統合モード運賃とは、乗客が1枚の乗車券またはカードで、電車やバスなど複数の交通手段を利用できる運賃制度です。これは貧困削減に重要な役割を果たします。特に、仕事、学校、診療所などへ向かう際に複数の運賃を負担できない低所得の交通利用者にとって、この仕組みは不可欠です。
世界各地の多くの地方自治体が、低所得者の負担を軽減する方法として統合モード運賃を導入しています。しかし、こうした制度の設計には、統合対象となる都市交通手段をきわめて綿密に分析する必要があります。設計が不適切だと非効率を招き、政府、ひいては納税者が負担しなければならない多額の補助金につながる可能性があります。
統合運賃制度の設計と導入に向けた準備のポイントをいくつか紹介します。
交通手段によって運行効率には差があり、運賃やサービス水準をめぐる競争を促さない路線を運行している場合もあります。これはバスでよく見られるため、統合運賃システムを導入する前に、路線の合理化を検討すべきです。
多くの大都市圏では、バス路線網が最適化されておらず、フィーダー路線、幹線、急行路線に分かれています。その結果、区間の長さがまちまちな、寄せ集めのようなサービスが生まれ、CO2にも配慮されていません。こうしたバス路線網は補助金で維持されていることが多い一方、より効率的な交通手段(民間所有であることが多い)の路線と並行し、競合しています。
統合運賃制度の適用範囲は慎重に精査する必要があります。大都市圏内に、異なる水準の統合運賃を適用するリングを1つ以上設ける必要があるかもしれないためです。
バンや相乗りタクシーなどのフィーダー交通も、利用者が大量輸送機関にアクセスできるようにするうえで重要な場合があります。
あらゆる交通手段で不正は発生します。制度設計者は、リスクが最も高い箇所を調べ、詐欺防止策を計画しなければなりません。
1つまたは複数の交通手段で運賃逃れが起きれば、補助金の負担が増す可能性があるため、速やかに対処する必要があります。
利用者が支払う運賃とは別に、事業者に支払う運賃水準は、各システムが少なくとも長期的な変動費を賄えるよう設定すべきです。
システムが過負荷になっている場合、ピーク時とオフピーク時の料金設定を検討すべきです。
優れた事業者が報われ、効率の低い事業者にはペナルティが科されるよう、インセンティブを導入する必要があります。
統合運賃の解決策は、優れたスマートカードを導入するだけだと考えられがちです。もちろん優れたスマートカードは必要ですが、主な課題は技術面ではありません。より重要なのは、システムの理念がスマートカードに適切に反映されることです。また、会計や説明責任に関する次の側面も検討しなければなりません。
すべての事業者に対し、乗客数に応じた精算金を速やかに支払う精算機関の仕組み
独立性と信頼性を備えた監査・モニタリングの仕組み
事業者が苦情を申し立てられる救済・仲裁の仕組み
各交通事業者へのサービス対価について合意を確保するには、大都市圏交通局など、何らかの地域調整機関が必要です。対価は、公定運賃(政府が定める利用者の実費負担運賃)または事業者受取運賃となります。事業者受取運賃とは、政府と民間または公的なコンセッション事業者が、コンセッション契約で合意した料金です。
各交通事業者の義務は、コンセッション契約、または公営事業者の場合は契約プログラムに、明確に定めなければなりません。報奨とペナルティも明記する必要があります。
しかし、統合モード運賃システムで最も重要なのは、補助金が期日どおりに支払われることを保証する、信頼できる資金調達の仕組みが存在することです。これは法律で定めることも、銀行保証によることもできます。補助金が支払われない、あるいは支払いが遅れると、サービス水準の低下を招き、しばしばサービスの全面的な劣化につながります。
適切に計画・実施された統合モード運賃は、より効率的で利用しやすい交通システムを実現し、すべての乗客、とりわけ支援を最も必要とする低所得者に恩恵をもたらします。
この記事は当初、 世界銀行「Transport for Development」ブログに掲載されました。
本記事の掲載は、世界経済フォーラムが見解を支持することを意味するものではありません。
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著者:Jorge M. Rebelo氏は、世界銀行(WB)の元主任運輸専門官で、大量輸送および貨物物流のコンサルタントとして活動しています。
画像:カリフォルニア州オークランドのロックリッジ駅で、乗客がベイエリア高速鉄道(BART)の列車に乗り込む。REUTERS/Robert Galbraith




