世界の持続可能なエネルギー市場が待ち望んでいた時が来ました。風力や太陽光のように天候に左右される電源からの供給を安定させるうえで不可欠な電池技術が、突如としてコスト競争力を持つようになったのです。
リチウムイオン電池の「均等化発電原価」(LCOE)、すなわち発電所の建設と運転にかかる総費用は、2018年上半期以降35%低下したと、調査会社ブルームバーグNEFの分析(BNEF)は示しています。
同時に、洋上風力のLCOEは24%低下しました。陸上風力と太陽光の基準コストも、前年からそれぞれ10%、18%下がりました。
「この10年を振り返ると、技術革新、規模の経済、激しい価格競争、製造経験のおかげで、こうした低炭素の選択肢のコスト競争力は目覚ましく向上しました」と、BNEFのエネルギー経済部門責任者エレナ・ジャンナコプルー氏は述べています。
変化を生み出す電力
2010年以降、太陽光の基準価格は84%、洋上風力は半分以上、陸上風力は49%下落しました。リチウムイオン電池による蓄電の価格は、2012年以降4分の3以上下がっています。
電池があれば、需要のピークに対応し、風が弱く日が照らない時間帯の供給を補うことができます。これまでは、ガス火力や石炭火力の発電所がその不足分を補ってきました。しかし、供給の維持を助けるため、太陽光発電所や風力発電所への蓄電池の併設が増えています。
今年初め、アブダビは、同市が世界最大の仮想電池プラントと称する施設の稼働を開始しました。648 MWhを蓄電し、送電網の需給を調整するとともに、発電設備が停止した場合でも最長6時間にわたって市内に電力を供給できます。
世界経済フォーラムのグローバル・バッテリー・アライアンスは、電池なしに低炭素の未来は考えられないとし、電池を「第4次産業革命を実現する中核的な技術」と位置づけています。同アライアンスによると、電池は世界で電力を利用できない10億人を支援するために活用できます。
洋上風力に注目
「太陽光と陸上風力は、多くの国で新たな『大規模発電』の最安電源をめぐる競争に勝ちました」と、BNEFのエネルギー経済アナリスト、ティフェン・ブランディリー氏は述べています。「しかし、クリーン技術の進出は今やそれを大きく超える勢いで進み、特にガス火力発電事業者が担うことを期待していた需給調整の役割を脅かしています。」
かつて陸上風力や太陽光に比べて比較的高コストだった洋上風力は、より大型のタービンの採用などにより資本コストが大幅に下がり、基準コストは半分以下になりました。英国は世界最大の洋上風力発電能力を持ち、世界の導入済み設備容量の34%を占めています。
「欧州各地の洋上風力入札で約束されていた低価格が実現しつつあり、ここ数カ月で注目度の高い複数のプロジェクトが資金調達を完了しています」とジャンナコプルー氏は述べています。「直近6カ月のコスト低下幅は、あらゆる技術の中で最も大きくなっています。」
