気候危機に対処し、エネルギー安全保障を確保するには、緊急の行動が必要です。
「気候と自然:システム全体での対応が必要」と題したセッションで、企業、国際機関、学術界のリーダーたちは、よりクリーンで環境に配慮した、より公平な世界の実現に役立つ提言や政策を共有しました。
世界経済フォーラムの年次総会「ダボス会議2024」は、1月15日から19日までスイスのダボスで開催されます。
「人類は危機に瀕しています」と、世界経済フォーラムの自然・気候センター所長、ネオ・ギムフアイ氏は述べました。年次総会でのダボス会議のセッションで、ネオ氏はさらにこう述べました。「2023年は観測史上最も暑い年でした……極端な干ばつ、極端な降雨、熱波、山火事。地球が転換点に近づき、さらにはそれを越えるにつれ、こうした影響はさらに深刻になるでしょう。」
ネオ氏は「実際、私たちには奇跡が必要です」と述べた後、パネリストに「奇跡を起こすには、どのような策を講じるべきでしょうか」と問いかけました。
1. 知識と実践の隔たりを埋める
テキサス工科大学の気候科学者で、気候変動問題を伝える最も優れたコミュニケーターの一人であるキャサリン・ヘイホー氏は、環境危機について話すときには、食べ物や住まい、自然界、そして愛する人々など、私たちにとって最も大切なものと結びつける必要があると主張しました。
「人々が頭で理解することを心で受け止められるよう、私たちは手助けしなければなりません」とヘイホー氏は述べました。「すでに大切に思っていることと結びつけられるよう支援する必要があります。それが何か分からなければ、質問をして答えに耳を傾け、見つけ出さなければなりません……何をすべきか分からなければ、私たちは何もしないでしょう。」
おそらくさらに難しいのは、気候変動問題を、政治的立場にかかわらず、すべての政治家が関心を持つ課題にすることです。
知識と実践の隔たりを埋め、次世代に対する責任ある管理者となるには、自らの行動が万人に歓迎されないと分かっていても、リーダーたちが行動する必要があると、国際通貨基金(IMF)専務理事のクリスタリナ・ゲオルギエワ氏は主張しました。「人気がなくても行動することが責任です。ためらったり、『今年の収益にどう影響するか計算させてください』と言ったりしたら、私たちを見上げる人々にどんなメッセージを送るのか、直視して行動してください」と同氏は述べました。
2. 緊急性を高める
しかし、世界銀行のように大規模で影響力のある機関にとって、気候変動対策が現場の地域社会に確実に届くよう、リーダーたちはどのようにシステム変革を進めればよいのでしょうか。
「私たちが直面しているのは、生存を脅かす気候危機です」と、世界銀行総裁のアジャイ・バンガ氏は述べました。「気候を顧みずに貧困撲滅を考えることはできません。医療を顧みずに貧困撲滅を考えることはできません。食料不安や脆弱性を顧みずに貧困撲滅を考えることはできません。これが現実です。私たちは相互に絡み合う一連の危機に直面しています。」
「緊急性の認識こそが、私たちに残された唯一の救いです」とバンガ氏は付け加え、各国が気候変動の最悪の影響を緩和し、適応するのを支援するために同行が実施する、5つの主要な政策上の約束を説明しました。
世界銀行の融資の45%を気候対策に充てると、バンガ氏は述べました。さらに同行は、2030年までにアフリカの1億人を再生可能エネルギーによる電力に接続すること、メタン排出削減に向けた資金配分の不整合に対処すること、小国が気候災害の費用を負担できるよう支援すること、炭素市場の恩恵が現場の地域社会に届くようにすることも約束しています。
この緊急性の認識は、国際機関だけでなく各国政府にも求められると、ゲオルギエワ氏は付け加えました。各国が2030年までに達成すべき水準に対し、国が決定する貢献(NDC)が約50%不足しているなか、IMFとそのパートナーは、政府に「首筋に息がかかるほど迫り」、取り組みを強化するよう促す必要があります。また、化石燃料補助金から資金を振り向け、気候対策に戻す必要があります。
3. 経済にまつわる誤解を解く
自然や資源の枯渇を前提に、将来のビジネスモデルを築くことは可能でしょうか。「まったくもって最悪の考えです」と、イケアの最高経営責任者(CEO)イェスパー・ブローディン氏は述べ、この方針に固執する企業は取り残されるだろうと語りました。
「経済的な合理性から考えると、持続可能性や気候対策には割増のコストがかかるというのは、今日の最大級の誤解の一つです」と同氏は付け加えました。「しかし、イケアの総環境負荷と2016年以降の全体的な成長を見ると……事業は30.9%成長し……絶対的な炭素排出量は24.3%削減されています。」
しかし、移行が容易だという意味ではありません。「秘訣はリーダーシップです」とブローディン氏は述べました。「代替案がまったく考えられないものだと理解したうえで、その責任を受け入れ、取り組むリーダーシップです。世界経済フォーラムのCEOリーダー連盟に参加する企業こそ、5年後、10年後、15年後、25年後にも目にするブランドだと私は考えています。駅に残って待っている企業は、手遅れになる時点にかなり近づいています。」
この変革を乗り越える企業とは、自然と影響をビジネスモデルの中心に据え、短期的なニーズより長期的な目標を優先する企業です。
「事業の進め方に自然という概念を取り入れる必要があります……目の前の行動がもたらす結果を見ずに価値を生み出すという考え方です。自分たちが生じさせたコストに対処しなければ、後になって向き合うことになります」と、マッセラズ会長のアンドレ・ホフマン氏は述べました。
「自然から完全に独立した事業という考えは、あまり先へ進まないと思います。どれだけの水が必要か、水の供給源は何か、そして水が手に入らなくなったら何が起きるかを理解する必要があります。」
