SDGs達成の実行の10年に向けた資金調達の道筋

Charting the course for SDG financing in the decade of delivery
We need to move 3% of global GDP to the SDGs to finance the 2030 Agenda.Image: AbsolutVision/Unsplash
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  • 持続可能な開発目標(SDGs)の達成を阻む要因として、年間2.5兆ドルの資金不足が根強く存在しています。

  • この資金不足を解消するには、資本の供給と需要を妨げる制約を取り除く必要があります。

  • 開発銀行は、新たな資金調達源を呼び込むことに注力しなければなりません。

2015年に「2030アジェンダ」が採択されて以降、持続可能な開発に取り組むイニシアチブは大幅に増えました。しかし、持続可能な開発目標(SDGs)の達成を阻む要因として、年間2.5兆ドルの資金不足が根強く存在しています。国際社会は、私たちが「行動と実行の10年」を迎えるにあたり、これまでの進展が多くの分野で非常に遅かったことを認め、約束を現実にすることを誓っています。

SDGsの資金調達における第一歩は、持続可能な開発に真の効果をもたらす分野に、資本が実際に投じられるようにすることです。2018年の世界GDPは推計85兆ドルでした。つまり、世界GDPのわずか3%を持続可能な開発に投資すれば、SDGsの資金不足を解消できるということです。世界全体で持続可能性に関する目標を達成し、「2030アジェンダ」を共に実現できるでしょう。

しかし、その実現には多くの障壁があります。世界経済フォーラムが招集した「開発資金に関するグローバル・フューチャー・カウンシル」は、現場で活動する24人の専門家で構成され、開発資金の流れを妨げる構造的課題を克服する革新的な方法に取り組んでいます。2020年のダボス年次総会に向けて、エコシステムを特徴づける主要な側面をまとめた新たな「開発資金トランスフォーメーション・マップ」を作成しました。

開発資金のマッピング。Image: 世界経済フォーラム – 戦略的インテリジェンス

同カウンシルには、各国政府、ドナー、多国間および二国間の開発金融機関(DFI)、民間投資家、金融界のリーダー、学術界の代表者が参加しています。従来型の開発資金アプローチでは、各国レベルで顕在化する市場の失敗に対処するには不十分だと考えています。そのため、これまでの取り組みでは、SDGsに必要な資本を動員するための規模とスピードを実現できていません。

解決策の特定を重視する同カウンシルは、すべての参加者、すなわち資本の提供者(供給側)、資本の利用者(需要側)、両者を結び付ける機関(仲介機関)による取り組みの強化が必要だと認識しています。同時に、これらの領域は相互に深く結び付いているため、個別に検討するだけでは進展が限られることも理解しています。

あらゆる要素の相互作用を考慮した統合的なアプローチが必要です。世界および国内の官民の関係者が協力してSDGsの資金不足を解消し、それぞれ単独で取り組む以上の成果を上げるアプローチです。さらに、世界規模の知見やリーダーシップを現場で効果につなげるには、各国レベルの行動に結び付けなければなりません。これにより、システムが連携して機能し、行動の10年に必要なスピードと規模を実現できます。

供給側:投資機会を集約し、より多くの資本を呼び込む

民間部門は、期待するリターンとリスク許容度に合った投資機会を求めています。世界経済の成長見通しが弱く、マイナス利回り債が増えるなか、SDGsに貢献する開発途上国や新興国のプロジェクトは、魅力的な投資機会を提供できるはずです。

しかし、市場の失敗がSDGsの資金調達への民間参加を妨げています。認識されるリスクの高さ、現地通貨の変動、資本提供者とプロジェクト開発者の間の情報の非対称性、取引規模などが、魅力的な投資機会になり得る案件を、非常に複雑な取引へと変えてしまうことが少なくありません。その結果、最終的に期待できるリターンが、投資家が資本を投じるために負うリスクや労力に見合わなくなります。

例として、小島嶼開発途上国(SIDS)を考えてみましょう。SIDSは58の島しょ国から成り、自然災害への脆弱性、気候変動へのレジリエンスの必要性、国土の狭さに関する共通の開発課題を抱えています。SIDSは「2030アジェンダ」の計画に資金を充てる新たな資本源を緊急に必要としている一方、リスクが高いと見なされ、規模拡大可能なリターンを見込めるプロジェクトも不足しているため、民間投資を呼び込むのに苦労しています。

同カウンシルは、国、地域、またはセクターの各レベルで資金集約の仕組みを活用し、SIDSが資本を呼び込み、規模の小ささという課題を克服するための枠組みを策定しています。こうした仕組みは、小規模な投資ソリューションをより大きな機会にまとめ、民間資本を呼び込みやすくします。これにより、SIDSがSDGsのための新たな資本源を見いだす実行可能な仕組みが生まれる可能性があります。

