2015年から2025年にかけて、世界で約7億5,000万人が都市に移り住むと予測され、消費者層の拡大につながります。中国、インド、ブラジルなどの新興国で進む都市化は、今後10年間の経済成長を牽引する最大の要因となるでしょう。
その一例として、中国のGDPに占める消費支出の割合は、2008年の約36%から2030年までに49%へと大幅に上昇すると予測されています。
同様にインドでは、2004年から2012年までの8年間で、中間層の人口が3億人から6億人へと倍増しました。この成長は、人々が消費する食料の量や種類にも影響を及ぼします。中国、インド、その他のアジア諸国、アフリカを含む開発途上経済は、将来の世界的な食料需要の増加分の35%を占めると予測されています。これらの国々では人口が増えると同時に、動物性たんぱく質をより多く摂取する食生活への移行が進むためです。
こうした傾向に、持続不可能な農業生産慣行が重なると、対策を講じなければ環境に悪影響を及ぼすおそれがあります。特に、牛肉、大豆、パーム油など、森林破壊に結びつく商品が問題です。現在、中国とインドという主要な新興市場の輸入国と、ブラジルとインドネシアという生産と消費の両方を担う国々は、これらの商品の一部について、世界需要の最大40%を合わせて占めています。この割合は2025年までにさらに高まると予測されています。
AlphaBetaの推計によると、従来どおりの生産シナリオでは、これらの国々に起因する森林破壊が、2015年の85万5,000ヘクタールから2025年までに99万ヘクタールへ増加する可能性があります。この規模をイメージすると、ジャマイカと同じ面積、あるいはサッカー場約100万面分の森林が、毎年失われることに相当します。
しかし、持続可能な調達に真摯に取り組めば、森林由来の商品への需要が増えても、森林破壊をさらに進めずに対応できます。森林破壊に結びつく商品の総需要が大きい中国に焦点を当てると、関係者が持続可能な調達をさらに推進するために実行できる対策は数多くあります。これらの知見は、AlphaBeta、ポールソン研究所、TFA2020が北京で開催したワークショップに基づいています。参加者には、国際機関、民間セクター、政府系シンクタンクの著名な関係者が含まれていました。
まず参加者は、企業が参照できるガイドラインと「持続可能な調達」の定義を策定するうえで、政府が果たす重要な役割を強調しました。この点で有望な取り組みの一つが、中国の木材合法性検証システムです。同システムは、国内における木材および木材製品の合法性を規制します。森林管理の段階から流通過程全体にわたり、木材製品を管理するための要件を定めています。
次に、産業界、特に金融セクターは、持続不可能な調達方法を考慮した、より高度なリスクモデルの開発や、より持続可能な慣行へのインセンティブ付与において重要な役割を果たせます。また、持続可能な調達に関する業界横断的なコミットメントを確立するため、民間セクターが主導する必要もあります。その一例が「中国持続可能な食肉宣言」です。中国食肉協会と企業が、持続可能な食肉の生産、取引、消費を促進することを約束しています。
最後に、市民社会にも、持続可能性の重要性について消費者の理解を深め、輸入業者が持続可能な調達に取り組む能力を高める支援をする明確な役割があります。例えば、世界自然保護基金などの団体は、中国のパルプ・紙産業における持続可能性を推進するため、中国人女優のファン・ビンビンのような著名人を起用し、有望な成果を上げています。
デジタル技術の革新は、さまざまな関係者の取り組みを後押しできます。例えば、ブロックチェーン技術を使って輸出品を追跡すれば、トレーサビリティが向上し、出荷ロット全体が持続可能な管轄地域から調達されたことを確認できます。また、モノのインターネット(IoT)技術を通じて得られる消費者の知見は、電子商取引企業が特定の森林破壊関連商品について対象を絞った情報発信を行い、消費者の認識を高めるのに役立ちます。さらに、土壌特性のばらつきを考慮する精密農業技術は、生産効率を高め、追加の土地への需要を抑えられます。
新興国は、持続可能なサプライチェーンの実現に重要な役割を果たします。これらの市場の政府は、民間セクターや非政府組織など、さまざまな関係者と連携して、より持続可能な消費のあり方へと移行できます。



