グローバル企業は移民労働者をどのように支援できるか

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  • 世界の労働力人口が縮小する一方で、移民労働者の需要は世界的に高まっています。

  • 今日、グローバル・バリューチェーンにおける移民をめぐる課題は、持続可能性と説明責任の要請と深く結びついています。

  • ベストプラクティスの事例が示すように、グローバル企業には有意義な変化を推進する力があります。

世界には推定1億6,900万人の国際移民労働者がおり、これは労働者の20人に1人に相当します。毎年12月18日の国際移民デーは、彼らが世界経済に果たす重要な貢献を称える日です。

この日はまた、多くの移民が直面する差別や搾取、人権および労働者の権利の侵害などの課題を改めて認識する機会でもあります。実際、国連の持続可能な開発目標(SDGs)17項目のうち10項目には、移民と労働者の移動に関連するターゲットや指標が盛り込まれています。

多くのSDGsが移民に関する課題を扱っています。Image: 国連

大きな経済力と国際的な影響力を持つグローバル企業は、グローバル・バリューチェーン(GVC)全体で持続可能な移民管理を推進し、関連するSDGsのターゲット達成に貢献できる独自の立場にあります。

世界的な労働力獲得競争

1970年代以降多国籍企業は、強固な労働力へのアクセスなど複数の基準に基づき、主にGVCを構築してきました。生産拠点は、遠方の経済発展途上国に置く(オフショアリング)か、主要市場に近い周辺国に置く(ニアショアリング)かが選ばれてきました。

21世紀に入り、状況は変化しました。中国では、急速な経済成長により、とりわけコスト効率の高い労働力の供給が縮小しています。同様に、タイやマレーシアなどアジアの多くの国々や、ハンガリーやポーランドなど東欧諸国では、近代化と経済成長が進みました。出生率の低下、国外への移住、高齢化、教育水準の上昇といった社会の変化も相まって、これらの国々の労働市場は大きく様変わりしました。その結果、多国籍企業は、現地の人材だけでは人材不足を解消し、採用ニーズを満たすことが難しくなっています。

工場、天然資源の採掘拠点、物流網など既存のインフラをこれらの国々から移転することは、企業にとってコストがかかり、現実的ではありません。そのため多くの企業は、労働力不足の解消に向け、移民労働者を採用できるよう現地政府との協力に乗り出しました。その結果、ハンガリーで働くフィリピン人、マレーシアのバングラデシュ人、メキシコの中米出身者など、新たな移民の流れが生まれています。

世界の労働力人口が縮小し、移民労働者への世界的な需要が高まるなか、世界の労働力を無制限に供給できるわけではないことが明らかになりつつあります。

私たちは「世界的な労働力獲得競争」という言葉を作り、GVCに不可欠な存在である移民労働者をめぐって企業間の競争が激化していることを表しました。

グローバル・バリューチェーンにおける移民をめぐる課題

国連貿易開発会議(UNCTAD)の投資・企業局シニアディレクター、ジェームズ・X・ザン氏によると、今日のGVCの変化を促す主な要因の筆頭に、持続可能性と説明責任の要請が挙げられます。ここでは、特に差し迫った課題と、それに伴う人的コストに焦点を当てます。

  • 倫理に反する採用。最大80%の移民労働者が仲介業者を通じて採用されており、世界各地で数千の業者が活動しています。こうした業者は、書類の発行、健康診断、渡航手配、海外での労働者の住居管理など、さまざまな業務を担います。採用費用は非常に高額になる場合があります。例えば、欧州への移住を希望するネパール人労働者は、採用業者に約7,000ユーロを支払うことがあります。ネパールの1人当たりGDPを基準にすると、これは欧州の人が採用手数料として約150,000ユーロを支払うのに相当します。この費用を工面するため、労働者は出身国を離れる前から多額の借金を負うことが少なくありません。

  • 労働搾取。移民労働者は職場でさまざまな不安定な状況に直面します。「汚い、きつい、危険な」(3K)仕事に従事することが多く、公正な賃金、職場での保護、労働衛生サービスに関する情報を得られない場合も少なくありません。多くの雇用主はまた、移民労働者が長時間かつ不規則な勤務に応じることにつけ込んでいます。

