2012年、Appleの収益の80%は、発売から5年未満の製品によるものでした。これは何を示しているのでしょうか。世界は急速に変化しており、優れた企業はそれに適応できます。ビジネスの観点では、投資収益率(ROI)も適応力と関係しています。適応する能力は、近い将来、企業の指標として、また個人の指標として測るべきものです。いま進行しているこの移行に適応するには、どのような基盤が必要なのでしょうか。
誰もが第四次産業革命について語る一方で、多くの企業や個人は新たな技術変化への適応や、それに対応するために必要なスキルの習得に苦労しています。しかし、変化は避けられません。経済の時代が移り変わるなか、これまで常にうまくいっていたものに投資しても、生産性は高まりません。歴史がそれを証明しています。だからこそ、適応力がとても重要なのです。
過去の変革を振り返ってみましょう。農業の時代には、当時希少な資源だった土地を教皇や王が分配していたため、彼らが権力を握っていました。第一次産業革命の後、希少性の中心は土地から資本へと移り、銀行が支配的な存在になりました。当時、銀行はこの希少な資源を利用でき、王たちに条件を突きつけました。その後、知識が制約要因となり、それを支配した企業が力を持つようになりました。
この第四次産業革命では、混沌とした領域で複雑なスキルを発揮できる人材が求められています。いま希少な資源は何で、誰が力を持つのでしょうか。答えは、複雑な問題を解決し、システムやプロセスを構築、発明できる起業家や個人です。

この答えはおそらく意外ではないでしょうが、残念ながら私たちの思考そのものが制約要因になっています。過去10年間に世界がどう変わったのか、またその変化が前の10年間に起きたこととどれほど違うのか、立ち止まって考えたことはあるでしょうか。誰もが、そしてあらゆるものがつながり、可能なものはすべてデジタル化されているか、デジタル化の途上にあります。その結果、良い知識も悪い知識も瞬時に広まり、力は売り手から買い手へと移っています。私たちは製品やその基盤となる技術について知り、ほかの顧客にもアクセスでき、ソーシャルメディアという、いつでも使える拡声器を持っています。自動運転車、人工知能、ロボット、自動化について耳にしてきましたが、それでも未来がどのようなものになるのか、思い描くのに苦労しています。私たちは直線的に考えるのです。
直線的に考えるよう仕向けられていることを説明する、よく知られた例を見てみましょう。感謝祭の七面鳥は、生まれた日から、人生は良くなる一方だと思わせるような環境で育ちます。安全な場所で孵化し、世話をされ、毎日餌を与えられます。同じパターンが毎日繰り返され、七面鳥の人生がこれからも改善し続けると示す過去のデータが最も多くなったその時、状況は一変します。感謝祭が訪れると、突然、七面鳥にとっては好ましくない日になるのです。
企業、政治制度、教育――これらは、時代から大きく取り残された制度の一例にすぎません。仕事を守り、生活の不安定さを抑えようと苦労する人々に、私たちは適切なメッセージを伝えられていません。テクノロジーやイノベーションの変化が社会に徐々に取り入れられるのを妨げても、その影響が及ぶのを先延ばしにするだけです。変化に抵抗すれば今日の雇用をいくらか守れるかもしれませんが、将来にはより大きな害をもたらします。適度な変動は良いものですが、過度な変動は私たちを破滅させます。今日の世界が10年前と同じであるかのように振る舞い続ければ、結果は明るくないでしょう。
変化に対応するリーダーシップとは、私たちが直面している移行を認識することに尽きます。しかし意思決定者は、変動を織り込み、今日の組織や社会全般に変化を実行することに、いまだ失敗しています。
キャリアの半減期は約5年だというのに、私たちは人々の再訓練ではなく、雇用をどう守るかを議論し続けています。人々を部門や機能ごとの縦割り組織に配置し、それぞれが自らの利益を優先して、アイデアを守ったり、自分たちの問題だけを解決したりするモデルは維持できません。意思決定者を会議室に集めるのに、大企業ではスタートアップが製品を出荷するより時間がかかる場合もあります。アイデアはあらゆるところから生まれますし、今後も生まれるでしょう。マネジメントはコミュニケーションを通じて行われ、他者を導くうえでは権限委譲と支援が鍵となります。また、専門家には注意が必要です。彼らは何ができないかを教えてくれる人であり、最も革新的なアイデアをもたらす人とは限りません。リーダーは起業を妨げる障壁を取り除き、失敗に伴う汚名をなくす必要があります。あらゆる階層で、協働、集団学習、実験を奨励すべきです。
キャリアや事業に変化や偶然性がないまま長くとどまるほど、潜在的なリスクは蓄積していきます。残念ながら、経済の時代が移り変わるこの局面で、私たちはおおむねそのように対応しています。生活における変動や変化を、できる限り抑えようとしているのです。
テクノロジーがもたらす変化の加速を先導しているのは起業家であり、その主な特性の一つが適応力です。繰り返しになりますが、過去にうまくいったことが、この移行期の後もうまくいくとは限りません。社会として、適応する方法を教え、学べるようになる必要があります。第四次産業革命が進展するなか、適応力は企業と個人にとって最も重要な指標の一つとなるべきです。





