持続可能性に対するモノのインターネットの影響

A boy cools off under a water spray from Crown Fountain in downtown Chicago
Image: REUTERS/Jim Young
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テクノロジーは何世紀にもわたり、世界の繁栄を牽引してきました。残念ながら、深刻な副作用ももたらしてきました。今日の最も差し迫った課題のいくつかは、技術の進歩が部分的な原因となっています。

次の3つの例を考えてみましょう。

CO2排出。18世紀の蒸気機関の発明は、今日の燃料駆動式モーターや発電機の基礎となりました。これらは人為的なCO2排出を引き起こしており、それが地球温暖化の原因である可能性が高いとされています。

水質汚染。19世紀から20世紀にかけて発明された数多くの化学物質が、水質汚染レベルの上昇の原因となっています。

メンタルヘルスの悪化。自殺率が過去最高水準に達し、若い世代の生活への不満が高まるなか、近年の研究は、スマートフォンなどの機器の使用がメンタルヘルスの悪化の主な原因であることを示しています。

より良い未来のためにテクノロジーを活用する

この40年間、世界では興味深い新たな傾向が見られました。世界をより良い場所にすることだけを目的に、技術が発明され、活用されてきたのです。風力や太陽光などのクリーンエネルギーを中心に、産業全体が発展しました。米国では2013年、風力発電によって、推定9,560万トンのCO2排出が回避されました。これは、道路を走る自動車1,690万台分に相当すると、米国風力エネルギー協会は推計しています。

今日では、世界をより良い場所にすることを目指す組織が数多く存在します。米国の自動車メーカー、テスラの主な使命は「世界の持続可能なエネルギーへの移行を加速する」ことです。創業者のイーロン・マスクは、CO2削減が重要な目標だと強調しています。彼は、自らの使命への参加に意欲を持つ、忠誠心の高い従業員を集めてきました。他社は持続可能性への取り組みにおいて、これほど大胆ではないかもしれませんが、最高サステナビリティ責任者(CSO)の役職を設けたり、持続可能性のガイドラインに基づいてサプライヤーを監査したりすることは、一般的になっています。

2030年に向けた世界の取り組みを効率化する

2015年9月、国連総会に参加する194か国は「持続可能な開発のための2030アジェンダ」を採択しました。これには17の持続可能な開発目標(SDGs)が含まれ、加盟国は進捗の測定に活用できます。

この文脈において、世界経済フォーラムの「デジタル経済と社会システム・イニシアチブ」が掲げるビジョンは、包摂的で信頼でき、持続可能なデジタルの未来を実現することです。モノのインターネット(IoT)は重要な重点分野です。マッキンゼーによると、IoTは2030年までに見られる最も大きな影響をもたらす技術的進歩の3つのうちの1つです。同社は、2025年までにIoTの経済効果が約11.1兆ドル、つまり今日の世界GDPの14%に達すると予測しています。

IoTの経済効果にとどまらず、フォーラムはIoTが社会や国連の持続可能な開発目標(SDGs)に及ぼす影響を調査しています。以下に、この調査から得られた2つの結果と、事例を紹介します。

結果1:モノのインターネットは、持続可能性を大きく変える可能性がある

現在のIoTプロジェクトの多くは、SDGsと国連の2030年に向けた使命の達成に貢献できます。IoT調査会社IoT Analyticsとの協力で実施した、640件を超えるIoT導入事例の分析では、既存のIoT導入事例の84%がSDGsの達成に取り組めることが示されました。

興味深いことに、これらのプロジェクトの75%は、次の5つのSDGsに集中しています。

#9 産業と技術革新の基盤をつくろう(25%)

#11 住み続けられるまちづくりを(19%)

#7 エネルギーをみんなに そしてクリーンに(19%)

#3 すべての人に健康と福祉を(7%)

#12 つくる責任 つかう責任(5%)

IoTがこれほど大きな影響をもたらすのはなぜでしょうか。その本質は、これまで接続されていなかった「モノ」を測定し、遠隔制御することにあります。従来の技術では届かなかった人々や物体にも働きかけます。

