途上国の都市には、固定資産税収入の制約や他の政府階層への依存を踏まえた、持続可能な資金調達策が必要です。
インドのスマートシティ・ミッション(SCM)の経験は、外部資金の動員に大きな変革をもたらしつつあります。
ここでは、代替的な金融メカニズムを通じて政府以外の資金源から資金を調達する都市にとって、4つの重要な成功要因を紹介します。
途上国の大半の都市は、依然として資金不足に苦しんでおり、これが主要な課題の一つとなっています。
インドでは、ほとんどの都市が固定資産税収入に依存していますが、税率引き上げをめぐる政治的な配慮から税収は不足し続けており、連邦政府や州政府からの補助金への依存が高まっています。
こうした収入の大部分は通常、給与やその他の運営費に充てられます。その結果、重要な都市インフラ(道路、送配水網、交通施設、手頃な価格の住宅)やデジタルインフラ(統合指令管制センター、インテリジェント交通管理システム)の整備・改良に向けた資本支出が制約されます。
しかし、インドのスマートシティ・ミッションのように、官民連携(PPP)や地方債など、代替的な金融構造や手段を通じて外部資金をうまく動員した好例もあります。
スマートシティ・チャレンジ
2015年にインド政府が開始したスマートシティ・ミッション(SCM)の主要な目的の一つは、100都市のインフラ事業に共同出資することで、都市が資本支出の制約を乗り越えられるようにすることでした。優先都市と事業はスマートシティ・チャレンジに基づいて選ばれ、参加都市には市民の生活の質を向上させるための具体的な計画の策定が求められました。
SCMの経験は、まさに目を見張るものであり、大きな変革をもたらしました。多様なインフラ事業が実施に移されただけでなく、複数の都市が革新的なPPPや地方債などの手段を通じ、外部資金の動員に成功しています。
インドの50を超える都市で、複合交通ハブ、共通モビリティカード、スマートポールや街路照明、公共自転車シェアリング、屋上太陽光発電、省エネ照明、ごみ発電、公共サービス(水ATM)など、幅広い分野で200件を超えるPPP事業が実施されました。同様に、SCMの取り組みの一環として、12都市が合計350億ルピー(4億2,400万ドル)を超える地方債を発行しました。
都市が外部資金の動員に成功するための主要な基盤として、次の要因が明らかになりました。
1. 適切な分野と事業の特定: 資金動員の対象となる分野(水、都市交通、固形廃棄物など)は、潜在的な投資家の期待に基づいて選定されました。その後、これらの分野の事業は、内在するリスクとリターンを綿密に評価したうえで選ばれました。各地方自治体の競争上の優位性を踏まえ、対象となる分野や事業は都市ごとに異なりました。
2. 広範な準備活動: SCMの設計により、都市は政府補助金を使って準備活動に資金を充てることができました。たとえばPPP事業では、実現可能性調査や詳細な事業報告書の作成に専門アドバイザーを起用すること、民間パートナーの選定に向けた取引の組成や入札プロセスを管理することなどに、十分な注意が払われました。客観的かつ透明性の高い契約を通じて政府と民間部門で事業リスクを分担し、土地や通行権などに関する初期段階のリスクは政府が負担しました。また必要に応じて、質の高い収入を確保するためのエスクロー口座など、革新的な仕組みも提案されました。地方債については、基礎となる資産や事業の特定、地方自治体の財務諸表の更新、債券の組成と信用格付け、引受証券会社やその他の専門家の起用などが、SCMの一環として行われました。
3. 主要な意思決定者と関係者の関与および主導: 成功した都市はいずれも、州政府の主要関係者と選挙で選ばれた市政府の双方から幅広い支援を受けていました。市職員の専任チームが全体の取り組みを期限内に推進し、必要に応じて外部の専門家が支援しました。
4. 支援的な規制環境: 成功したPPP契約では、仲裁など、明確で期限が定められた紛争解決の仕組みが設けられていました。また、地方債の上場基準は、個々の都市の公益事業体や機関による債券発行の容認、応募割当てのロットサイズの縮小、詳細な事業報告書の作成や独立した監視機関の設置など、上場の前提条件となっていた負担の重い要件の撤廃といった措置を通じて簡素化されました。
グリーンアジェンダとの整合
こうした資金動員の選択肢の一部について、その価値提案と魅力をさらに高められる分野がいくつかあります。
世界経済フォーラムは、都市の未来をどのようにより良いものにしているのでしょうか。
都市変革センターは、都市の未来を形作る課題や機会への理解を深めるため、都市のリーダー、企業、政府をつなぎます。
センターは、同業者間の学びと協働を通じて、都市が知見を交換し、共通理解を実践的でレジリエントな都市ソリューションへとつなげられるよう支援します。
第一に、資金動員戦略をグリーンアジェンダに沿わせることが有効です。PPPと地方債のどちらについても、水の再利用や都市の緑化などの分野の事業を盛り込んだ戦略を策定すれば、リターンへの期待が比較的低い気候変動分野に特化した投資家層を引き付けられる可能性があります。そのためには、適切な気候認証機関による事業の認証または評価が必要となりますが、環境面の便益に加えて、より広い普及を促し、資金調達の費用対効果を高めることにつながるでしょう。
第二に、複数の都市で、固定資産税などの納付、ライセンス、許認可といったさまざまな都市機能に関する取引データを収集するデジタル技術基盤がすでに稼働しています。適切に匿名化された取引データを活用するビジネスモデルを支援する特定のPPPも、もう一つの変革をもたらす可能性があります。


