テクノロジーのソリューションが世界の新型コロナウイルス感染症への対応に役立つ3つの方法

Emil Voutta of the developing team of software giant SAP shows the intermediate status as he works on the German government official COVID-19 tracing App at the SAP headquarters, as the spread of the coronavirus disease (COVID-19) continues, in Walldorf, Germany May 29, 2020. REUTERS/Kai Pfaffenbach - RC2BYG9XVFBC
A developer demonstrates a COVID-19 tracing App at the SAP headquarters, as the spread of the coronavirus disease (COVID-19) continues, in Walldorf, Germany May 29, 2020.Image: REUTERS/Kai Pfaffenbach - RC2BYG9XVFBC
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  • パンデミックが続くなか、世界が乗り越えるためには、テクノロジーで具体的なニーズに応える必要がある。

  • 調査が示す、企業が自社の商業的利益を守りながらニーズに応えるため、テクノロジーの導入方法を優先順位づけするうえで重要なポイント。

  • テクノロジーに関して指摘されている重要な懸念に対処することは、広く活用され、成果を上げるために不可欠だ。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)により、多くの新技術の導入が加速した。パンデミック関連のサービスやプラットフォームが豊富に提供され、ときには圧倒されるように感じることもある。リソースの優先順位づけに取り組む企業にとって、COVID-19への技術的対応における最も重要な傾向やパターンを理解することは、極めて重要だ。新たなニーズから、解決策は寄せ集めのような状況になっていると、ボストン コンサルティング グループの新たな調査は指摘する。ボストン コンサルティング グループが指摘するように、それらはデータ保存、プライバシー、実装に関するさまざまな課題をもたらす可能性がある。

企業がパンデミックの次の段階を乗り越える方法を見据えるなか、テクノロジーは新たな役割を担う。最近の分析では、商業戦略を成功させるとともに、世界がパンデミックを克服できるよう支援したい企業が注力すべき、3種類のテクノロジーを特定している。

この3つの優先領域を導き出すため、特定のユースケースの文脈においてユーザー入力に適応する人工知能(AI)の一形態である、文脈型人工知能を活用した。2020年1月から5月に公開された、英語による2,500件超のニュース記事を分析し、COVID-19とテクノロジーに関するどのトピックが最も多く取り上げられたかを評価するために、この技術を用いた。また、これらのトピックについてセンチメント分析も実施し、各記事の執筆者が用いた言葉を分析して、周囲の感情傾向を測定した。市場インテリジェンス・プラットフォームのNetbase Quidによると、自然言語処理では、記事内で使われている言葉だけでなく、「スラング、皮肉、地域特有の言い回し、方言、ネット用語、絵文字」も分析し、言葉や表現に込められた意図や感情を適切に文脈化する。その後、記事をセンチメントの方向性と強さによって比較できる。

記事は、「ビデオ/リモートワーク」「接触者追跡」「遠隔医療ソリューション」など、15の主要なトピック領域に分類された。これらの領域はさらに、情報管理、経済的レジリエンス、検知と封じ込め、医療提供者の支援、社会的結束、治療の加速という6つの大分類に集約された。各分類は互いに強く結びついている。下の画像の右側では、データが雲状に可視化されており、その様子を容易に確認できる。密集したクラスターは非常によく似た記事を表し、その間に伸びるほつれた糸のような線は、つながりを示している。

図1:BCGの分析、2020年1月~5月Image: BCG

この分類群の複数のカテゴリーにまたがる、3つの重要なテーマが浮かび上がった。これらのテーマは、パンデミック下の暮らしに関する膨大な情報を理解し、本当に重要な技術領域を特定して相互のつながりを描き、人々がそれらをどう感じているかを把握するのに役立つ。重要な領域は、仮想世界で経済的レジリエンスを高めるイノベーションの推進、世界的な感染症拡大の追跡・トレースと予防、対面での交流がない状況での人と人とのつながりの促進だ。

情報管理は、これらすべての領域に関わっている。医療業界向けの具体的なソリューションも当然重要だが、別の分析で独立して論じる必要がある。

経済的レジリエンスを高めるイノベーションの推進

COVID-19をきっかけに、ほぼすべての業界でデジタル化と自動化が急速に進んだ。トピックとクラスターを示す図からは、イノベーション、電子商取引、ビデオ/リモートワーク、サイバーセキュリティの間に強いつながりがあることが分かる。オンラインを優先する世界へのパラダイムシフトがもたらした困難に対し、創造的かつ迅速な解決策を生み出す力において、これらの領域は強く結びついている。

既製の電子商取引プラットフォームの機能におけるイノベーションにより、パンデミック前はオンラインでの存在感が限られていた企業も、最低限実用可能なオンラインストアを、年単位ではなく数週間で迅速に立ち上げられるようになった。

