ナショナリズムの高まり、国際的な緊張、制御不能な気候変動。2017年の始まりに、人類の未来を悲観したくなるのも無理はない。
しかし、諦める代わりに、以下の人々は起業、芸術、イノベーション、あるいは個人としての勇気ある行動を通じて、身の回りの世界をより良くしようと取り組んでいる。彼らは、今年、ダボスに集う約3,000人の参加者のほんの一例にすぎない。世界経済フォーラム年次総会今年は「応答的で責任あるリーダーシップ」をテーマに開催される。彼らの姿を見れば、未来への悲観が少し和らぐかもしれない。
ネギン・クポルワク
わずか19歳のネギンは、アフガニスタン初の女性オーケストラ指揮者だ。つい最近までタリバンが音楽を禁じ、女子の教育を受ける権利を否定していた国で、タブーを打ち破っている。彼女は殺害の脅迫に屈せず、音楽を奏で、若者たちを鼓舞している。アフガニスタンの女性35人からなる音楽アンサンブル、ゾーラ・オーケストラを率いる。ダボス会議では演奏を披露し、最前線に立つアーティストの役割について話し合う予定だ。
ユスラ・マルディニ
「そう、私は命がけで泳ぎ、その後オリンピックでも泳いだ少女です。今は、もうひとつの物語を伝えたいと思っています。それは、もうひとつの名前、もうひとつのアイデンティティについてです。私の名前は『難民』。少なくとも、人々は私をそう呼びます。迫害や戦争、暴力から逃れることを余儀なくされた、ほかの2,100万人と私のことです。」現在はベルリンに暮らし、世界各地で故郷を追われた人々のために声を上げるユスラが、自身の物語を語るこちら。

トム・ザキー
この男性は、あらゆるものをリサイクルしてほしいと呼びかけている。本当に何でもだ。たばこの吸い殻、おむつ、歯ブラシまで。彼は、廃棄物を新技術で製品へと「アップサイクル」する社会的企業、テラサイクルの創業者兼CEOだ。たとえば、アルミ箔製の飲料パウチを肩掛けバッグに生まれ変わらせている。彼の活動は世界中の約6,400万人を動かし、リサイクルに取り組ませてきた。また、2050年までに海のプラスチックごみが魚の量を上回るという調査結果が示されるなか、代替となるビジネスモデルを提示している。
ハムディ・ウルカヤ
ハムディの生い立ちは、アメリカ企業の典型的なやり手CEOに結びつけられるようなものではなかったと言ってよい。トルコで、半遊牧生活を送る酪農家の家庭に育った。米国に移住して英語を学んだ後に事業を立ち上げ、それがやがて成功を収めたヨーグルト会社、チョバニへと成長した。彼は社会に背を向けることなく億万長者となった。会社は従業員に事業の株式10%を付与し、難民を雇用している。また、母親と父親の双方に有給の育児休業を6週間提供している。法定の産休手当がない国において、注目すべき姿勢だ。

ジャイディープ・バンサル
世界では12億人が電気を利用できない。ジャイディープは、遠隔地の山村に暮らす人々が初めて明かりをともせるよう支援している。グローバル・ヒマラヤ遠征プロジェクトを通じて、標高3,650メートルを超える険しい場所に送電網に頼らない電力を届けるため、何週間もかけて山道を歩いている。
ヤスミナ・フィラリ
移民や難民の受け入れと社会統合は、西側諸国だけの課題ではない。モロッコでヤスミナは、サハラ以南アフリカ出身の移民や難民、恵まれないモロッコ人に職業訓練を提供するため、オリエント・オクシデント財団を設立した。その取り組みは成果を上げている。IT講座の修了者の95%、接客業講座の修了者の60%が、安定した仕事に就いている。

ラエド・アル・サレ
シリアで戦争が始まる前、ラエドは電気設備を販売する実業家だった。爆撃が始まった後、彼はホワイト・ヘルメット、すなわちシリア民間防衛隊を設立した。負傷者をがれきの中から救い出すため、自らの命を危険にさらす地元のボランティア組織だ。これまでに約8万人の命を救っている。

ザマントゥングワ・クマロ
アフリカの若年人口は、他のどの地域よりも速いペースで増加している。大陸の約70%は30歳未満だ。若者たちの才能を生かすことは、大陸、そして世界の未来にとって極めて重要になる。ザマントゥングワはわずか12歳で、地元の図書館と協力して初のNGOを設立し、若者が地域社会で役割を担えるようにすることを目指した。その後、アフリカの再生を若いアフリカ人が主導することを目指し、タボ・ムベキ財団ユース・ハブを共同設立した。ラジオ番組のプロデューサーでもあり、グローバル・シェイパーズのエッセイコンテストの受賞者でもある。

マルヨレイン・ヘルダー
生きた植物の根から電気をつくれたらどうだろう。実は、それはすでに可能だ。マルヨレインは、世界経済フォーラムのテクノロジー・パイオニア企業に選ばれたオランダのスタートアップ、プラント・イーの創業者兼CEOだ。同社の特許技術は、成長する植物から電子を取り出して電力を生み出す。彼女の言葉を借りれば、「私たちのエネルギー革命はすでに始まっています」。そして「多様な代替可能エネルギー、再生可能エネルギー、持続可能な技術が、化石燃料に徐々に取って代わりつつあります」。

アルファ・デメラッシュ
アルファの母親はエチオピアの紛争から逃れ、2歳だった娘を祖母に預けた。やがて米国で再会したとき、アルファはアメリカンドリームの現実が過酷だと知った。母親は昼間はウェイトレスとして働き、その後、自宅で服を作る零細起業家として働いていた。ハーバード大学での学業を終えたアルファは、見過ごされがちな起業家が事業を成功させ成長させるために必要な資源を提供する非営利団体、ライジング・タイド・キャピタルを設立した。同団体の起業家たちは、2年後に売上高が平均64%増加している。


