サンフランシスコのバイオテクノロジー企業が、 サイの角をめぐる密猟を防ぎ、絶滅から救う方法を見つけた可能性があります。角の需要が高く、サイは絶滅するまで狩られる危険にさらされています。米国の新興企業Pembientは、安価な角の複製品を3Dプリントして密猟者が市場で太刀打ちできない価格を実現し、需要を抑えるという独創的な方法を考案しました。ケラチンとサイのDNAで作られた合成の角は、本物と同じ遺伝的指紋を持ちながら、価格はわずか8分の1です。
しかし、3Dプリンティングの恩恵を受けるのは絶滅危惧種のサイだけではありません。この革新的な新技術が世界をより良い場所に変えている、ほかの10の方法を紹介します。
触れて楽しめる写真
目の不自由な人や視覚障害のある人が、写真を「見る」機会を得られるとしたらどうでしょう。カリフォルニアの企業Pirate3Dは、Buccaneerという手頃な価格の家庭用プリンターを通じて、それを可能にしました。利用者は写真を3D版として印刷し、 触ってその姿を確かめることができます。3D画像の利点はそれだけではありません。エストニアの企業Wolfprint 3Dのおかげで、妊婦も今では、 生まれる前の赤ちゃんの3Dモデルを作成できます。
一人ひとりに合わせた身体部位
3Dプリンターはカスタマイズが可能なため、個人のニーズや違いに合ったインプラントを、近い将来、作れるようになるでしょう。つまり、骨のインプラントから義肢、歯科医が使う器具まで、あらゆる面で より優れた身体部位 が実現するということです。
骨折に使う軽量ギプス
Cortex外骨格ギプス は、従来の石膏ギプスに代わる、軽量で洗浄可能、通気性があり、リサイクル可能な選択肢です。従来品より着け心地がよく衛生的なだけでなく、患者の骨折部位のX線画像と3Dスキャンに基づいて、その形に合わせて作られます。
医療の進歩を加速
3Dプリンティング技術によって、 医療における新たな発見がより早く実現するでしょう。新しい試作品をより短時間で作れるようになるためです。これにより、研究に費やす時間と費用を大幅に節約できます。カスタマイズしたインプラントをすぐに作れるプリンターの登場により、病院や救急外来での死亡率は低下すると予想されています。
より強く、安全な乗り物
すでに一部の自動車メーカーが製品の強度と安全性を高めるために3Dプリント部品を使っており、航空会社がこれに続く日も遠くないでしょう。3Dプリント部品を使って航空機を製造すれば、 機体をより軽く、より強くできます。また、よりクリーンで燃費効率の高い航空機にもなります。
より優れた、クリーンな工場
走行可能なプラスチック製自動車を44時間で3Dプリントしたこと は、自動車メーカーが車全体を一体型で3Dプリントできる新時代の到来を告げています。これにより組み立てラインの効率が高まり、必要な工場労働者の数が減り、業界が生み出す廃棄物も少なくなるでしょう。
設計と革新を加速
設計・製造の世界では、新型車から食品、衣料品まで、あらゆるものをより速く設計できるようになり、 製品をより早く市場に送り出す助けになります。3Dプリンターは時間と費用を節約できるため、設計者は発明品の機能を効率化することに、より多くの注意を払えるようになります。
輸送による汚染を軽減
将来、オンラインで注文した商品を受け取れる場所として、街なかの大通りやショッピングセンターに3Dプリント店が広がるかもしれません。これにより、世界中に輸送される商品の数が大幅に減り、 電子商取引のカーボンフットプリントを削減できるでしょう。
教育の向上
教育、とりわけ科学、技術、工学、数学は、3Dプリンティング技術から大きな恩恵を受けるでしょう。すでに3Dプリンターを設置している学校もありますが、小売価格が下がり続けるにつれて、その数は増えるでしょう。低価格で高速なプリンターは、 学校の科目をこれまで以上に興味深いものにし ます。
小さなパッケージの大きな可能性
ハーバード大学の研究者たちは、「砂粒より小さい」リチウムイオン電池を3Dプリントする方法を発見しました。こうしたマイクロバッテリーは、医療用インプラントから昆虫のような小型飛行ロボットまで、 さまざまな小型機器の製造に利用できます。
著者:Anna Bruce-Lockhart、デジタル編集者、世界経済フォーラム
画像:2015年5月28日、中国湖北省武漢市の病院で、交通事故により4歳のときに左手の一部を切断した6歳のXiaochengさんが、3Dプリント義手で紙コップをつかむ様子を実演している。REUTERS/Stringer