  • 移民女性。女性移民は、世界の移民労働者の40%超を占めています。セクシュアルハラスメントや搾取など、ジェンダーに関わる固有の課題に直面しています。特に深刻な問題の一つが、妊娠検査の実施です。一部の国では、海外就労への応募要件として妊娠検査を課すことが今も合法です。また、移民労働者が海外で働いている間に妊娠した場合、仕事と収入を失うだけでなく、強制送還のリスクにもさらされる可能性があります。さらに、子どものいる移民女性は、通常、子どもを残して他者に世話を頼るほか選択肢がありません。

グローバル企業の力

グローバル企業は、その経済力と事業展開の広さから、変化をもたらす重要な担い手となり得ます。企業の行動は、自らが統括するGVC全体に影響を及ぼします。どの採用業者と契約するか、どの企業間取引関係を築き、または解消するかを選び、サプライヤーとの交渉で自社の交渉力を生かすことができます。

ここでは、上記の移民をめぐる課題に取り組む企業のベストプラクティスをいくつか紹介します。

  • ユニリーバ、HP、IKEA、コカ・コーラ社をはじめとする大手企業は、「雇用主負担原則」を遵守しています。この原則は採用手数料の請求を禁じ、海外就労を始める前に手数料を支払った労働者への返金を保証するものです。

  • VINCIは、2022年FIFAワールドカップ・カタール大会で移民労働者が直面した雇用上の課題について、包括的な調査を実施しました。ユニリーバ、ロレアル、ソデクソ、シュナイダーエレクトリック、マース、ダノンと連携し、同社の専門知識を活用して、リスクの高い地域で人権を守るための対象を絞ったツールを作成しました。これらのツールは公開されており、他社も利用でき、さまざまな業界に適用できます。

  • Flex、HPをはじめとする大手企業は、移民労働者の権利に関する方針や労働基準を、サプライヤー行動規範および/または企業行動規範に盛り込んでいます。これらの規範は、研修、ガイドライン、契約条件などを通じて、GVC全体に周知されています。

  • ユニリーバなどの企業は、移民労働者に関する方針を含む人権方針を監督する最高人権責任者を任命しています。GVC内で人権リスクにさらされる可能性のある大企業の間で、この取り組みが広がっています。

  • 一部の企業は、GVCにおけるビジネスと人権のデューデリジェンス評価を専門とし、移民に特化したSDGsのターゲットに沿って業務を行うコンサルティング会社を活用しています。代表例として、Equiception、LRQA、TwentyFiftyが挙げられます。

世界経済フォーラムは、職場の公平性をどのように推進しているのでしょうか。

「雇用の未来レポート」2023年版によると、調査対象企業の75%が、今後5年間にAI、ビッグデータ、クラウド技術を導入すると見込んでいます。

新経済社会センターは、新技術の導入と有効性、それらを活用する労働力の準備状況について、リーダーが知見を共有する場を提供しています。当センターは、成長、雇用、スキル、公平性、リスクに関する知見の創出と対話の促進に取り組んでいます。

私たちの活動について詳しくはこちら:

  • ジェンダー平等:2006年以来、毎年101の経済圏におけるジェンダー平等の現状と進展を測定し、ジェンダー格差の解消に最も効果的な政策を意思決定者が特定できるよう支援しています。チリでは、ジェンダー平等アクセラレーターの設立を支援し、72万8,000人の女性に恩恵をもたらしました。参加企業ではジェンダー格差が37%縮小しました。

  • リスキリング革命:パートナーとともに、世界の労働者が将来にわたってキャリアを築けるよう支援しています。350を超える組織と協力し、2030年までに10億人に、より良い教育、スキル、経済的機会を提供することを目指しています。

  • 障害者インクルージョン:Valuable500と連携し、障害者インクルージョンの格差解消に取り組む、世界最大のCEOネットワークと協力しています。メンバーは、デジタルアクセシビリティのベストプラクティスの導入を拡大し、多様性、公平性、包摂性(DEI)戦略に障害者の視点を取り入れることで、前進しています。

  • 人種的公正:私たちは、55の組織からなるグローバル連合と協力しています。13の業界にまたがるこれらの組織は、十分に代表されていない人種や民族的背景を持つ専門職の人々にとって、公平で公正な職場づくりに取り組んでいます。

当センターの活動について詳しく知りたい方、または参加をご希望の方は、お問い合わせください。

グローバル企業が責任ある移民管理に取り組むことには、明確なビジネス上の意義があります。適切に管理されれば、労働移民は、持続可能な開発と進歩の礎となり得ます。その可能性を引き出すことは、すべての人々の利益となるSDGs達成への取り組みを加速するうえで重要です。

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