持続可能な開発

2026年の旅行・観光指数、トップは日本

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訪日旅行客に人気の観光地、渋谷の夜。

主要な観光拠点以外にも観光を拡大するという日本の戦略が実を結んでいます。 Image: Unsplash/Jezael Melgoza

Ramya Krishnaswamy
Head of Institutional Communities; Executive Committee Member, World Economic Forum
Charlotte Boutboul
Lead, Experience Economy, Travel & Tourism, World Economic Forum
  • 世界の観光客数が過去最高の15億人に達する中、世界経済フォーラムがチューリッヒ・インシュアランス・グループの協力を得て作成した最新の「旅行・観光開発指数」は、この分野が活発に成長していることを明らかにしています。
  • アジア太平洋地域や中東の新興市場は、既存の観光地に比べて2倍のペースで競争力を高めています。
  • 同報告書は、単なる観光客数にとどまらず、文化、自然資産、インフラが、持続的な成長にとってますます決定的な要因となっている理由を分析しています。

人々は旅をしています。それも、極めて頻繁に。地政学的、経済的、環境的な課題が依然として続く中、2025年には世界で過去最高の15億人の観光客到着数が記録され、2026年の第1四半期だけで約3億700万人が海外へ渡航しました。これは、旅行・観光(T&T)業界がパンデミックによる低迷から回復しただけでなく、現在も活発に成長していることを明確に示しています。

実際、2025年の国際観光客数は2024年比で5%増加し、2019年の水準を4.4%上回りました。このセクターは2025年、グローバルGDPで過去最高の11.6兆ドルを占めました。これは、2024年比で4.1%増、2019年の数値と比較して2倍以上に達する数字です。また、雇用面では、2025年に同セクターは世界中で3億6600万人の雇用を支えており、これは世界の雇用の約10分の1に相当します。

2026年の「旅行・観光開発指数(TTDI)」のデータが示すように、3つの主要な圧力要因が観光業界のあり方を変えつつあります。
2026年の「旅行・観光開発指数(TTDI)」のデータが示すように、3つの主要な圧力要因が観光業界のあり方を変えつつあります。 Image: World Economic Forum

ただ、業界全体としては好調であり、一部の地域や市場では他よりも力強い成長が見られる一方で、成長そのものが課題となりつつあります。このことは、世界経済フォーラムがチューリッヒ・インシュアランス・グループの協力を得て作成した最新の「旅行・観光開発指数(Travel & Tourism Development Index (TTDI))」により、明らかになりました。この指数は、同フォーラムが過去20年近くにわたり同セクターに対して実施してきたベンチマーク調査に基づいており、測定により旅行・観光がレジリエンスを高め、持続可能になりつつある地域を明らかにすると同時に、各国政府、業界、投資家が取り組むべき課題を特定するものです。

トップ10の国々には特に注目しなければなりませんが、2024年から2026年にかけて、TTDIにランクインした110の経済圏のうち圧倒的多数(92%)がスコアを向上させ、平均スコアは2%上昇し、これは2019年以来最も速い改善ペースである点も特筆すべきでしょう。

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上位10カ国

常に高い実績を誇る観光地である日本は、最新の「旅行・観光開発指数(TTDI)」において、2ランク上昇し、米国を抜いて1位となりました。
常に高い実績を誇る観光地である日本は、最新の「旅行・観光開発指数(TTDI)」において、2ランク上昇し、米国を抜いて1位となりました。 Image: World Economic Forum

同指数における上位国は、2024年の前回調査時と変わりありません。ただし、順位には若干の変動が見られます。日本は2ランク上昇し、米国に代わって1位の座に着きました。オーストラリアも2ランク上昇し、スペインに次ぐ4位となりました。中国は前回と同様8位ですが、グローバル平均成長率を上回りました。

同報告書によると、こうした変動はアジア太平洋地域における需要の拡大と受け入れ能力の向上を反映しており、同地域のスコア向上には、パンデミック後の再開が遅れたことからの継続的な回復が主な要因として挙げられています。

