ビジネス成長の新たな最先端は、少しの優しさだ。
コンサルティング会社Great Place to Workが実施した新たな調査の重要な結論は、この点にある。同社は、2016年版「働きがいのある中小企業ランキング」をパートナーのFortune向けに作成するなかで、中小企業で平均を上回る売上成長をもたらす最大の要因は、職場における思いやりのあるコミュニティだと明らかにした。
従業員のアンケート回答で示された「思いやり」は、明確な事業戦略、イノベーションの取り組み、有能なリーダーシップといったおなじみの要因よりも、成長にとって重要度が高かった。思いやりが競争優位につながるという発見は印象的だが、心理的な安心感、コミュニティ、帰属意識の重要性を示すデータが増えていることを考えれば、まったく意外というわけではない。
実際、競合を圧倒する態勢が最も整っている企業とは、社内で兄弟姉妹のような愛情を最もうまく育んでいる企業だと、さまざまな兆候が示している。
共著者エド・フラウエンハイムが所属するGreat Place to Workは、数百社の中小企業を調査し、従業員アンケート5万2,000件超を分析した。
この調査では、Great Place to Workの「トラスト・インデックス従業員調査」に含まれる58の質問が、それぞれ売上の好調さにどの程度影響するかを調べ、売上の伸びを最も強く左右する要因を探った。
最上位に並んだのは、「人々は互いを気にかけている」と「経営陣はこの職場によくなじむ人を採用する」だった。この2つの項目が、平均を上回る売上成長をもたらす全体で最も強い要因として同率1位となった。
信頼度の高い企業文化のなかで、従業員が思いやりのある職場を経験すると、平均を上回る売上成長を遂げている企業で働く可能性が44%高くなる。職場に合う人材の採用も、売上向上の要因として同じくらい強い点は注目に値する。これは、新たに加わった人、とりわけ嫌な人物が、結束力のある高業績チームを乱すことがあるというサインだ。
この調査には留意点がある。調査対象となった企業はすべて、Great Place to Work認定企業だ。つまり、各社の従業員の10人中7人がトラスト・インデックスで肯定的な評価をつけたことになる。これは、これらの企業の従業員が経営陣をしっかり信頼し、互いに仲間意識を持ち、仕事に誇りを感じていることを示している。
経営陣への信頼が低い、あるいは失われている企業では、思いやりのある環境が売上の伸びを促すことに気づかない可能性もある。
しかし、Great Place to Workが見いだした、思いやりのあるコミュニティと競争上の成功との結びつきは、他の研究結果とも一致している。
Googleは、チームの高いパフォーマンスを支える要因を理解しようとするなかで、最近、心理的安全性が最も大きな影響を及ぼすことを明らかにした。心理的安全性があると、チームメンバーは反対意見を共有したり、新しいアイデアを提案したりしやすくなる。その中心にあるのは、他者の前で弱さを見せることをいとわない姿勢だ。
また、フロリダ州立大学のロイ・バウマイスターによる、帰属欲求と思いやりに近い概念、そしてチームの有効性に重要な行動との関連を調べた初期の研究もある。バウマイスターは、他者から拒絶された人は、攻撃的になる、助けることをためらう、共感を欠く、自分を損なう行動をとる、さらには「知的思考が一時的に低下する」といった逆効果の行動を示すことを明らかにした。
共著者のショーン・マーフィーは、自著『The Optimistic Workplace』で、思いやりと帰属意識が果たす役割を強調している。同書のためにマーフィーが行ったインタビューでは、思いやりにあふれた職場環境で働く従業員は、会社や自分の仕事の成果に対する誇りがより強かった。さらに、思いやりと帰属意識は、人生の充実感を高めることにもつながりうる。
ある事例では、砕石などの建築資材を扱うLuck Companiesの整備士が、前向きな職場環境によって人生がどう変わったかを語った。整備士のケリーは、Luck Companiesで「必要とされている」と感じるという。「自分の仕事が実際に違いを生み、意味があると分かっています」と彼は言う。「そう実感すると、もっと上手に、もっと多くのことをしようと思います」。Luckの職場環境は、「人間の可能性に火をつける」というモットーを実践するなかで、会社が示す思いやりによって形づくられている。
別の企業BambooHRでは、スタートアップの「働きすぎ防止方針」に思いやりが表れている。ふざけた方針のように聞こえるが、その根底にあるのは従業員への配慮だ。BambooHRは、従業員に組織の外でも生活を送ってほしいと考えている。週40時間を超えて働き続けると、家族や友人と過ごす時間が失われる。この方針は、従業員が仕事と私生活をより健全に両立できるよう支援する。
思いやりや帰属意識は「ソフト」な、目に見えない要素だ。それでも、事業への影響は具体的である。売上成長を左右する従来型の、いわゆる「ハード」な要因だけに目を向けずに考える企業は、古い経営知識に頼り続ける企業を上回る可能性が高い。
今日、これほど明白なことはない。思いやりは競争力を生む武器だ。


