本記事は、 シリーズの一部であり、 「 持続可能な開発のためのグローバル目標」に関するもので、 ストックホルム・レジリエンス・センターとの協力により制作されています。本記事では、目標13 – 気候変動とその影響に対処するための緊急対策を講じることに焦点を当てます。
持続可能な開発目標のうち目標13は、気候変動とその影響に対処するための緊急対策を講じることを目的としています。13という数字を迷信的に気にするかどうかにかかわらず、気候変動は一部の人々にとって本当に不運をもたらすものです。この問題を抑制できなければ、すべての人々にとって壊滅的な影響を及ぼすでしょう。ここでは、懸念される5つの分野を紹介します。
気候変動による深刻な影響は、すでに起きています。 世界の平均気温の上昇は「わずか」0.85oCにすぎませんが、すでに極端な気象の変化が見られ、これが最も深刻な影響を引き起こしています。欧州、アジア、オーストラリアでは、熱波の頻度と強度が増加しています。地球規模の水循環は強まっています。欧州と北米を含め、世界各地でより多くの雨や、より激しい雨に見舞われる地域が増えており、一方で一部の地域では干ばつの期間と強度が増加しています。北大西洋では、激しい熱帯低気圧の活動が増加しています。
出典: Jakob Trollbäck
極地の氷床は加速的に融解しています。 温暖化する海洋とともに、これにより海面上昇が加速しています。沿岸部の洪水の頻度はすでに増加しており、海面が10cm上昇するごとにおよそ3倍になります。急速に都市化が進む世界では、最大規模の都市の多くとその重要なインフラが、脆弱で標高の低い沿岸地域に位置しています。今世紀末までに1メートル以上の海面上昇(気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が推定した範囲の上限)が起きれば、数千万から数億人の生計が脅かされ、世界経済に大混乱をもたらすでしょう。
急激かつ不可逆的な変化のリスクが差し迫っています。 おそらく、急速に変化する気候システムにおける最も危険な側面は、大規模な転換点を越えるリスクです。それは人間の福祉に深刻かつ直接的な影響をもたらすだけでなく、気候システムに強力な増幅フィードバックを引き起こし、気候変動そのものをさらに加速させる可能性もあります。私たちは気候システムにおけるいくつかの重大な転換点に近づいています。具体的には、グリーンランドの氷床の不可逆的な融解(海面を7メートル押し上げるのに十分な水量を保有)、永久凍土の融解によるCO2とメタンの大規模な排出(2100年までに人類の炭素排出量25年分に相当する量が大気中に放出される可能性)、そしてアマゾン熱帯雨林のサバンナへの移行です。
気候変動は脅威を増幅させる要因です。 気候変動の影響は、貧困、経済的ショック、不安定な政府などの他のストレス要因を悪化させ、危機をさらに深刻にする可能性があります。例えば、極端な気象現象の増加は食料供給を減少させる可能性があります。干ばつは2008–2009年および2010–2011年の食料価格高騰の一因となり、おそらく社会政治的安定に影響を与え、中東における食料暴動の一因にもなりました。
気候変動について学べば学ぶほど、そのリスクはより大きく見えてきます。 2001年から2014年までの期間にわたる、直近3回のIPCC報告書の比較分析によれば、科学が進歩するにつれて、リスクに対する私たちの評価も変化することが示されています。極端な気象による深刻な影響、開発途上国や貧困層への不均衡な影響、そして独自の生態系や種への脅威は、10年前と比べて今やより大きな懸念となっています。「安全」な気候変動の水準としての2oC政策目標の科学的根拠は、10年前に比べて現在は弱まっており、1.5oCの上限に関する科学的根拠は、現在の私たちの理解水準とより整合しています。
気候変動は単なる環境問題をはるかに超えるものであり、食料と水との私たちの関係を根本から変えます。食料と水は、私たちの福祉や、ほぼすべての他の生命形態の存続にとって不可欠です。私たち人類は、数千年にわたって存在してきた比較的安定した気候に合わせて、文明全体を築き、最適化してきました。その気候は今まさに急速に変化しています。温室効果ガスの排出を抑制するための緊急かつ効果的な行動がなければ、気候変動の長期的な影響は、現在73億人以上が暮らす地球に対して、大規模で急激かつ混乱をもたらすものとなりかねません。そして、その全員が、人間らしく安全な生活水準を望み、期待し、それを享受する権利を有しています。
目標13を正しく達成できなければ、他のすべての目標にとっても不運となるでしょう。
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執筆者:Will Steffen、オーストラリア気候評議会評議員、オーストラリア国立大学名誉教授、ストックホルム・レジリエンス・センター上級フェロー
本シリーズのゲスト編集者は、ストックホルム・レジリエンス・センターおよびFuture Earthの国際メディア・戦略担当ディレクターであるOwen Gaffneyです。
画像:2010年1月22日、東南極のデュモン・デュルヴィル(Dumont d’Urville)にあるフランスの基地付近の氷の上に立つアデリーペンギン。REUTERS/Pauline Askin




