MENAにおける人道支援のあり方はなぜ変わらなければならないのか

MENAにおける人道支援のあり方はなぜ変わらなければならないのか
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平和と文明の発祥地である中東・北アフリカ地域は、いま深刻な混乱に陥っています。紛争と不安定な情勢は、社会経済に甚大な影響をもたらしました。いま、人道支援と開発に対するまったく新しいアプローチが求められています。

アブラハム、イエス、モーセ、アロン、ヨハネ、ムハンマドをはじめ、多くの預言者がこの地域に生まれ、あるいはこの地を通りました。彼らはいずれも、人々を導き、愛と平和を広めるために来ました。しかし今日、中東・北アフリカ地域は紛争によって引き裂かれています。人道支援分野が直面する課題は、かつてないほど大きくなっています。

イスラミック・リリーフは、この地域で起きている多くの危機への対応の最前線に立っています。イエメンでは、紛争によってすでに深刻な人道危機がさらに悪化するなか、70万人を超える人々を支援する緊急活動を行っています。戦闘が続くなか、ささいなことが生死を分けることさえあります。以前は食料配給に家族全員で来ていましたが、現在は移動する人の数を減らし、犠牲者となる可能性を抑えるため、指定された1人だけが来られるようにしています。燃料の供給が尽きるなか、調理用ガスを使って食料を届けていますが、その在庫もいまや残りわずかです。

私たちはまた、シリア危機の複雑で広範な影響にも対応しています。この危機は、人道面・経済面の破局をもたらし、世界全体の安全保障にも影響を及ぼしています。2014年までに、イスラミック・リリーフは被災者向けの人道支援事業に1億2,200万ポンドを超える資金を投入し、脆弱な立場にある700万人以上に支援を届けました。シリア国内の奥深くでは、食料、避難場所、医薬品など、命を救う支援に重点を置いています。近隣諸国の難民向け事業には、教育や心理社会的支援など、より長期的な取り組みも含まれます。イラクでシリア難民を支援するだけでなく、イラク国内の紛争に巻き込まれた家族にも、命を救う活動を届けています。昨年だけで、国内避難民となったイスラム教徒、キリスト教徒、ヤズィーディー教徒37万8,000人の基本的なニーズを満たすため、380万ドルを支出しました。

当然ながら、緊急対応の目的は短期的な救援を提供することに限られます。イエメンで現在の危機が起きる前から、同国では約1,050万人が緊急の食料支援を必要としていました。しかし、人道支援団体がニーズを満たせたのは100万人にすぎませんでした。国際メディアは全般に、この危機を十分に報じておらず、国内で苦しむ人々への支援を確保しようとする人道支援活動の担い手にとって、課題をさらに増やしています。それでも私たちは、食料危機を緩和し、イエメンの人々、とりわけ若者が持続可能な生計を築けるようにする、意欲的な200万ポンドの事業を開始できました。人道救援に加え、国際社会には、こうした開発事業への投資を拡大してほしいと考えています。貧困と紛争の根本原因に取り組むうえで、こうした事業が重要な手段の一つであることは疑いありません。

前例のない課題

イスラミック・リリーフは30年以上にわたり、命を救う人道支援を届けてきました。激動の時代に支援の届く範囲を広げ、効果を高めるために取り組むなか、寄付者の皆さまの寛大さに深く感謝しています。ほかの人道支援団体と同様、私たちはいま、かつてない数の大規模な危機が中東・北アフリカ地域で同時に起き、国際社会の関心を競い合うという、これまでにない課題に直面しています。

資源には限りがあります。解決が難しすぎると思われる危機は、必要不可欠な世論の関心を得られないことがあまりにも多く、慢性的な資金不足に陥ったままの危機も数多くあります。2014年のシリア人道支援対応計画は、資金が52%不足していました。国連世界食糧計画は、シリア難民への支援を再び縮小せざるを得なくなりました。イラクの国連人道問題調整事務所は、資金が追加で確保されなければ、緊急活動のほぼ3分の2が終了または縮小される可能性があると警告しています。イエメンの戦略的対応計画に対する資金拠出は、これまでのところわずか10.1%です。

人道的ニーズは拡大し、深刻さを増しています。中東・北アフリカの紛争がもたらす苦しみの規模と深さは、理解しがたいほどです。何百万人もの人々が影響を受け、あらゆる分野でニーズが生じています。戦闘が続くなか、数えきれない人々が先の見えない未来に直面しています。

深刻な資金不足や、最も支援を必要とする人々に援助が届くのを妨げるその他の障壁に対処するには、新たな弾みが必要です。複雑な紛争地域で効果的かつ効率的な事業を実施するには、イノベーションが不可欠です。国際社会は暴力を終わらせ、地域に平和を取り戻すため、緊急に行動しなければなりません。そのためには、当面のニーズに応えるとともに、長期的な解決策、とりわけ教育、経済的自立の促進、技能への投資を拡大する必要があります。人々の力を引き出し、地域の才能を育む活力ある自立した市民社会を築くことは、包摂的で持続可能な開発とともに、極めて重要です。

宗教と文化の多様性が織りなすモザイクとして、中東・北アフリカ地域は私たちの多くにとって深い響きを持つ場所です。この地域が求めているのは、援助と開発だけでなく、持続する平和でもあります。力を合わせれば、それを実現できます。

世界経済フォーラム「中東・北アフリカ2015」 は、5月21日から23日までヨルダンの死海で開催されます。

著者:モハメド・アシュマウェイは、イスラミック・リリーフ・ワールドワイドの最高経営責任者です。

画像:シリア難民の女性が、シリアとの国境近くにあるヨルダンの都市マフラクのアル・ザータリ難民キャンプで子どもと遊んでいる。2012年7月31日。REUTERS/Muhammad Hamed

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