需要側:あらゆる種類の資本を活用する戦略的アプローチ

市場の失敗は需要側にも起因します。非効率の一因は、首尾一貫した戦略的開発計画の欠如です。各国は、国家予算の配分プロセスをSDGsに結び付け、「2030アジェンダ」に向けた国家資金調達計画を策定すべきです。

政府は、個々のプロジェクトに限定したアプローチから脱却し、投資バリューチェーンのさまざまな段階であらゆる資本源を活用する、SDGsのための包括的な資金調達戦略へと移行しなければなりません。

前期の任期中、開発資金に関するグローバル・フューチャー・カウンシルは、各国に対し、「資金供与」から「資金調達」へと転換することを提言しました。政府開発援助(ODA)やその他の公的資金への依存から脱却し、各プロジェクトに適した資本の種類を明確に見極めるとともに、国内、国際、民間、公的資本など、国内レベルで活用可能なあらゆる資本源を包括的に検討することを意味します。

さらに同カウンシルは、政府の取り組み次第で、投資先としての国の魅力は大きく左右されると考えています。「投資を呼び込めるガバナンス」への意識を高め、投資家の信頼を強める環境を整えることで、各国は成功への基盤を築けます。

例えば、民間投資家を呼び込むビジネスに友好的な政策を通じて規制枠組みを整備すれば、企業投資をさらに促進できます。その実現には、投資を呼び込めるガバナンスを改善するために必要な行動について、官民が足並みをそろえられるよう、複数の利害関係者による協力が不可欠です。

こうした変化が持続的な効果をもたらすのは、官民双方の関係者の合意に基づき、国内外の投資家を引き続き支える包括的なガバナンス枠組みを各国が維持できる場合に限られます。

仲介機関:各国の利益にかなう触媒として機能する

上述した供給と需要の動きは、既存の開発資金の枠組みの中で展開します。関連する仲介機関が、SDGsに向けた資本の供給と需要を結び付ける能力を高めることが極めて重要です。そのためには、さまざまな開発資金提供者やその他の関係者の役割を根本から見直す必要があります。

特に、多国間開発銀行(MDB)、地域開発銀行(RDB)、国立開発銀行(NDB)、開発金融機関(DFI)は、各国が「資金供与」から「資金調達」へ移行するのを支援する触媒としての役割を優先すべきです。すでにこの変化に着手している機関もあります。

各国が「プロジェクトごと」のアプローチから脱却し、民間市場の創出や多様な資本提供者の誘致に向けた戦略的な取り組みへ移るなか、仲介機関は投資家と各国を結び付ける能力を高めるべきです。そのためには、SDGs達成に必要なさまざまな資本の種類(標準的なプロジェクトファイナンスから、最も大きな効果をもたらすエクイティ・リスク資本まで)を深く理解し、官民双方と効果的に連携する能力が求められます。

同カウンシルは、既存の仲介機関が、年金基金、保険会社、個人投資家など、従来SDGsの資金調達に積極的に参加してこなかった主体からも、新たな資金調達源を呼び込むことに注力するのが極めて重要だと考えています。

そのためには、プロジェクトのライフサイクルのさまざまな段階で民間資金を動員する必要があります。例えばMDBは、自らの独自プロジェクトに自らの資本を投じ、その資本をプロジェクトの全期間にわたって拘束しておく傾向がありました。

MDBは、プロジェクト開始時により多くの民間投資家を自らと並ぶ形で参加させ、その後、プロジェクトのリスクが低下した段階でMDB融資を借り換えられるようにし、さらにリスク回避的な投資家を呼び込む方法を見つけるべきです。これにより、SDGsに投資する新たな投資家層を動員するとともに、MDBが自らの資本をより効率的に再活用できるようになります。

MDBは、自らの比較優位にある専門知識を活用して、より融資可能性の高いプロジェクトを特定し、民間資金提供者の参入を容易にできます。持続可能な開発に向け、中低所得国への民間投資をさらに呼び込むことが急務です。2018年にMDBとDFIが世界全体で共同動員した資金は、わずか690億ドルでした。

結論

ダボスでは、開発資金に関するグローバル・フューチャー・カウンシルのメンバーが官民両部門の代表者と会い、実行の10年の野心的な目標達成に必要な機運を再び高めるため、協議します。

SDGsの資金不足を解消するのに、車輪の再発明は必要ありません。資本の供給と需要を妨げる制約を理解して取り除き、両者を結び付ける方法を改善することが重要です。SDGsの資金不足を埋めるには、世界GDPのわずか3%の投資で足ります。それによって世界は「2030アジェンダ」の目標実現に一歩近づき、私たちが望む包摂的な成長と持続可能な開発を達成できるでしょう。

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