社会的企業は2億人を超える雇用を生み出し、持続可能な開発に向けた重要な取り組みを担っている。
世界の社会的企業では2社に1社が女性によって率いられているのに対し、従来型企業では5社に1社である。
社会的企業は経済面、社会面で影響をもたらしているにもかかわらず、依然として代表性も支援も不十分だ。しかし、新たな規制や投資によって、こうした状況への対応が進みつつある。
この記事はForbesに掲載された。
シュワブ財団の社会起業家グローバル・アライアンスによる初の調査で、世界には約1,000万の社会的企業があり、合計で年間約2兆ドルの収益を上げ、2億人を超える雇用を生み出していることが明らかになった。この分野の年間収益は、通信やアパレルなど、他の主要産業を上回る。さらに、社会的企業は持続可能な開発目標(SDGs)に沿った使命を掲げ、とりわけディーセント・ワークの創出、気候変動対策の推進、貧困と不平等の削減に取り組んでいる。
世界の全企業の3%を占める社会的企業は、経済的価値に加えて社会的・環境的価値の創出を重視する点で、従来型企業とは一線を画す。従来型の非営利団体とは異なり、社会的企業は事業活動を通じて自立を維持している。財務的なリターンよりも社会的インパクトを優先し、利益を使命の実現に再投資する。
こうした企業のリーダーシップも、同じく注目に値する。社会的企業の半数は女性が率いているのに対し、従来型企業ではわずか20%にとどまる。このことは、企業の構造にも目標にも、包摂性と多様性が根付いていることを示している。
何百万人もの暮らしに影響を与える
社会的企業は経済面で重要な役割を果たすだけでなく、アフリカの農村からアジアやラテンアメリカの巨大都市、北米や欧州の恵まれない地域に至るまで、何百万人もの暮らしに良い影響を与えている。
シュワブ財団の社会起業家グローバル・アライアンスが追跡する、世界の有力な社会起業家470人超のコミュニティに関するデータによると、過去25年間に、こうした企業だけで8億9,100万人を超える人々に直接的な影響を与えてきた。
PatagoniaとSEKEMは、社会的企業の力を示す代表例だ。
Patagoniaは、収益性と並んで環境・社会へのインパクトを優先できることを示している。持続可能性と公正な労働慣行に取り組む一方、Patagoniaの収益は長年にわたり着実に伸びてきた。同社の推定価値は約30億ドルで、年間収益は1億ドルに上る。現在、すべての利益は気候変動対策と世界各地の未開発地の保護を目的に設立された特別な信託および非営利団体に拠出されている。
SEKEMは1977年、カイロ郊外の砂漠170エーカーを再生する農場事業として設立された。4万人の小規模農家が有機農業やバイオダイナミック農法へ移行できるよう支援することを目指し、有機食品、ハーブティー、医薬品、持続可能な方法で生産された綿花を扱う。SEKEMは一丸となった取り組みを通じて、持続可能性が遠い目標ではなく、目に見える現実となる未来を築いている。
2022年に2,300万ドルの収益を上げるとともに、カーボンクレジットを53,705件創出した。また、2,500人の農家とSEKEMの農場とともに、中東のハーブ、有機食品、医薬品分野で業界をリードしている。
社会起業家グローバル・アライアンスとは?
社会的企業に不可欠な支援
経済面でもインパクトの面でも社会的企業が大きく貢献しているにもかかわらず、その価値は過小評価され、代表性も不十分だ。2023年4月、国連総会は、協同組合、社会的企業、その他の社会的経済組織がSDGsの実現に果たす貢献を明らかにするため、初の社会連帯経済に関する決議を採択した。それでも、社会的企業を支援する法的枠組みや特定の法律を整備している国は、5か国に1か国にすぎない。
「Catalyst 2030」などの運動は、社会的経済を支える政策の改善を求め、世界各地の社会起業家と協力している。例えば昨年11月、シュワブ財団とCatalyst 2030ブラジルは、ハイレベルの円卓会議を共催し、ブラジリアの開発・産業・商業・サービス省で、ブラジルの社会的インパクト経済を活性化する方策を議論した。会議は、同国におけるインパクトへの投資とその拡大を目的とする「Enimpacto」大統領令の発表とあわせて開催された。
多くの国で法的に認知されていないことに加え、社会的企業は1兆1,300億ドルに上る大きな資金不足にも直面している。この不足を埋めるには、民間部門の関与が欠かせない。社会的経済への民間部門の支援をさらに促すため、シュワブ財団の社会起業家グローバル・アライアンスはデロイトと協力し、「企業の社会的イノベーション・コンパス」を発表した。この指針は、グローバル・アライアンスの100を超えるメンバーの支援を得て作成されたもので、企業が社会起業家と連携する際の指針となる。10を超える連携の仕組みと、そうした連携がもたらす事業上の利点を示す具体的な事例を紹介している。
さらに、People and Planet Firstのような取り組みもある。社会的企業世界フォーラムが2023年に立ち上げたこの取り組みは、社会的企業に共通のアイデンティティを築き、消費者、企業、政府にこうした企業からの購入を促すことを目指している。
こうした行動は、持続可能な開発に向けた社会的企業の認知度と貢献を高めるために不可欠だ。認知度の向上、政策面の支援、民間部門の関与を通じて、社会的企業は世界で最も知られていない存在から、包摂的で持続可能な経済を切り開く先駆者へと歩みを進めることができる。
