22q11.2:パスワードではなく、ほとんど知られていない症候群

A DNA double helix is seen in an undated artist's illustration released by the National Human Genome Research Institute to Reuters on May 15, 2012. REUTERS/National Human Genome Research Institute/Handout (CANADA - Tags: SCIENCE TECHNOLOGY) FOR EDITORIAL USE ONLY. NOT FOR SALE FOR MARKETING OR ADVERTISING CAMPAIGNS. THIS IMAGE HAS BEEN SUPPLIED BY A THIRD PARTY. IT IS DISTRIBUTED, EXACTLY AS RECEIVED BY REUTERS, AS A SERVICE TO CLIENTS - RTR32460
The prevalence of 22q is considered to be around one in 2,000 live births globally.Image: REUTERS/National Human Genome Research Institute
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22q11.2を郵便番号やパスワードだと思っても無理はありません。これが同種の症候群の中で最も有病率が高いものだとは、思いもよらなかったでしょう。

それでは、「22q」についてお話ししましょう。

誰もが23対、合わせて46本の染色体を持っています。染色体は遺伝子でできており、遺伝子はDNAで構成されています。染色体を完成したパズルだと考えてみてください。遺伝子は一つひとつのピースで、DNAは模様や絵柄にあたります。さまざまなピースが組み合わさると、染色体が完成します。22qのような遺伝性症候群のある人では、パズルのピースが一つ欠けているため、絵柄が未完成になります。

22qでは、欠失した部分は22番染色体の「q腕」にあり、11.2という位置にあたります。この位置を合わせて22q11.2と呼びます。欠失部分の大きさは人によって異なり、そのため現れる症状もさまざまです。ただし、すべての人で共通して欠失していることの多い中核領域があります。

22qの有病率は、世界全体でおよそ出生2,000人に1人と考えられています。ただし、この数字は常に見直されており、当初考えられていたよりも症候群の頻度が高い可能性があります。診断を受けないまま生涯を過ごす人も多くいます。

22qではどのような問題が起こるのでしょうか?

22qにはさまざまな問題があるため、診断や治療には多くの専門医が関わります。さらに、専門医によって22qの呼び方が異なり、ディジョージ症候群や口蓋心臓顔面症候群などと呼ばれることもあります。これらは22qの欠失を共有していますが、別々の症候群とみなされています。一方、私の研究分野では「22q」と呼んでいます。

診断が下された当初は、口蓋裂や心臓の異常など、症候群の身体的な影響に焦点が当てられることがよくあります。もちろん、こうした影響は、いつ、何をきっかけに診断を求めたか、あるいは診断に至ったかによって異なります。身体的な問題だけでなく、自閉症に似た症状や不注意、多動など、行動面や発達面の問題をきっかけに診断される場合もあります。こうした発達上や精神医学上の問題は年齢とともに現れますが、より早い時期までさかのぼることができます。

22qは、発達遅滞の有病率が最も高い症候群の一つであり、先天性心疾患の有病率もダウン症候群に次いで高いものです。さらに、筋緊張の低下や、手指・足指の長さの違いなど、幅広い症状が見られる点や、顔立ちにも共通点があります。こうした特徴はダウン症候群のほうが典型的に現れますが、22qでも見られることがあります。

22qのある人は、統合失調症のリスクも高くなります。一般人口では、統合失調症のある人は1~2%です。22qではこの割合が高く、約25~30%に上ります。22qは、統合失調症の発症との関連が知られる同種の遺伝子変化の中でも、特に関連性が高いものの一つです。驚くべきことに、このリスクの高さは、統合失調症の親が1人いる場合の10%を上回ります。このように顕著で、偏見を伴うこともある障害のリスクがこれほど高いことは、22qへの理解を深め、よりよい介入や治療を行う必要性を示しています。

ほかの精神疾患も、22qでは有病率が高く、不安症、注意欠如・多動症(ADHD)、自閉症などが含まれます。てんかんや運動協調の困難もよく見られます。

22qで、まだ十分に解明されていない問題の一つが睡眠障害です。これは現在私が研究しているテーマです。22qのある人には、閉塞性睡眠時無呼吸など、身体的な睡眠関連の問題が見られることがあります。しかし、睡眠に関わる行動面や心理面の問題については、まだ十分に調査されていません。

脳活動という生理学的な観点から、快適さや落ち着きのなさまで含めて、22qのある人の睡眠を調べることで、多面的な症候群である22qへの理解を深める手がかりが得られます。私の研究では、子どもや青年の一晩の睡眠中の脳活動を評価しています。脳の電気活動を記録する脳波検査(EEG)を、ほかの客観的な睡眠指標と組み合わせることで、22qのある人の睡眠の実態をよりよく捉えられます。

なぜ22qは重要なのでしょうか?

私たちの研究に参加する家族は、暮らしの一端を見せてくれます。症候群とともに生きる日々の現実を、断片的ながら知ることができます。22qのある子どもを育てることや、22qのある大人として生きることがどのようなものか、私には分かるとは決して言えません。それでも、彼らが経験する問題に深く共感しています。

出生時に命を脅かす心臓の異常が見られたり、発達遅滞や感覚処理の問題が幼少期に重なったりすることがあります。思春期初期に幻覚や妄想が現れ、それが統合失調症や不安症につながることもあり、成人期に深刻な影響を及ぼす可能性があります。

こうした問題に一つずつ対処するには、本人と家族に大きな力と粘り強さが求められます。日々直面するさまざまな問題が重なり、受け止めるのはつらく、無視することも困難です。

しかし、社会の認知度が低いことも状況を難しくしています。毎日自分のことを説明し、偏見や判断にさらされ、困惑や共感の欠如を示す表情を向けられることは、耐えがたい苦痛に違いありません。

私のような研究者は、22qについて調査し、教育の場で取り上げ、より広く議論されるよう力を尽くしています。影響を受ける人々とその家族が、受けるにふさわしい理解を得られるようにするためです。

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