パンデミックや気候変動、市民の不安や騒乱によって世界が揺さぶられるなか、社会の利益を第一に行動する責任あるビジネスリーダーが必要です。
ラッセル・レイノルズ・アソシエイツと国連グローバル・コンパクトによるリーダーシップ研究は、「サステナビリティを重視する考え方」の重要性を示しています。
ここで紹介するリーダーシップの4つの重要な特性は、この変革を推進する助けとなります。
この1年、今後何年にもわたって続くと考えられる課題が明らかになりました。リーダーは、経済、環境、社会に同時に影響を及ぼす課題に、ますます頻繁に直面しています。パンデミックから大規模な環境災害、社会的不正義に対する抗議行動まで、組織の壁を越えて問題を解決できる人材が必要であることは明らかです。私たちは、そうした人々をサステナブル・リーダーと呼んでいます。
昨年、ラッセル・レイノルズ・アソシエイツは、国連グローバル・コンパクトと連携し、ビジネス界のサステナブル・リーダーを特定し、その実像を理解するための大規模な調査に取り組みました。世界各地の組織に属する経営幹部を詳細に分析し、サステナビリティと企業業績の双方で長年にわたり実績を上げてきた50人を超えるCEOや取締役と、時間をかけて対話しました。その結果、一方の成功が他方を犠牲にする必要はないことが示されました。
調査から、「サステナビリティを重視する考え方」の重要性が明らかになりました。それは、事業を、その事業が営まれるより広範な社会・環境の文脈から切り離された商業活動とは捉えない、目的に根ざした信念です。しかし、この考え方だけでは十分ではありません。組織の内外で変革を推進するには、適切なスキル、具体的には次の4つのリーダーシップ特性と組み合わせる必要があります。
複数の階層にまたがるシステム思考:サステナブル・リーダーは、自組織のシステムを深く理解するだけでなく、自らを取り巻く、より大きなビジネス、社会、環境のシステムとの相互作用も考慮します。特に重要なのは、その複雑さを整理し、サステナビリティを競争優位につなげる、的を絞った意思決定と行動を促すことです。
ステークホルダーの包摂:サステナブル・リーダーは、ステークホルダーを管理するのではなく、意思決定に包摂します。幅広い視点を理解し、すべてのステークホルダーを念頭に置いて意思決定を進めます。また可能であれば、意思決定の実行に積極的に関与してもらい、その恩恵も共有します。
破壊的イノベーション:変革は口にするのは簡単でも、実現は困難です。サステナブル・リーダーには、従来の手法に異を唱える勇気と、自社の事業や業界に変革をもたらす意欲があります。別のやり方ができない理由を問い、官僚主義を乗り越え、収益性とサステナビリティのトレードオフをなくすために大胆な投資を行います。
長期的な実行力:サステナブル・リーダーは、単に長期志向であるだけではありません。大胆な目標を掲げ、それを上回るために一丸となって行動します。そのためには、挫折に直面しても方針を貫き、短期志向のステークホルダーに不評となる可能性がある決断を下す、大きな勇気が必要です。
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サステナブル・リーダーは皆こうしたスキルを発揮しますが、同じ方法、同じ時期に身につけたわけではありません。実際、私たちの調査では、サステナブル・リーダーには大きく分けて3つのタイプがあることが示されています。
生まれながらの信奉者:サステナブル・リーダーの45%は、幼い頃から環境問題や社会問題に関心を持っていたと述べています。
確信を深めた人々:43%は、キャリアを重ねるなかで、サステナビリティが戦略的に重要であるとの理解が深まったと述べています。
気づきを得た人々:わずか13%が、重大な出来事や経験をきっかけに、決定的な気づきを得たと述べています。
職務経験がサステナブル・リーダーへの成長に寄与することを示す有力な証拠があります。私たちの調査によると、サステナブル・リーダーは他の経営幹部よりも、2つ以上の大陸で働いた経験を持つ可能性が3倍高くなっています(45%対16%)。3人に1人はキャリアのなかでグローバルサウスで働いた経験があり(出身者を除く)、他の経営幹部ではその割合は10人に1人にとどまりました。こうした経験は、さまざまな人々や文化への理解を広げ、これまで直接経験したことのない社会問題への認識を高めると考えられます。
また、サステナブル・リーダーは他の人々に比べ、2つ以上の職能分野で重要なキャリア経験を持つ可能性が2倍以上高く(64%対30%)、オペレーションやサプライチェーンの経験を持つ割合も特に高くなっています(55%対32%)。こうした職務経験は、自社の事業や業界をより広い視点で捉える力を養います。また、オペレーションやサプライチェーンに関する調査結果は、ビジネスネットワークや企業間連携への深い理解が役立つことを示唆しています。
これらのデータから、非常に重要なことが2つ分かります。第一に、あなたの組織には、あなたが考える以上に多くのサステナブル・リーダーがすでにいる可能性があります。第二に、人々を「確信を深めた人々」や「気づきを得た人々」のカテゴリーへと導くことで、組織内のサステナブル・リーダーを育て、増やす機会があります。
企業が今日から実行できることを3つ紹介します。
機会をつくる。たとえば、比較的恵まれない地域への出張を取り入れ、従業員が自社やその事業が人々や環境に及ぼすプラスとマイナスの影響を、現地で学べるようにします。
仕組みと資金を整える。立ち上げ費用がかかる場合もありますが、長期的にサステナブルな効果をもたらす新たな事業慣行や製品の開発に投資したい従業員を支援します。
サステナブル・リーダーを称える。組織内のサステナブル・リーダーが自社と社会全体にもたらしている価値を、積極的に発信します。
サステナブルなリーダーシップの特性を組織に根付かせるために、あなたの会社はどのような取り組みをしているでしょうか。