顧客は電子商取引への移行にすぐ適応した。パンデミック初期の数カ月間に、オンラインで食料品を購入する利用は3倍に増えた。BCGのデータによるとその利用者の大半は、オンラインでの購入を初めて経験した人々だった。約3分の1が、パンデミック終息後もオンラインで食料品を購入すると回答した。さらに、BCGが8月に実施したB2C電子商取引調査によると、パンデミック中にオンラインショッピングは39%増加した。顧客の79%が、今後もオンラインで同じ頻度か、それ以上の頻度で買い物をする予定だと答えており、こうした増加は今後も続く可能性がある。

図2:COVID-19後の電子商取引におけるCPGの転換点Image: BCG

リモートワークのツールにより、多くの企業が業務を継続でき、経済が完全に停止する事態を防げた。Zoomの利用者数は、記録を大きく塗り替える2020年4月に1日あたり2億人に達した(2019年12月の20倍)。人々がリモートワークの一環として、オンライン会議や講義、カンファレンスを取り入れたためだ。最近のギャラップ調査によると、労働者の59%が、可能な限りリモートで働くことを望むと回答した。企業活動や学校閉鎖に関する制限が解除された後も、そうした働き方を希望している。

しかし、デジタル経済への移行に伴い、サイバーセキュリティへの懸念が高まった。デジタルでやり取りされるデータが増えるほど、サイバー攻撃の機会も増えている。情報の保護は、持続可能なデジタルモデルにとって欠かせない要素だ。これがなければ、消費者と生産者双方の信頼はすぐに失われる。セキュリティ攻撃は増え続け、デジタル経済の存続を脅かしている。情報のオンライン取引を保護するため、さらなる取り組みが必要だ。

追跡・トレースによる世界的な感染症拡大の予防

リアルタイム追跡を可能にするため、包括的なデータを管理、収集、分析すると同時に、堅牢なサイバーセキュリティ対策を技術ソリューションに組み込むことが不可欠だ。私たちの分析では、これらの領域の間に強いつながりが見られる[図1のノード2(接続性)と3(サイバーセキュリティ)、ならびにノード3(サイバーセキュリティ)と7(AI/認識)、9(リアルタイム追跡)、10(遠隔医療ソリューション)のつながりを参照]。組織と政府は、個人のプライバシーを尊重しながら、すべての人の健康を守るという難しい均衡を模索している。

多くの国が、プライバシー保護に取り組みながら接触者追跡を進めるため、利用者が任意で登録するモバイルアプリを開発した。ダウンロード数が数百万件に達したアプリもあった(国によっては人口の36%に相当)が、こうしたアプリの普及は概して停滞した。個々のアプリがプライバシーや有効性に関する懸念に十分対処できなかったことが、その一因となっている。普及を広げるには、シンガポールのTraceTogetherアプリが示した先例に倣うアプリを増やす必要がある。同アプリは、さまざまなプライバシー保護策を備えていた(位置情報データを収集・使用せず、データログを暗号化して保存するなど)。今後、追跡・トレースデータの収集を試みる際には、完全なプライバシー保護の必要性を認識し、人々が安心して個人データを共有できるよう、包括的なサイバーセキュリティ対策を整備しなければならない。

経済活動の再開に伴い、感染の効果的な検知、封じ込め、追跡は民間部門の責任になりつつある。従業員は職場に戻る前に、安全が確保されているという保証を求めるだろう。職場復帰を支援するソリューションなど、技術革新によってこれを実現できる可能性がある。米国では、MicrosoftとUnitedHealth Groupが、症状のある従業員を特定し、自宅待機を促すアプリケーションを開発した。こうしたソリューションが次々に開発されるなか、雇用主や国をまたいで個人データを安全に共有する手段が必要になる。

仮想化が進む世界で人と人とのつながりを促す

リモートで働き、学ぶ多くの人々にとって、家族やルームメートと過ごす時間が増える利点がある一方で、人と人とのつながりがひどく失われている。このページ上部の図1でノード2、12、13が近接していることからも分かるように、私たちの分析は、リモート学習、つながりのあるコミュニティ、通信・接続性の間に強い結びつきがあることを示している。

カスタマーサービスの傾向からは、人と人とのつながりが今なお強く求められていることが分かる。一般に企業は、有人のカスタマーサービス担当者を減らし、自動チャットや定型の返信・選択肢を使う方向に進んできた。しかし、COVID-19の流行開始以降、有人オペレーターへの電話は急増している。5月に公表された調査によると、顧客の38%が、有人オペレーターと話せることは、満足できるカスタマーサービス体験を左右する決定的な要因だと回答した。

社会活動への復帰を望む人々が増えた結果、世界各地で感染者数の再増加が起きた。感染拡大が加速するのを防ぐには、人々が自宅で快適に過ごせる新たな対策が必要だ。

これらのテクノロジーソリューションには、COVID-19とテクノロジーに関する6つの主要カテゴリーの間に、興味深い相互のつながりがある。重要な懸念とそれに関連するトピックに対処し、包括的なソリューションを形にできる企業は、社会福祉と商業の双方に利益をもたらすだろう。テクノロジー業界が世界的なパンデミックの課題にどのような解決策を提供できるかを探るなかで、専門家の知見は、複雑に絡み合う活動から主要なテーマを明らかにする助けとなる。

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