昨年、難民にとって過去最悪の年となった。2017年、私たちには行動する機会がある

A Syrian refugee child plays at Al Zaatari refugee camp in Jordan near the border with Syria, December 3, 2016. REUTERS/Muhammad Hamed - RTSUGHX
This must be the year in which solutions to the global refugee crisis are not only discussed but implemented.Image: REUTERS/Muhammad Hamed
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2015年、難民危機は世界の注目を集める形で急拡大した。2016年、その危機が収束しないことが明らかになった。そして2017年、私たちは選択の時を迎えている。

1年前、ダボスで開催された世界経済フォーラム年次総会では、難民が大きく取り上げられた。パネル討論やシミュレーション、バーチャルリアリティを通じて、参加者は学び、変化をもたらす力を得た。その議論の基調は、いかにもダボスらしいものだった。すなわち、課題をいかに機会へと転換するかである。クリスティーヌ・ラガルドはこう述べた。「適切な政策、とりわけ労働市場への効果的な統合があれば、難民の潜在力をすべての人の利益のために生かすことができます」。同じ月に7万3,000人の難民が欧州に到着し、解決策を見いだせるとの期待は高かった。

しかし、2016年にはギリシャへの難民の到着数が減少した一方、地中海では記録上、最も多くの人命が失われた年となった。5,000人以上が命を落とし、その大半はイタリアへ向かう途中だった。世界全体では、難民と国内避難民の数が初めて6,500万人に達し、その86%は支援に必要な資源が十分でない開発途上国にいた。半数以上はキャンプではなく都市で暮らしているが、そこで彼らが必要とするものや、そのニーズに応える方法への理解は乏しい。

ギリシャ沿岸警備隊の船に乗る難民の子どもたち。公海での救助活動を終え、ギリシャのレスボス島の港に到着するところImage: ロイター/ギオルゴス・ムタフィス

難民のニーズが高まる一方で、難民への反発も強まり、彼らを支援することに希望を託してきたダボスの世界観も逆風にさらされている。英国のEU離脱を問う投票の数日前、ナイジェル・ファラージは、クロアチアからスロベニアへ国境を越える難民を描いた虚偽のポスターを公開し、「限界点:EUは私たち全員を裏切った」とのスローガンを掲げた。米国生まれのオマル・マティーンが6月にフロリダ州オーランドのナイトクラブ「パルス」を襲撃した翌日、ドナルド・トランプはこう宣言した。「米国に流入するシリア難民の途方もない数を止めなければならない。彼らが誰なのか分からず、身分証明書もなく、何を計画しているのかも分からない」。実際には、戦争が始まって以来、米国が受け入れたシリア難民は約1万8,000人で、世界のシリア難民総数の0.4%未満にすぎない。また、難民が米国に入国するには、18~24カ月に及ぶ安全審査が行われる。

難民の数は増え続ける見込みである一方、開発予算への政治的・経済的圧力によって、難民への効果的な支援が削減されるおそれがあり、その結果、難民が故郷を離れる「プッシュ要因」はさらに強まる。フランス、ドイツ、オランダで接戦が予想される選挙を前に、メディアに味方を持つ極右勢力は自信を深めている。欧州各地で政治運動と経済的な緊張が激しさを増すなか、難民は今後もスケープゴートにされ続けるだろう。

今年、2017年こそ、世界的な難民危機の解決策を議論するだけでなく、実行に移す年にしなければならない。政策面での解決策を4つ提案したい。

  • 第一に、欧州はすでに大陸内にいる難民に適切に対応しなければならない。そのなかには、ギリシャに依然として閉じ込められている6万人以上の難民も含まれる。国際救援委員会は、雪や吹雪のなかテントで過ごす2度目の冬を迎え、先行きも分からない彼らを支援している。EUは今すぐ行動し、ギリシャとイタリアの生活環境を改善するとともに、難民の庇護申請、家族再統合、移転申請を迅速に処理する必要がある。ドイツとスウェーデンだけが難民受け入れの責任の大部分を担い続けることはできない。他の国々も役割を果たすべきだ。より多くの難民を受け入れる意思がありながら、難民申請を処理するEUの資源が不十分なために妨げられているポルトガルのような国が、支援できるようにしなければならない。

  • 第二に、米国は難民を再定住させてきた誇るべき伝統を継続しなければならない。反対の主張があるものの、難民として米国に入国することは、他のどの経路を通るよりも依然として難しい。生体認証検査、複数回の面接、少なくとも4つの政府機関による氏名照合が行われるため、難民は国内で最も厳格な安全審査を受ける人々である。欧州も、最も脆弱な人々に安全な場所への正当で信頼できる再定住の道を用意することが、人身密輸業者を食い止めるためのあらゆる対策に欠かせない要素だと認識しなければならない。

  • 第三に、人道支援は大幅な改革を必要としている。多くの人道政策に見られる短期志向を改め、難民の健康、教育、生計が顧みられない状況を終わらせるということだ。限られた資源をより広く行き渡らせるには、費用対効果と大きな成果に徹底してこだわり、何が有効かを示す証拠に基づいて事業を組み立てなければならない。昨年5月の世界人道サミットで合意された「グランド・バーゲン」は、資金提供者に成果重視を、実施者に透明性を求めており、最良の指針となる。大半の難民は何年も、ときには何十年も帰国できないため、自らの仕事を確保し、子どもたちに教育を受けさせることが不可欠だ。そのためには、難民受け入れ支援の経済的側面を強化し、現在、難民負担の不均衡に大きな割合を担っているヨルダンやケニアのような開発途上国と新たな合意を結ぶ必要がある。

  • 第四に、平和維持と平和構築がなおざりにされれば、難民が生まれるということを世界は忘れてはならない。バルカン半島、シエラレオネ、東ティモールにおける、数少ない平和構築の成功例は、それがいかに難しいかを示している。しかし2016年は、難民の流れの管理から難民の社会統合に至るまで、放置の結果に対処することも西側諸国にとって同じく困難であると示している。したがって、紛争を終結させ、防止するための外交と資源への投資、そして紛争が起きた際に国際人道法を遵守させることが、引き続き極めて重要である。

難民危機は、相互につながりを深める世界の結果であると同時に、グローバル化への反発を引き起こす要因でもある。これは政策上の課題であり、政治上の課題でもある。シリア紛争が始まって以来の問題は、政策が政治に後れを取ってきたことだ。私たちの前にある選択肢は明快である。問題の根本に取り組み、政治の結束を保つか、それとも問題を放置して悪化させ、違法な地下の人の流れがどんなに高い壁も乗り越えるのを許すかだ。

解決には政府のリーダーシップが必要だが、企業やNGOには革新が、市民には立ち上がることが求められる。今年のダボスで、私が訴えたいのはこのことだ。

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