たとえば、先住民の人々が暮らす地域で安全な水を確保する遠隔水質監視ソリューションや、中国の都市で総消費電力を半減させるスマート照明の取り組みがあります。

結果2:現在の成功事例を拡大することが重要な課題

分析対象となったIoT導入事例の95%は、小規模または中規模です。大規模または超大規模なものはごくわずかです。

なぜほとんどのプロジェクトは小規模なのでしょうか。IoT市場はまだ黎明期にあります。プロジェクトがまだ大規模に拡大していない理由はさまざまです。ここで大規模とは、少なくとも100万人に影響を及ぼし、複数の産業が関わり、大陸全域で展開されることを指します。

技術面では、機器間の相互運用性の課題や、ITバックエンドの違いが拡張を妨げています。商業面では、持続可能なIoT導入のための予算が現在、極めて限られています。主に「イノベーションおよびデジタルプロジェクト」関連の企業資金から賄われているためです。規模が大幅に大きい通常の事業損益(P&L)予算によって、こうした小規模な導入が大規模展開へと発展するには、まだ時間がかかるでしょう。

事例:持続可能な開発に向けたIoTプロジェクト

シカゴの「スマート・グリーン・インフラ監視」プロジェクトは、インフラ投資のための資本計画をより適切な情報に基づいて行うことで、都市洪水の軽減と財産被害の防止に貢献しています。シカゴのCity Digitalが開発しました。

脆弱な立場にある人々に明確に焦点を当てていること、また拡張性があることから、このプロジェクトはIoTによる持続可能性への影響がかなり大きいと評価されています。プロジェクトは5つのKPIに照らして採点されました。すなわち、プロジェクトの規模、SDGターゲットへの到達度、SDGターゲットへの影響、拡張性と再現性の可能性、脆弱な立場にある人々への注目度です。結果と、その他の示唆に富む事例研究は、http:/wef.ch/IoT4D

機会を活かすには:今後の方向性

持続可能な開発課題への対応を主な優先事項とするIoTプロジェクトは重要です。しかし、商業主導のプロジェクトで持続可能性の目標を優先することで、さらに大きな効果が得られる可能性があります。私たちがインタビューしたプロジェクト責任者の幹部の多くは、自らのプロジェクトと持続可能な開発目標との直接的なつながりを必ずしも認識していません。それでも調査によると、IoT導入事例の84%がSDGsの達成に取り組んでおり、その70%は民間部門が主導しています。

さらに、その75%は、最も収益性の高い産業用途の一部に対応する5つの目標に集中しています。このことは、これらのプロジェクトが持続可能性に大きな影響を与えているのは、ほとんど意図しない結果であり、少なくとも主な推進要因ではないことを示唆しています。

IoT導入を設計するステークホルダーへの提言

持続可能性への意識を根付かせる文化を育むことが不可欠です。持続可能性への影響を最大化するためだけでなく、商業的な機会を活かすためにも必要です。分析対象となったプロジェクトの95%は小規模または中規模です。その多くは、商業的に最も有望な産業のうち、取り組みが最も集中している5つの分野で、少なくとも成功を収めています。こうしたプロジェクトの一部を大規模または超大規模に拡大する機会があります。

持続可能性の目標を特定し、影響測定の枠組みを採用することで、これまで十分に取り組まれていない分野に成功事例を展開する機会が明らかになります。

調査によると、SDG 2「飢餓をゼロに」、SDG 4「質の高い教育をみんなに」、SDG 15「陸の豊かさも守ろう」、SDG 14「海の豊かさを守ろう」などに焦点を当てたIoT導入事例は比較的少数です。上位5つのSDGsに焦点を当てる成功事例の一部を、IoTソリューションがあまり展開されていない分野で社会的な効果をもたらすために再現できる可能性があります。これにより、新たなビジネス機会が生まれるでしょう。

IoT関係者、とりわけ民間部門において、商業プロジェクトの設計に持続可能性の目標を組み込む新たな考え方を育む必要があります。持続可能性は、CSR部門だけの専権事項ではありません。事業、投資、協力に欠かせない柱です。商業的価値を生み出し、さらに高める可能性を保ちながら、社会的な効果を最大化します。

追加情報:IoT持続可能性イニシアチブの詳細については、インタラクティブな調査ページをご覧ください。

調査結果を踏まえ、持続可能なIoTの導入を加速するため、フォーラムは一連の持続可能性のためのIoTガイドラインを公表しました。これらは、1月23日から26日にダボスで開催される2018年世界経済フォーラム年次総会で議論される予定です。[KLL4]。これらのガイドラインは、協力モデル、インフラ投資、革新的なビジネスモデルなど、今日の最も差し迫った課題のいくつかを取り上げています。

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