画期的な動きとして、アフリカ連合の国家元首らは、大陸初となる「社会的連帯経済に関する10カ年戦略」を採択した。
援助が縮小し財政余地が狭まるなか、アフリカ各地の社会的企業はすでに重要な不足を補い、雇用を創出し、サービスを改善し、十分な支援が届いていない地域社会で包摂的な成長を促している。
社会的連帯経済を大規模に展開するには、包摂的でインパクト主導のモデルを支えるため、政策、資本、インフラ、そして国際的な影響力を連携させる必要がある。
2025年2月、アフリカ連合(AU)の国家元首らは、大陸初となる「社会的連帯経済に関する10カ年戦略(SSE)」を採択した。これは、アフリカ全土で包摂的かつ地域社会に根ざした経済モデルを制度化するという画期的な約束である。試行段階から政策へ、認知から実施へと移行することを示している。
同年5月には、ハイレベル円卓会議がナイロビで開催され、「アフリカの社会的連帯経済を解き放つ」をテーマに、アフリカ各国政府、南アフリカのG20議長国、民間部門、市民社会のリーダーが集まった。AUの10カ年戦略の実施に焦点を当てた。
この動きは、構造的な課題が相次ぐなかで起きている。
例えば、アフリカは世界で最も若年人口の多い大陸だが、5,300万人を超える若者(5人に1人以上)が就労も就学もしていない。サハラ以南アフリカでは、最富裕層の10%が所得の55%超を占めており、多くの国が世界でも最も格差の大きい国々に数えられる。
干ばつから洪水まで、気候リスクは高まっている。大陸は気候ショックの激化に直面し、その影響はしばしば公的な仕組みの支援が届きにくい地域に及ぶ。
一方、国際開発システムも大きな衝撃に直面している。世界の政府開発援助は、今年7.1%減少し、複数のアフリカ諸国が債務危機に苦しみ、政府予算の柔軟性も低下している。
民間資本は拡大しているものの、依然としてリスク回避的で、都市部や高収益分野に集中している。
これは単なる資金危機ではなく、システム全体の転換点である。従来型のトップダウンで援助主導のモデルの限界が、ますます明らかになっている。アフリカで社会的連帯経済への関心が高まっていることは、拡張可能で包摂的かつ未来志向の仕組みへ、意図的かつ戦略的に移行していることを反映している。
さらに、アフリカの社会的連帯経済への移行は、単なる懐古ではない。拡張可能で包摂的かつ将来に備えた仕組みへと向かう戦略的な動きである。
必要なのは資金の増額だけではなく、資本の仕組み、配分、成果測定のあり方を根本から見直すことだ。
構造的に異なる開発モデル
社会的連帯経済(SSE)は、社会的企業、協同組合、相互扶助組織、そして社会、環境、経済の目標をトレードオフではなく一体的に追求する、使命主導型の組織から成る。
こうした主体は、公的・民間の従来型システムが限られている、あるいは存在しない脆弱な地域、農村部、十分な支援が届いていない地域で活動することが多い。
SSEモデルの構造的な強みには、次のようなものがある。
包摂的な雇用創出:SSEは若者や女性の雇用を生み出す。特に、人を中心とするサービスに依存し、自動化の影響を受けにくい分野で雇用を創出し、最も必要とされる場所に機会を広げる。
地域社会主導の資本循環:収奪型のビジネスモデルとは異なり、SSEは余剰を地域に再投資し、経済のレジリエンスをさらに高める。
システム間の連携:活動は雇用創出、サービス提供、気候変動への適応など複数の目標にまたがることが多く、複雑な開発環境に適している。
地域に根ざし、システム全体と連携
シュワブ社会起業財団と世界経済フォーラムによる報告書は、世界には1,000万の社会的企業があり、収益は2兆ドル、雇用者数は2億人を超えると推計している。その2社に1社は女性が率いている。こうした企業は若者を雇用し、十分な支援が届いていない人々にサービスを届け、利益を地域に再投資する傾向が強い。アフリカ各地では、社会的企業がすでに大規模に活動し、測定可能な成果を上げている。
バッバン・ゴナ
ブロードリーチは、政府機関との連携で展開したAI駆動型データプラットフォームを通じ、数百万人のHIV・結核医療を改善し、公衆衛生システム全体の効率とサービスの質を高めてきた。エソコ
はガーナでモバイル技術を活用し、アフリカ20カ国以上の農家200万人に市場と気候のリアルタイムデータを提供している。これにより所得の安定性と気候レジリエンスが高まっている。こうした組織は、恒常的な助成金に依存していない。厳しい環境下で活動し、デジタルツールを活用し、収益を生み出し、大規模に公共的価値を創出している。
アフリカの社会的連帯経済(SSE)を解き放つためのハイレベル円卓会議に、90人のリーダーと専門家がナイロビに集まった。

AUの戦略は、アフリカ各地で高まる勢いを土台としている。
モロッコ
とセネガルはSSEを支援する専任の政府機関を設置し、社会的連帯経済の担い手を若者の雇用や金融包摂の政策課題に組み入れている。また、SSEの制度化に向けたハイレベルの政治的約束も行っている。南アフリカは、G20議長国としての任期の中心に「
