スマートで持続可能なインフラに新たな視点が必要な理由

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  • 都市化、デジタル化、気候変動が世界に及ぼす影響が強まるなか、インフラの計画、整備、管理のあり方を変革する必要性が高まっている。

  • こうした環境下で、より持続可能なインフラを開発するには、建設プロジェクトの計画、整備、管理の方法を変える必要がある。

  • より良いものを建設するために、業界はデジタル化を取り入れ、新たな働き方を確立し、公共部門との連携を強化する必要がある。

空港、高速道路、病院。地下鉄や鉄道網。上下水道、電力、通信のネットワーク。インフラの整備、運用、管理は、あらゆる経済の生命線だ。物資、サービス、エネルギーの流れを維持し、生産性を高め、公平な経済発展と雇用を守るうえで欠かせない。しかし、現在こうした数十億ドル規模のシステムが直面する課題は、非常に大きい。

計画と設計から、建設、管理、保守に至るライフサイクル全体には、数百ものベンダーや関係者が関わり、数十年にわたることもある。さらに都市化、デジタル化、高まる社会の期待、グリーン成長への追求が加わる。今日あるインフラと、新たなインフラの計画、整備、管理の方法の双方を変革する必要があるのは明らかだ。急速に深刻化する気候変動の影響に対し、よりクリーンでエネルギー効率が高く、強靱なものにしなければならない。

「従来型インフラ」から「インフラ4.0」へ

従来どおりの手法だけに頼るのでは、もはや十分ではない。製造業は複数の発展段階を経てインダストリー4.0に到達し、エネルギーの世界では「エレクトリシティ4.0」へと進化した。インフラもまた、最新のテクノロジーと管理手法を最大限に活用する4.0の段階へ進む必要がある。

インフラ4.0とは、デジタル技術を物理的な資産と統合することだ。データを生成、収集、統合、分析することでもある。かつては規模が大きすぎたり、相互のつながりが複雑すぎたりして理解できなかった事柄を、把握し、理解できるようにする。情報共有を容易にし、インフラの専門家から市民、政府、投資家まで、より幅広い人々にとって情報をより有意義なものにする。そして、より協働的な働き方を可能にする。

テクノロジーの導入は、インフラシステムの整備と性能を向上させる鍵となる。Image: 世界経済フォーラム

インフラ4.0を実現するには、次の3つの取り組みが必要だ。

1)デジタルイノベーションを取り入れる

インフラには、21世紀のデジタルイノベーションを取り入れる必要がある。これは、現在建設中のプロジェクトだけでなく、新たなニーズや状況に対応するために拡張、改修、転用される既存インフラにも当てはまる。

他の業界ではすでに、新たなテクノロジーとその利点が積極的に活用されている。一方、マッキンゼー・グローバル・インスティテュートによると、デジタル導入率が建設業より低いのは農業だけであり、建設業は下から2番目だ。

現在は、プロジェクト関係者がデータをより効果的に生成、収集、統合、分析し、大規模プロジェクトの膨大な複雑さをより的確に把握、予測、管理、理解するためのデジタルツールが豊富にある。

人とテクノロジーを効果的に組み合わせ、インフラ資産の整備を効率化することだ。たとえば、エンジニアが設計図に遠隔からアクセスし、更新、共有しやすくするタブレットがある。また、電気シミュレーションソフトウェアは再生可能エネルギー施設の設置を支援する。クラウド型の建設管理ツールは、複数の関係者間の連携を効率化するとともに、開発事業者、建設業者、土地計画担当者に、二酸化炭素排出量を削減するための具体的な知見をもたらす。

インフラには、21世紀のデジタルイノベーションを取り入れる必要がある。

フィリップ・デルモーム(シュナイダーエレクトリック)、マイク・ヘイグ(モット・マクドナルド・グループ)

2)成果を重視した統合的なアプローチを採る

業界で今なお根強い縦割り思考に対処する必要がある。インフラ資産の建設や近代化では、多くの関係者が自らの狭い責任範囲を超えて考えることに苦慮しがちだ。その結果、非効率、プロジェクトの遅延、予算超過につながることがある。

インフラ組織は、システム全体に求められる成果を検討し、同じ視点を持つパートナーと協働するほうがはるかに望ましい。持続可能なインフラに対する、より包括的で体系的なアプローチを育み、デジタル化を活用するには、業界の働き方と関係性を変え、主要な関係者が明確に定めた成果の実現に向けて一丸となる必要がある。これをエンタープライズ・アプローチと呼ぶ。

一例として、アングリアン・ウォーターの4億ポンド規模の戦略的パイプライン・アライアンス(SPA)を挙げよう。これは英国最大級のインフラプロジェクトの一つで、気候変動の影響への対策を進め、将来世代の水供給を確保することを目指す。エンタープライズ・アプローチは、水供給の強靱性と顧客体験の向上、炭素排出量の削減、地域社会と地域経済への好影響といった、主要な全体目標の達成を目指す。ここでは、サプライチェーン・エコシステムのアプローチが採用されている。サプライヤーとの関係は、契約単価ではなく、こうした成果に対してサプライヤーが及ぼし得る影響によって定められる。

持続可能なインフラに対する、より包括的で体系的なアプローチを育み、デジタル化を活用するには、業界の働き方と関係性を変える必要がある。

フィリップ・デルモーム(シュナイダーエレクトリック)、マイク・ヘイグ(モット・マクドナルド・グループ)

3)官民連携を活用する

最後に、官民パートナーシップ(PPP)を改善しなければならない。適切に構築、実施されなければ、成果はまちまちだ。新興企業から大手グローバル企業まで、民間企業は大規模インフラプロジェクトの建設で、ますます積極的な役割を果たしている。追加の資金、デジタルイノベーション、その他の能力を提供し、政府や多国間機関に不足している可能性のある領域を補完できる。

世界経済フォーラムはインフラ分野でどのような取り組みを行っているか?

たとえばドイツでは、連邦道路局が民間企業のコンソーシアムと連携し、アウトバーンA3プロジェクトを進めている。これは同国で発注されたPPPインフラプロジェクトとして過去最大のものだ。6車線の連邦高速道路76キロメートルの計画と拡張を含む。PPPモデルの主な利点は、わずか約5年で迅速に実施することを目指せる点にある。建設サイクル全体をデジタル化し、5Dビルディング・インフォメーション・モデリング(BIM)を活用してすべての関係者をつなぐことで、透明性を高め、より効率的な意思決定を促し、協働を強化している。

A3プロジェクトは、ドイツで発注されたPPPインフラプロジェクトとして過去最大だ。Image: ARGE A3

「従来どおりの建設」から「より良い建設」へ

世界は急速に変化している。近年、都市化が進む一方で、新型コロナウイルス感染症のパンデミックのような突然の大きな衝撃や、気候危機によるますます深刻な混乱が起きている。だからこそ、建設にあたっては、より良いものを迅速かつ効率的に、そして持続可能な形で築かなければならない。

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