では、日本は2026年、どのようにして1位の座を獲得したのでしょうか。日本は2025年、過去最高の4,270万人の海外からの訪問者を迎え入れましたが、その理由の一部は多様化への取り組みです。日本政府観光局(JNTO)は、より幅広い国々からの旅行者を誘致すると同時に、東京、広島、大阪といった主要観光地以外の地方についても積極的にプロモーションしてきました。そして、この戦略は実を結び、2025年の訪日観光客による消費額は597億ドル(9.5兆円)に達しました。

中国を除くと、上位10カ国のうち9カ国が先進国です。また、スペイン、フランス、ドイツ、イギリス、スイス、イタリアといった欧州諸国が上位を占め、これは欧州、ユーラシア地域が全体として最も高い成長率を記録していることを反映しています。

最も急成長している国々

ランキング上位を先進国が占める一方、成長率の面では、他の地域が台頭してきています。

最も著しい成長を記録したのはアジア太平洋(APAC)と中東・北アフリカ(MENA)で、それぞれ3.6%、2.5%の伸びを示しました。また、改善幅が最も大きかった上位10カ国のうち7カ国は、ラオス(+6.1%)、マレーシア(+5.8%)、タイ(+5.6%)など、アジア太平洋地域の開発途上国でした。

データをさらに詳しく分析すると、TTDIの調査で主要な新興観光経済国は2019年以降、トップ20カ国に比べて2倍以上の速さでスコアを向上させており、「競争力のある価格、豊かな自然資産、そしてより持続可能な需要パターン」の恩恵を受けていることが明らかになりました。

国別に見ると、アルバニアが全体として最も著しい改善を見せ、2024年と比較してスコアを7%向上。同報告書によると、観光サービスやインフラ、航空輸送、さらには陸上および港湾インフラの改善が、アルバニアが「高まる観光客の需要を観光の成長へと転換する」一助となったとのことです。

先導するのは文化

上の図が示すように、TTDIは17の柱に基づいて構成されています。各国は各柱ごとに評価され、旅行や観光のための好環境を構築する上での強みと弱みが明らかになります。

2024年から2026年にかけて、これら17の柱のうち14で全体的な改善が見られました。トップは「文化」であり、続いて「観光インフラ」および「航空ネットワークの向上」が挙げられます。

Image: World Economic Forum

文化資源のスコアは2024年の数値と比較して9.6%上昇し、95%以上の経済圏でスコアの上昇が記録されました。同報告書によると、この上昇の一因は、文化遺産を保護するための世界的な取り組みにあります。国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)の世界遺産リストは、2019年の869か所から2026年には972か所に増加しました。また、同報告書は、祭り、舞台芸術、工芸、食文化を認定するユネスコの無形文化遺産登録制度にも言及しています。特に食文化だけでも、161億ドル規模のガストロノミー市場へと成長しているのです。

天然資源のスコアは4.1%上昇し、96%の国で向上しました。自然を基盤とした旅行への関心の高まりが、より多くの農村地域への観光拡大に寄与しており、これは新興国および開発途上国にとっての機会となっています。森林や海岸線、野生生物保護区などの自然資産は、特に開発途上国に多く見られます。天然資源のスコアが上位30位に入る経済圏のうち、20カ国は新興国または開発途上国であり、その多くはラテンアメリカおよびアジア太平洋地域(APAC)に位置しています。

ただし、観光客数の増加が必ずしも各国にとって利益になるとは限りません。同報告書が示すように、今後数年間で最も成功を収める観光地は、成長を慎重に管理し、世界的な混乱に機敏に対応しつつ、「観光客、企業、そして受け入れる地域社会にとって、社会経済的および持続可能性の面でプラスの成果を生み出す」ことができる場所なのです。

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上位10カ国最も急成長している国々先導するのは文化
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