連帯、公平性、持続可能性」を据え、包摂的な経済モデルを世界のマクロ経済対話に組み込んでいる。アフリカは現在、欧州連合と並び、SSEをめぐる地域政策の連携を実現した数少ない地域の一つである。今後の課題は、政策上の表明をシステムの変革へとつなげることだ。
インパクトに資本を結びつける
政治的な機運が高まる一方、資金調達はSSE拡大の最大の弱点であり続けている。実績のあるSSEの担い手は、従来型の援助が縮小し、新たな資金源もニーズに合っていないため、依然として成長資本を利用できない。
必要なのは資金の増額だけではなく、資本の仕組み、配分、成果測定のあり方を根本から見直すことだ。
社会的連帯経済は周辺的な話題ではない。拡張可能で実績のある解決策であり、今こそ政策、資本、政治的意思による本格的な支援を必要としている。
援助資金の流れが縮小する一方、SSEの強い使命との整合性、高いインパクト、費用対効果の高いサービス提供にもかなう代替的な資本が、アフリカにますます流入している。
例えば、インパクト投資は
2024年に世界全体で1兆5,000億ドルを超え、投資家の50%超がアフリカでの投資ポートフォリオ拡大を計画している。ブレンデッド・ファイナンスやソーシャルボンドも拡大しており、公的資金や慈善資金を活用してリスクを軽減し、民間投資を呼び込んでいる。雇用、教育、医療の成果に支払いを直接結びつける成果連動型資金も、支持を広げている。2025年のシステム変革に向けた5つの優先事項SSEの可能性を最大限に引き出すには、次の5つのシステム的介入が重要である。
1. SSEを国家開発政策とその実施に組み込む
政府は、法律でSSEの担い手を定義し、税制優遇を設け、専任の省庁部局を設置することで、認知から全面的な統合へと進まなければならない。
特に、社会的調達、優遇契約、地域のイノベーションを促す共同融資を通じて、若者の雇用、医療、グリーン経済のプログラムにSSEの担い手を組み込むべきである。
2. 社会的価値の創出に資金の流れを合わせる
慈善団体、開発金融機関、政府は、断片化した助成金の提供から、SSEのニーズに合わせた、長期的で柔軟かつインパクト主導の資本へと移行しなければならない。
これには、担保が少なくインパクトの大きいモデルに適した運転資金やブレンデッド・ファイナンスが含まれる。成功は、金融収益だけでなく、提供された公共財によって測るべきである。
3. エコシステムのインフラとエビデンスに投資する
市場が信用情報機関や物流システムに依存するように、社会的連帯経済にはデータ観測機関、能力強化拠点、成果追跡ツールが必要である。政府とパートナーは、規模拡大を可能にする共通インフラ、すなわちデジタルプラットフォーム、法務ツールキット、インパクト指標に投資すべきだ。
間もなく発表される
「アフリカの社会的企業の現状」
報告書は、効果的な政策と投資のためのエビデンス基盤を築く重要な一歩となる。シュワブ社会起業財団、世界経済フォーラム、モツェペ財団などのパートナーが協力して作成し、2025年に発表される予定だ。4. G20などの国際的な場を活用し、政策と国際金融の規範を形づくる南アフリカのG20議長国就任と、AUが新たに常任議席を得たことを通じた2025年のアフリカのリーダーシップは、世界の経済ガバナンスに影響を与える大きな機会をもたらす。
気候変動ファイナンスから債務改革まで、包摂的で持続可能な開発を実現する有効な解決策として、SSEモデルを世界のマクロ経済に関する議論に取り上げるべきである。
社会的連帯経済を政府が解き放つための5つの方法はこちらをご覧ください。
5. テクノロジーを活用し、社会的・経済的包摂を加速するテクノロジーはアフリカのSSEを可能にする重要な手段である。最も支援が届きにくい地域に届くモバイルツールから、公共サービスの提供を改善するデータプラットフォームまで、その活用の幅は広い。
アフリカのテクノロジー・エコシステムへの投資は、社会的価値を拡大し、デジタル公共インフラを強化し、十分な支援が届いていない地域でアクセスを広げるSSE組織と包摂的なイノベーションに向ける必要がある。
構想から行動へ
アフリカの開発課題は根深く、システム全体に働きかける解決策を求めている。公的財政が逼迫し援助が縮小するなか、地域の主体性、財政的な持続可能性、実際の成果を軸とする新たな開発の考え方が生まれつつある。
社会的連帯経済は周辺的な話題ではない。拡張可能で実績のある解決策であり、今こそ政策、資本、政治的意思による本格的な支援を必要としている。
本稿には、シュワブ社会起業財団ディレクター兼世界経済フォーラム財団部門責任者のフランソワ・ボニチ博士、および世界経済フォーラムのシュワブ社会起業財団アフリカ担当スペシャリスト、ダンソン・ギチニも寄稿している。
アフリカの社会的連帯経済が開発を変える
アフリカでは政策、資本、イノベーションを通じて社会的連帯経済が拡大し、雇用、公平性、気候変動対策を支える包摂的で強靱な仕組みを築いています。


