良い影響も悪い影響も測る新たな方法

The closing numbers are displayed at the New York Stock Exchange (NYSE) in New York, U.S., December 31, 2019. REUTERS/Bryan R Smith - RC2L6E9ADVKZ
We need to look beyond measuring value in purely financial terms.Image: REUTERS/Bryan R Smith
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  • 総合的社会インパクトは、事業がもたらす幅広い影響を、プラスとマイナスの両面から測定します。

  • 社会的インパクトを考慮することで、新たな市場につながる可能性があります。

  • デジタルソリューションは、炭素排出量の削減や新たなビジネスモデルの創出につながる機会をもたらします。

気候変動から社会的・経済的課題まで、世界はいま、数々の難題に直面しています。これらの問題を緊急に解決することが不可欠です。課題に立ち向かうには、実践的なアプローチを取る必要があります。そのためには、視点を変え、成功のあり方を再定義しなければなりません。

ビジネスリーダーとして、私たちは皆、財務面でプラスの影響を生み出すことを目指しています。株主価値を高め、収益性の高い企業を築きたいと考えています。しかし今、損益を超えて自分たちがもたらす影響を認識できるよう、視野を広げる必要があります。私たちは価値を財務面から捉えることに慣れています。

私たちには、自らが築き運営する企業が世界に与える影響、すなわち環境、社会、そしてより広い経済にどのような影響を及ぼしているかも考慮できる、新たな視点が必要です。その核心にあるのは、「良い」とは何かを再定義することです。

こうした考えから、BCG Digital Venturesは最近、ベンチャー構築の方法論に新たな指標「総合的社会インパクト(TSI)」を加えました。この指標により、私たちが構築するベンチャーがもたらす幅広い影響を、プラスとマイナスの両面から測定し、理解できます。意図的かどうかを問わず、事業が及ぼし得るあらゆる影響を集約し、私たちの行動がもたらす直接的な影響にとどまらず、利用者、パートナー、社会、そして地球全体へのより広範な影響を考えるよう促します。

総合的社会インパクトは、国連の持続可能な開発目標(SDGs)に沿った6つの側面から成ります。Image: BCG Digital Ventures

実際には、TSIは単一の指標ではなく、複数の測定・評価項目の集合です。国連の持続可能な開発目標(SDGs)に沿った6つの側面、すなわちアクセスと包摂、社会の能力向上、環境の持続可能性、倫理的能力、生涯にわたるウェルビーイング、経済的価値を含みます。

具体例を挙げると、環境の持続可能性の指標には温室効果ガス排出量があり、社会的ウェルビーイングの尺度には質調整生存年(完全に健康な状態で過ごす1年を1年として数える)が考えられます。これらの要素をそれぞれ測定して初めて、ベンチャーが世界に及ぼす影響を把握できます。

社会と環境にプラスの価値をもたらすこと自体に取り組む意義がありますが、社会的インパクトは成長の新たな領域を切り開くことにもつながります。社会的インパクトに関する課題を検討し、成功を測る幅広い指標を取り入れることで、事業戦略や価値創出の新たな原動力が生まれ、新市場の創出につながります。

社会的インパクトのあらゆる側面でイノベーションを起こす企業には、2030年までに年間12兆ドルの価値を創出する機会が開かれると私たちは推計しています。この数字は、SDGsの達成を目指す4分野、すなわち食料・農業、都市、エネルギー・素材、健康・ウェルビーイングにおける事業機会から得られる年間収益とコスト削減額に基づいています。

デジタル戦略と新技術を活用してイノベーションを起こす企業は、この分野を率いるうえで独自の強みを備えています。その例として、パートナーとともに私たちが構築に携わった2つのベンチャーがあります。OpenSCは、消費財の追跡を可能にする技術を活用した、サプライチェーンの透明性向上を目指すベンチャーです。世界自然保護基金(WWF)との協力で設立されました。

OpenSCは、消費者が商品を手にするまでの経路を追跡できるようにすることで、責任ある生産と消費を促進します。たとえば魚を買う前に、どこで、どの船によって漁獲されたのか、また持続可能な方法で漁獲されたのかを確認できます。

また最近、私たちはOntario Teachers’ Pension Planと、その新しいベンチャー・インキュベーターKoruで提携しました。インキュベーターの第1号ベンチャーはEloveeです。認知症の人に寄り添い、症状の緩和を助けるため、家族のデジタル映像を作成するソフトウェアです。

この2つのベンチャーは、総合的社会インパクトの指標で測定可能なプラスの社会的影響をもたらしているだけでなく、イノベーションの新たな領域で収益面の成果も生み出しています。ここで鍵となるのがデジタルソリューションです。炭素排出量を削減し、新たなビジネスモデルを創出する機会をもたらします。

損益だけでなく、より幅広い観点から自らに説明責任を課すことで、持続的な価値と前向きな変化を生み出せます。新たな包括的指標によって影響を定量化し、財務、社会、環境の各側面でより良い成果を目指すことができます。

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