分を支援する。さらに、投資プロセスの合理化、透明性の向上、投資家の信頼醸成にも役立つ。総じて、利用者が投資戦略を最適化し、財務上の成果を最大化できるよう支援する。
第4次産業革命に対して、世界経済フォーラムはどのような取り組みを行っているのか?
フロンティア技術・イノベーションセンターは、科学者、政策立案者、ビジネスリーダーを結集し、新興技術とその現実社会への影響を理解するための場を提供している。
協働と実験を可能にすることで、同センターはパートナーが研究から生まれたイノベーションを、世界共通の課題に取り組む実用的な応用へと結び付けるのを支援する。
最終的に、このプロジェクトは、海外直接投資(FDI)先としてのアゼルバイジャンの魅力を高めるとともに、国内企業やスタートアップが外国人投資家に効果的に働きかけられるよう支援することを目指す。こうした戦略的な行動分野に取り組むことで、デジタル投資とアゼルバイジャンの経済成長を促す環境の醸成を図る。


