若者たちは求めています。世界の課題に取り組むための具体的な行動を
今日のリーダーは、こうした要求に応えるために適応しなければなりません
明確なビジョンを持つこと、メンタリングに力を入れること、チームワークを促すことなどが教訓として挙げられます
第4次産業革命によって働き方や暮らし方が変わり、新たな世代が労働市場に加わるなか、リーダーであることの意味を再定義しなければなりません。
初めて就職市場に参入する新世代は、ベビーブーマー世代やミレニアル世代とも大きく異なります。彼らは、目的意識を持つことや、社会と環境に良い影響を与えることをより重視しています。
最新のグローバル・シェイパーズ調査報告書によると、18歳から35歳までの3万人の意見を集めた調査で、若者は自分たちが怠惰で、せっかちで、権利意識が強いと思われていると感じています。また、「転職を繰り返す世代」と見なされ、仕事への関心が薄いと思われています。しかし、データは異なる姿を示しています。若者が仕事の機会を検討する際に最も重視する基準の上位2つは、「給与・金銭的報酬」(49.3%)と「目的意識・社会への影響」(40.6%)です。
世界の状況改善に貢献したいという若者の願いには、VUCA、すなわち変動性、不確実性、複雑性、曖昧性に対処できるリーダーが必要です。
現代のリーダーに求められる8つの資質を紹介します。
1. 明確なビジョンを持つ
すべてのマネジャーがリーダーとは限らず、すべてのリーダーがマネジャーとも限りません。この2つの主な違いは、マネジャーには目標があり、リーダーにはビジョンがあることです。一般に、マネジャーは人々を管理するために選ばれ、事実上上司になります。通常、訓練を受けた仕事で優れた成果を上げたことが理由です。しかし、人々を率いる仕事について訓練を受けているとは限りません。
マネジャーは通常、自力でリーダーへと成長することを求められます。リーダーは自分自身を明確に理解し、自らの強みと弱みを知り、努力の大部分を学び続けて能力を高めることに費やすべきです。ビジョンを定め、向上し、成長し、人々を鼓舞したいという意欲を示すことで、リーダーは目先の目標や障害を越えて将来を見据え、粘り強く取り組み、全員を巻き込むことができます。
2. 率先して行動する
数年前まで、リーダーは意思決定の前に必要な情報の少なくとも80%が集まるまで待つ余裕がありました。しかし、今日のように情報があふれる状況では、それは不可能になっています。
今日のリーダーは、必要な関連情報がそろうまで待つ余裕はありません。集められる情報をもとに行動する準備が必要です。曖昧な状況で率いることを恐れず、チームを支えるリーダーは、成功を実現できます。
3. チームを育てる
リーダーは時間の70%以上を、人々を管理し、成長させる方法を見つけることに費やすべきです。サイモン・シネックは、ある講演で次のように述べています。「リーダーは組織内での地位や立場を気にするあまり、本来の仕事を忘れてしまいます。本来の仕事は指揮を執ることではなく、自分たちに託された人々の面倒を見ることです。」
リーダーの主な役割は、チームのメンバーが仕事をするための資源と能力を備えていることを確かめ、メンバー同士の相乗効果をどう生み出すかを考えることです。また、個人としての成長と職業上の能力開発は、強いチームを育てるうえで欠かせません。そのため、健全なチームを率いる際の優先事項とすべきです。
4. 後継者を育てる
マネジャーが良い仕事をしているなら、同じ地位にいつまでもとどまるべきだと考えられがちです。そのため、マネジャーは現状を維持することが多く、これは今日の世界では受け入れられません。イノベーション、創造性、俊敏性こそが、マネジャーの仕事の中核です。
良い仕事をしているリーダーとは、同僚が後を継げるように育てている人です。私は、どの組織でも、終身の役職は今後廃止すべきだと強く考えています。リーダーには新たな役職で挑戦してもらうか、少なくとも責任をさらに担ってもらい、縦横両面で居心地のよい領域から踏み出してもらうべきです。

5. 安心して発言できる場をつくる
チーム全体にとって安心できる場、つまり一人ひとりが尊重され、自分らしくいられる場をつくることが大切です。同僚が異論を恐れずに伝え、リーダーに異議を唱えられる安心な場をつくるのは、リーダーの責務です。
安心できる場をつくるには、成功はチームの功績とし、失敗の責任と非難は自ら引き受けることも含まれます。失敗があれば、リーダーの責任です。成功したなら、チームの懸命な努力のおかげです。それだけのことです。
6. マイクロマネジメントをしない
リーダーが不在のとき、何が起こるでしょうか。成功するチームの力は、リーダーがオフィスにいないときに分かります。あらゆる判断についてマネジャーに連絡が入るでしょうか。チームは自分たちの責任を全面的に担っているでしょうか。自ら判断を下す勇気があるでしょうか。戻ってきたリーダーはチームの判断を支持するでしょうか。
成功するチームは、リーダーがいなくても機能する力を備え、自分たちの担当範囲と職務内容に沿って判断を下せるべきです。
7. 成長につながるフィードバックを伝える
リーダーは同僚に、常に率直なフィードバックを伝えるべきです。効果的なコミュニケーションは、リーダーに欠かせない資質です。フィードバックの内容によって、人々への影響は異なります。一人ひとりの能力や職務に合わせて言葉遣いを調整することは、ビジョンを伝えるうえで重要です。特定の人々に向けた詳細な内容や一般的な内容に偏ると、ほかの人々が取り残されることがあります。
同様に、チームの全メンバーの間で、建設的なフィードバックを交わすための窓口を開いておくべきです。リーダーも自らフィードバックを求めるべきです。それは、自身を成長させるための手段だからです。
8. フォロワーになる
最良のリーダーは、最良のフォロワーでもあります。誰かに責任を委ねるとき、リーダーは自ら一歩退き、他者のリーダーシップに従う方法も心得ている人です。
何十年もの間、リーダーは生まれつきのものだと言われてきました。その後、肩書きが一部の人をリーダーにすると言われました。しかし、私は誰もがそれぞれの形でリーダーだと強く信じています。同僚や友人の意欲と努力をどう引き出すかが、彼らを輝かせ、長く続く前向きな変化を生み出す力となります。
全体として、リーダーシップは個人を超え、チームが人々を鼓舞するビジョンに向かって取り組むプロセスとして捉えるべきです。例えばスイスでは、大統領の名前を挙げられる人はごく少数だと思います。リーダーシップが一個人ではなく、7人からなるチームの仕事だからです。
では、リーダーシップの未来はどうなるでしょうか。グローバル・シェイパーズ・コミュニティの活動を通じて、若者が学ぶ機会を求めるだけでなく、意義あるパートナーシップや世代を超えた協働を通じて長期的な影響を生み出すために、年長世代と関わろうとする変化が見られます。情熱と積極的な関与を持つ若者は、思いやりがあり、人を大切にし、目的意識を持ち、世界の状況改善に必要なことをいとわず実行する新世代のリーダーを体現しています。
この記事は、世界経済フォーラムの年次総会(2020年1月21~24日、スイス・ダボス=クロスタース)の一環として掲載されています。


